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 レベル3 畠山 里香


「やっぱり……」

 二人は生きていた。いや、死んではいない。新聞の切り抜きには、こう書いてある。市営住宅のエレベーターの落下事故で地階と床の間に挟まり心肺停止と。妻はその数時間後に死亡が確認されている。だが、西村 研次郎とその娘の冴子は今も入院しているのだ。

「あれ?」

 別の新聞。勇の買った新聞には二人は死亡が確認されている。

 一体……。

 どういうことだろう?

 探偵兼家屋調査士事務所のデスクの上には、様々な勇の残した資料があった。勇は二人が生きているとも推測していたのだ。

「ふぅーーー」

 このところまた徹夜だった。

「コーヒー……とっ」

 インスタントコーヒーを止めて、缶コーヒーにした。何度か缶を振って。涙が流れた。

 でも……私は心底悔しいんだ。

 きっと、勇もだろう。

 早くにこの怪事件を解決しなければいけない気がする。外は夕立が降っていた。明日に西村 研次郎と冴子が入院している病院へ行こう。


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