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永遠に届く声

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永遠に届く声

13 - dreizehn .

♥

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2025年05月11日

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カーテンの隙間から、うっすらと朝の気配が差し込んでいた。静かに時が流れていく中、ふたりはまだ、お互いの温もりを手放せずにいた。


ハイネはまぶたを閉じたまま、呼吸を整えていた。

まるで、これが終わりであることを悟りながらも、それを受け入れる準備をしているようだった。


そんな彼の髪に、そっと触れながら――


「……ハイネ」

ヴィクトールは、声に出して名前を呼んだ。


それはまるで、祈るような声。

「好き」という一言が、口から出そうになるたび、

それを飲み込んで、代わりに名前を呼ぶ。


「ハイネ……」

「……」


何度も、何度も。

まるで、それでしかこの想いを伝えられないかのように。

そして、名を呼ばれるたびに、ハイネの肩が微かに震えていた。


「……その呼び方は、反則です」

「すまない。けれど、それ以外に……もう、方法がないんだ」


言ってしまえば終わってしまいそうで、

でも黙っていれば、この夜が夢だったことになる。


――せめて、君の名を。

今この瞬間、私だけのものであった君を、心に刻むために。


「……ありがとう、ヴィクトール」

その一言に、ふたりのすべてが詰まっていた。


やがて朝が、すべてを洗い流すように昇っていく。

そしてふたりは、再び“教師”と“王”に戻っていった。

夢を見たことなど、一度もなかったかのように。


でも――


名前だけは、まだ胸に残っていた。


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