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ーメカニカ王国:酒場ー
アオイ「もっとだもっと!酒を持って来い!」
ある酒場で一人の少女が酒を欲していた。
それも樽2杯分程の酒を飲み干したあとも止まることを知らないのか、どんどんグラスを空にしていく。
「おいおい、あの嬢ちゃん大丈夫か?」
「あんな量の酒は流石の俺でも飲んだことねぇな…」
「あんな華奢な娘っ子が…凄ぇな」
視線が集まる中でも少女は飲むのをやめない。
そんな娘に冒険者らしきガタイの良い男が近付いていく。
「嬢ちゃん、凄えな。こんな飲む女見たことねぇよ」
アオイ「…ありがとう?」
酔っているのか、今にも眠ってしまいそうな目でそう言う少女に男が話を続ける。
「嬢ちゃん、名前は?」
アオイ「アオイ…。アオイ・シンディーだよ」
セリス「アオイちゃんか。俺はセリス・ユーリだ。」
笑みを浮かべながら自己紹介をする。
酔いのせいなのか警戒心0で名乗る少女。
アオイ「んで、セリスだっけ?なんの用?今酔いが回って気持ち良い時なんだけど」
アオイは見えなかった。
その言葉を聞いて不敵に笑うセリスを。
セリス「少し俺と勝負をしてやくれないかと思ってな。負けた方はそうだな… ”勝った方の命令をなんでも1つきく” ってのはどうだ?アオイが勝てばこの酒の代金を俺に払わせるだのできるだろ?」
その言葉を聞き終えるとアオイはグラスを置いてセリスを見る。
アオイ「いいよ、その挑戦乗ってあげる。負けても恨むなよ?」
セリス「ハハッ!勝つ気満々か、そりゃあいいなァ。オヤジ、酒をありったけ持って来い!」
次第にザワザワと店内が騒がしくなる。
「セリスって結構な酒豪だよな?大丈夫なのか、あの嬢ちゃんは」
「嬢ちゃんが負けたら…まァ、予想はできるよな」
「あの娘、魔法使いだろ?冒険者とただの魔法使いの女じゃ…結果は火を見るより明らかだぜ」
そして酒が運ばれ、2人が飲み始める。店の客の視線が2人に注がれている。
飲み始めてから数十分後…
セリス「じょ、嬢ちゃん、降参してもいいんだぜ?流石にキツイだろ?オエ…」
アオイ「…大丈夫…君こそ降参したら?ウップ…」
どちらも限界を迎えていた。
そしてアオイがまたグラスに口をつける。
アオイ「もう…終わりか?これじゃあ私の勝ち…だね、」
セリス「ハハ、舐めるなよ…」
そう言いながら、セリスもグラスに口をつける。
だが、限界が来ていたのだろう。
セリスが吐いた。そう、豪快に。
セリス「オエェェェ…ハァハァ…こ、降参だ…」
アオイ「あはは、お前凄かったよ…。」
その言葉を言い、気絶とはいかなかったものの、バタンッと音を立てて後ろへ倒れる。
「いやぁ、まさかな展開だったな」
「どちらも凄かった!」
そんな歓声が店のあちこちから聞こえてくる。
酔いながらも2人が立ち上がり、先に言葉を繋いだのはセリスだった。
セリス「約束だ…。何がいい?」
苦笑いを浮かべながらアオイに問いかける。
アオイは勘定を済ませてセリスを外に連れ出した。
セリス(金じゃないのか?なにを欲するのか…見当もつかねぇな。)
アオイがしばらく無言でセリスを見る。
アオイ「…なんでもお願いしていいんだよね?」
確認するようにアオイが聞く。
「できる範囲ならな」とセリスが苦笑いを浮かべながら言う。
アオイ「そっか…じゃあ、君の魂が欲しい。」
そう言うと、セリスが バタンッ゛_… と音を立て、倒れ込む。
アオイ「ん、思ったよりも美味しかったよ。ありがとね、えっと…セリスだっけ?まぁいいか。覚える必要も無いしね」
満足そうに先程まで共に酒を飲んでいた者を残して、まだ酔いが覚めていないのかフラフラと立ち去る少女_。