「……返事、って……なに……」
胸の奥で呟きながら、華はじっと二人を見つめていた。
美咲は自然な微笑みを浮かべたまま、律と何事もなかったように話を続けている。
律も特別な反応を示さず、ただ真剣な表情で頷いていた。
(そんな顔……私の前では見せないのに)
喉の奥が詰まって、呼吸が苦しくなる。
視界の端がじんわり滲み、思わず華はその場を離れた。
「桜坂さん?」と誰かの声が追ってきたが、振り返ることはできなかった。
胸のざわめきは、もうどうしようもなく大きくなっていた。
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