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「……好きだったよ」
その言葉の余韻がまだ胸に残るうちに、琴音は小さく微笑んだ。
けれどその笑顔は、どこか遠くを見ているようだった。
「でも、今は好きじゃない。私、もうすぐ結婚するの」
「え……?」
華の声が裏返る。思いもしなかった言葉に、心臓が跳ねた。
「私のせいですよね? 私が来たから……」
問いかける華に、琴音は首を振った。
「違うの。律くんを諦めるために結婚するんじゃない」
真っ直ぐな眼差しが、華の胸を射抜いた。