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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
第13話 『一線ギリギリ』
『……今夜で最後。』
明日には決めないといけない。あの中から1人…私が心の底から好きで、一緒に居たい人。
私は夜、ユーハンに誘われて夜の森を一緒に歩いていた。
『綺麗な月ですね…主様。』
『うん。そうだね……。』
『今日で私と過ごすのが最後ですね。』
『…うん。』
『だからこそ、思い出を作りたかったのです。これから先思い出は増えますが…今だけは特別なものとなるようにしたいんです。』
ユーハンは私にグッと近づく。
『ユーハン……?』
『今この時…貴方のことを独り占めさせてください。』
ユーハンは私を抱きしめる。
『っ、ユーハン……っ!?』
『貴方が好きだと気付いたのは…あの日からずっとです。』
『あの日…私がユーハンを助けた日?』
『はい。』
あの時私は死んでもいいと思ってた。でも、
貴方という光が私を照らしてくれた。
1人の人間として死んでもいいと思っていた。でも、悪魔執事として生きることを貴方は赦してくれた。家族を失って故郷を燃やしてしまった私は死ぬしか道はなかった。私は貴方の元で悪魔執事として仕えることを選んだ。
そして――貴方のことを好きになった。
命に替えても、守りたいと思う貴方に。
出会い、恋に落ちた。
『ユーハン……。』
『あなたが他の誰かを選ぶなんて想像しただけで…胸が苦しいです。』
『っ…。』
『でも、それが主様の選んだ答えなら私は甘んじて受け入れます。貴方の選んだ答えを咎めるつもりもありません。あなたの事が好きだからこそ、貴方の幸せを望みます。』
ユーハンは私から離れる。
『もし私を選んでくれるのなら…もう二度と離しません。私の傍で繋ぎ止めて…生涯愛し続けます。』
月夜に照らされたユーハンの横顔はいつもより美しく思えた。
『ユーハン…ありがとう。』
こんなにも想いをはっきりと告げてくれたのに決められないなんてみんなの気持ちを踏みにじってるのと同じだ。だからこそ向き合わなきゃ。4人の気持ちに。
『そろそろ帰りましょうか。主様。』
ユーハンは私の手を掴む。
『お部屋まで送ります。』
『うん。』
『おやすみなさいませ、主様。』
バタンッ。
『……。』
やるべき事は全てやりました。この想いが貴方に届いたのなら…それで満足です。
私を選んでくれたら一生…いいえ。死ぬまで一緒です。主様。
僕だけの主様に…なってくれないかな。
僕以外を選ぶなんて耐えられない…。
俺を選ばせてみせるっす。俺の綺麗な薔薇は
自分の手で守りたいっすから。
次回
最終話 『決断の花が開く』