???「また「堕天」が動き出したとの情報が入りました。兎白さん」???「「堕天」は間違いなく、ここ日本の彼岸を侵略しようと考えているんだろうな。」
ここは、死神組本部。死神組組長「兎白」と第一部隊隊長「瑠璃人」が話し合っていた。
兎白「とにかくこのことはあまり大事にはしたくない。大事にすれば、「堕天」の動きが分かりづらくなる。」
瑠璃人「それが……実はこんな話を耳にしまして……」
兎白「?」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
兎白「…………そうか。」
瑠璃人「どうします?兎白さん」
兎白「今はどうすることもできない。それをやったのが誰かすら俺たちは分かってないのだから。」
「とりあえず、今はいつも通り上からの任務に邁進しよう。」「はい!」
こんな会話をして、二人は各々任務に向かった。
「…………」
???「はぁ〜あ!ずっと寝て食べて寝て食べての繰り返しかぁ……はぁ……」
???「仕方ないでしょう。あなた普通に動けてますけど、本来なら立つことなんてできないほどの重症なんですから……!」
???「買ってきたわよ〜みかんゼリー」
ここは、橙の家。ベッドに横たわっているのは、「紫雲雨花」と怒りながら雨花の世話をしているのが「不山橙」で、雨花のためにおつかいに行ってきたのが「桃時」である。
橙「どうしてみかんゼリーなんですか?」
雨花「これなら橙ちゃんと一緒に食事楽しめるかなって!」
桃時「自分の好きなもの頼めば良いのに……全くもう……」
橙「でも嬉しいです。ありがとうございます。」
雨花「お礼なら桃時ちゃんに言って!わたしが買ってきたわけじゃないし!」
桃時「アタシもお礼はいらないわ。早く食べなさい。アタシも食べるし。」
こうして、三人でみかんゼリーを食べることにした。
桃時「そういえばまた「堕天」がこっちの彼岸に侵略しに来てるらしいわよ。」
橙「「堕天」……ですか……」
橙は、雨花の方をみる。雨花は憎悪をむき出しにした目になっている。
橙「……では、今回も死神組の皆さんが制圧するんでしょうか……怪我しないと良いですけど……」
桃時「そうね……でm」
雨花「二人とも静かに」
橙・桃時「?」
突然、静かにするように言われた橙と桃時。雨花は立ち上がり、自身の傘で床の刺し所を考え、そして……
ドゴォォォォン!!!!
雨花は、床に思いっ切り傘を刺した。すると、下の階の部屋と床の間に人一人が通れるほどの空洞ができていた。そこにいるのは……
橙「あ、あなたは……!」
桃時「その制服……」
雨花「…………」
そこにいたのは、死神組の組員だった。
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
「くそっ……バレたか。なら……」
その組員は、スイッチのようなものを取り出して、押そうとしていた。
雨花「二人とも!!逃げるよ!!わたしに捕まって!!」
雨花は、橙と桃時を抱えて、窓から飛び出た。その瞬間……
バゴォォォォン!!!!
橙の部屋が爆発した。
橙「ど、どうなってるんです?!?!」
桃時「あいつ、ずっとあの空洞からアタシたちの会話を聴いていたのかしら」
雨花「ずっとだったら、わたしが間違いなく気づいてたはず。橙ちゃんの家にはわたしを固定するために桃時ちゃんの神通力がかかってた。それを最近緩めていたから侵入されたのかも。だって最近、人を通すの多かったでしょ?でも桃時ちゃんのせいじゃないからね。こんなこと誰も想像出来ないんだから。」
橙「今はとりあえず、死神組本拠地に向かった方が良さそうですね……」
桃時「えぇ。あの組員は間違いなく……」
「「裏切り者ね」」
時間は少し遡り、
兎白「裏切り者?」
瑠璃人「前回「堕天」から襲撃があった時、「堕天」に張らせておいた組員から死神組の内部情報が漏れている可能性があると通達がありました。なのでこっちの動きが知られているという可能性があるんです。」
兎白「…………そうか。」
「(最近、死神組に顔を出していない隊員がいたな。「堕天」は妖怪とも繋がりがある。今回いつもの「堕天」の本拠地に「堕天」がいなかったとすると、もしかしてあいつらの本拠地は……)
そして、現在へ
桃時「あの組員。自分を犠牲にしてアタシたちの情報張ってたのね……」
橙「兎白さんたち大丈夫でしょうか……」
雨花「…………」
桃時「あいつらがそんな簡単にくたばる奴らじゃないのはよく知ってるでしょ?」
そんなことを言いつつも、桃時は冷や汗をかいている。
「いたぞ!!あいつらだ!!」「悪者は退治!!退治!!」「早く捕まえろ!!」「さぁ早く!!!!」
橙・桃時「!」
雨花「あいつらは……」
「「堕天!」」
雲の形をした車で雨花たちを追いかけている天使たち。
桃時「あんたたち!アタシの後ろへ!!」
橙「はい!」
雨花たちが桃時の後ろへ行き、そして……
桃時「神通力・【時雨】!!!!」
天使たちの乗り物に神通力をかけて、動きを止める桃時。しかし……
桃時「…………っ、もう止められない……!!」
雨花「もう充分だよ!!桃時ちゃん!!」
雨花は思いっきり飛び上がり、傘を使って車を殴り飛ばした。
雨花「橙ちゃん!!この車使って一気に死神組本拠地に飛び込むよ!!今のわたしの神通力じゃ瞬間移動できない!!運転よろしく!!」
橙「あ……!!はい!!」
雨花は、中にいた天使を車の外に追い出し、橙に運転を任せた。そして発進した。
「待て待て!!クソ女ども!!」「絶対思いどおりにはさせない!!」「悪いことをするのはやめろ!!」「お前らを俺たちは絶対許さない!!」
雨花・橙・桃時「は?」
三人は顔に血管が浮かび上がるほど、激怒していた。
桃時「あいつら何言ってんの?」
橙「意味が分からない……」
雨花「…………」
雨花は、車の上に立ち、そして……
雨花「被害者ヅラしてんじゃねぇぇ!!!!」
傘に収納された銃をぶっぱなした。
桃時「やれやれ!!いけいえ!!雨花!!」
橙「この人たちと来たら……ふふっ」
橙も少し興奮してきた。
橙「雨花さん!!桃時さん!!お二人は攻撃に集中して下さい!!私は運転でお二人を支援します!!」
雨花「あはは!面白くなってきたね?桃時ちゃん」
桃時「相変わらず悪い顔が似合ってるわね?雨花は。うふふっ……行くわよ!」
橙は、車をコンパスのように何度もターンをして、雨花と桃時の攻撃が全体的に当たるようにして、そのおかげで追っ手の半数以上をを撃破できた。
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
兎白「くそっ完全にこっちの動きが読まれている。ここまで読まれているとは完全に予想外だ。」
ここは、死神組本拠地。大量の天使とそして……
兎白「やはり、妖怪か……こんなに早く追っ手を寄越してくるとはさすがに計算外だ……」
瑠璃人「オレは前衛を支援してきます!」
兎白「俺も行くぞ!」
瑠璃人「いえ!兎白さんはオレたちに指示を出して下さい!!兎白さんさえいれば後でどうにでもなれます!!」
兎白「…………分かった。でも一つだけ約束してくれ。」
瑠璃人「?」
兎白「死ぬなよ」
瑠璃人「…………くっふふ。はい。分かりました。」
こうして、瑠璃人は前衛支援に出向いた。
兎白「…………」
兎白は少しの間黙っていた。そして……
瑠璃人「……やはり、あいつらの本拠地は……」
「「妖怪の住む無法地帯だ!!」」
瑠璃人が着く頃には、組員の廃人になった姿ががそこら中に倒れていた。
瑠璃人「みんな……」
目の前には、天使が組員の体に触れ、廃人化させたり、妖怪が血を吸っているなどとてもむごい状況が広がっていた。
瑠璃人「…………お前らはこんな景色をオレたちにみせているのに、それでも自分たちが正しいと思っているのか」
天使「私たちは天使なのよ?みんなから崇拝されることはあっても憎まれるようなことはしてないわ。私たちがしてることは全て正しい。なぜなら私たちは天使という紛れもない純粋な生きもn」
瑠璃人「もういい。ききたくない。」
妖怪「こいつの気はすごい。とても鍛えられている。強いな。お前。……ひひっお前の血を啜ればもっと力が強くなれるな。」
瑠璃人「やれるものならやってみろよ。」
瑠璃人は傘を持って、まず天使の方に攻撃をした。
瑠璃人「(まずは、このクソッタレ野郎から!)」
しかし、翼によって跳ね返され、斬撃を与えても全て跳ね返される。
瑠璃人「(なっ!妖怪の方は次は何か銃のようなものを……)」
そしてこの妖怪は、毒を混ぜた銃を瑠璃人に浴びせる。それを瑠璃人は華麗に避ける。避けた銃弾が当たった壁はドロドロに溶けた。
瑠璃人「(よ、避けて良かった。もし傘に当たってたら……)」
そして、瑠璃人が次の攻撃をしようとした瞬間、
瑠璃人「な、何!?」
天使が組員を盾にして、瑠璃人の攻撃を避けようとした。
瑠璃人「くぅぅわぁ……っ!」
それに対応が遅れ、攻撃の手が緩み、瑠璃人は、首を天使に掴まれてしまった。
天使「ふふっ……あなた中々綺麗な魂を持っているのね。」
妖怪「早く血を吸わせろ!!」
天使「まぁ待ちなさい。……ふふっ。この子が絶望のどん底に落ちるところを一緒にみましょ。」
そして、天使が瑠璃人の魂に触れる瞬間、
???「御用じゃぁぁぁぁ!!!!」
???「ここに来るまでにかなり時間食っちゃったね。」
???「仕方ないでしょ?次から次へと刺客が来るんだから!!」
死神組本拠地に文字通り飛び込んできたのは、雨花、橙、桃時だった。
────死神組の制服を身にまとって。
天使「何よ……って!あいつは!!」
天使は、動揺して、瑠璃人の首から手を離した。
瑠璃人「ごふっふふ……」
橙「さっき天使に触られてましたけど怪我とか魂いじられたりしてないですか?瑠璃人さん!」
瑠璃人「全然大丈夫……だぜ……!」
瑠璃人に肩を貸して、橙はなるべく天使から離れた。
妖怪「何逃げようとしている?俺からは逃れられないぞ!」
橙「あなた妖怪ですよね?」
妖怪「そ、そうだが……」
橙「じゃあ……」
「「ゆっくり堪能できそうです!ふふっ」」
橙は、ニコッと笑い、そして、妖怪に攻撃を仕掛けたのだった。
「ひ、ひぃぃぃぃ」
桃時「アタシは他の組員の援護にまわるわ」
雨花「うん」
桃時も離れていった。
天使「まさかあなたからここに来るだなんて。「黒い彼岸花」」
雨花「…………」
天使「さぁ来なさい。私が相手してあげるから。」
雨花「…………はぁ……あなた程度なら武器なんて使わなくても余裕で勝てる。あんまり高飛車ぶってんじゃねえぞ。」
雨花は、武器である傘を投げ捨てる。
天使「…………は?あなた何言ってんの?」
雨花「分からないの?本当に頭悪いんだね。じゃあはっきり言ってあげるよ。あなたは……」
「「自分が正しいって思ってるだけのク・ズ・や・ろ・う、ってこ〜と」」
そう言った瞬間、天使は雨花の頭を突こうした。それを簡単に避ける雨花。
雨花「ほ〜ら本性が出た!」
天使「何でお前みたいなやつに責められなきゃいけないんだ!!!!お前こそクズだろうが!!!!人を散々苦しめたって話知ってるんだからな!!」
雨花「わたしはクズにすらなれない奴。あんたより格下だよ。でも……どう?そんな格下に事実を言われて……恥ずかしくないの?」
天使「お前は事実など言ってない!!天使である私たちは絶対正しいんだ!!絶対に!!」
雨花「そう。もういいや。話長いし。」
すると、天使の視界から消えると、雨花は、天使の輪を引きちぎり、雨花はその輪を捨てた。
天使「ぐっぅぅぅぅああああ!!!!」
雨花「…………」
そして、天使は輪を取られたことで人間になり、あまりにも心身ともにショックで気絶してしまった。
???「前までのお前なら息の根まで止めていたのにな?少しは成長できるんじゃないか?」
兎白が天使との闘いが終わったのを確認するために出てきた。
雨花「兎白くん……そうなのかな………」
兎白「まぁまだまだお前は誰かがいてやらなきゃダメなやつだけどな」
雨花「あはは。そうだね。」
二人が話していると、遠くから声がした。
橙「雨花さーん!!!!」
桃時「もう……もうアタシくったくた……しばらく動きたくない……」
瑠璃人「二人とも怪我はしてないみたいだな。良かった。」
兎白「俺はずっと指示を出していただけだがな。」
「でも……」と、兎白は向き直る。
兎白「またこうして五人生きてて良かった」
瑠璃人「そっすね!」
桃時「アタシたちが負けるはずないわよ!」
橙「皆さんご無事でなによりです。」
雨花「…………」
橙と桃時、兎白、瑠璃人が談笑する中、独り別のことを考えていた者がいた。
「(生きてて良かった……か。わたしのことを知ってもそんなこと言えるのかな。)」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
兎白「あいつはどうなった?」
瑠璃人「今病院で集中治療受けてます。それであいつが何で裏切ったかというと……」
何故死神組を裏切ったのか。それは、ある妖怪に恋をしたようで、その妖怪も好きという両思いだったのだが、それを妖怪の長は許すことなく、許されるために忠誠を誓ったようで、最後の最後まで自分の好きな人を深く好きでいるために、裏切ったのだと言う。
兎白「そうか……分かった。」
瑠璃人「処断どうしますか?」
兎白「死神組に戻るなら、一つ降格させて、仲間に引き戻す。戻らないなら、それも尊重する。あいつの意思次第だ。」
瑠璃人「……切腹じゃないですか?あいつのせいで雨花たちは!」
兎白「瑠璃人。それは私情だ。処断は私情や私怨を含んで考えちゃいけない。その人そのものをみるんだ。あいつは組のヤツらと一緒にいる時とても楽しそうに笑っていた。偽りかもしれないが、それでも俺たちと一緒にいてくれた。嘘でもなんでも良い。俺たちといてくれたんだ。独りじゃなくさせてくれたんだ。……独りは恐い。それは俺はよく知ってる。そして、あいつはきっとこれから苦しむことになる。自業自得かもしれない。でも、今まで俺たちを独りじゃなくさせてくれたのに、あいつを見放して、独りぼっちにはさせない。それだけは絶対に。だから、あいつの意思に添いたい。あいつが俺たちから離れるという選択を取ったら、それに沿うだけだ。」
瑠璃人「……ぷっふふ……」
兎白「何笑ってるんだ?」
瑠璃人「いやぁ……やっぱり兎白さんだなって想って!分かりました!組員の奴らにもそう伝えておきます!あいつらだってあいつのこと気になってるでしょうし!」
それを聴いた裏切った組員は、歯を食いしばって泣いたそう。
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
橙「本当に神通力使って大丈夫なんですか?」
雨花「うん!腕なまっちゃうし!」
そうして、爆発した橙の家は、雨花が元に戻した。
雨花「はーい終了〜ごめんねぇ〜小雨丸〜急にわたしの家に移動させて〜」
橙「あのドタバタの中で小雨丸さんを自分の家に移したんですか?凄いですね……」
雨花「小雨丸は大切なわたしの相棒だもんねぇ〜」
橙「分かりました……!とにかく!今回は巻き込まれたから良くないけど良いとして、絶対安静ですよ?あなた闘ってましたけど、闘いに行ける体じゃないんですからね?今回ので悪化してるのも知ってるんですよ?」
雨花「えぇ〜知ってたの?ちぇ〜」
橙「…………雨花さん?」
雨花「はいすみませんでした」
橙「じゃあ怪我の手当しますからね?」
雨花「はいはい〜」
こうして、各々いつもの日常に戻って行った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!