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今回は、時間を遡り、「独野黒花」が「紫雲雨花」になる時の話である。
???「黒花、兎白」
???「はい」
???「何でしょうか」
ここは、雫の修行場。「雫」に呼び出されたのは、「独野黒花」と「兎白」だった。
雫「君たちに話すことがある。」
兎白「話すこと?」
黒花「何ですか?それ?」
雫「君たちには……」
「「神様の試験を受けてもらう」」
兎白「え」
黒花「…………」
「「えぇぇぇぇ!!!!!!??????」
神様の試験とは、自身の修行の師匠に許可を貰えなければ受けられない特別な試験。その試験に合格出来れば、正式に神様として仕事ができる。そして何より……
黒花「合格すれば、わたしは本物の神通力が使えるようになりますね」
雫「…………そうだね。」
兎白「〜〜〜〜っ!!!!やった!!!!母さんも父さんも喜ぶぞ!!この十年間この日を待ちわびてたんだから!!」
黒花「あはは。わたしも嬉しい」
兎白「そうだよな!!」
兎白はとても喜んでいた。黒花もニコニコ喜んでいる。
兎白「お前ももっと喜べよ!!」
黒花「これでも充分喜んでるよ?」
雫「(…………黒花)」
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雫「今から……試験内容を早速伝える。」
黒花・兎白「はい」
雫「試験内容は……」
各弟子の師匠の力を込めた彼岸道具「百鬼夜行」という藁人形を夜明けが来るまでに十台倒すこと。「百鬼夜行」は大きな山中に仕掛けられており、自分の色の人形のみを倒す。他の藁人形を倒した時点で失格になる。倒す際に、首に付ける鈴を鳴らさないように固定しながら闘う。
雫「……以上だ。」
兎白「そ、そ、」
黒花「…………」
「「想像の何万倍難しいーーーー!!!!」
雫「これを突破すれば、君たちは神様になれる。黒花はどう想った?」
黒花「特に何も!やるしかないなぁって感じですかね?」
兎白「え!?それだけ?」
黒花「いや別に舐めてるとかじゃないよ?ただ難しいけどやるしかないじゃん?だからそれだけ。」
雫「黒花はこの内容を聴いてもやめるつもりはないんだね。」
黒花「もちろん」
雫「…………そうか」
兎白「…………」
兎白「(雫さんは黒花にやめて欲しかったんだろうな)」
雫「試験は明日だ。ちゃんと準備しておくんだよ。」
黒花・兎白「はい」
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黒花「…………」
兎白「「百鬼夜行」……俺も頼んで修行の時使わせて貰えば良かった……」
この話が気になる人は「透明色の彼岸花 第八話」を読んで下さると嬉しいです!また宣伝すみません!
黒花「まぁでも総合的な強さは兎白くんの方が上なんだし!」
兎白「でも神通力はお前の方が上だろ?」
黒花「兎白くん「安定」というのは中々手に入れられない強さなんだよ?それができてる兎白くんは充分頑張ってるんだよ!だから兎白くん!お互い頑張ろ?」
兎白「!、あぁ!」
そして、次の日。
黒花と兎白は、山の山道前で他の弟子たちと集合していた。
「では、これから第千四回目、『神の試験』を開始します。各師匠によって作られた「百鬼夜行」の前に分かれて集合して下さい。」
黒花と兎白は雫の作った「百鬼夜行」の前に整列した。
「では、ここで皆さんに鈴飾りとリボンをお渡しします。各師匠から既にお伝えされているかと想いますが、試験の最中は、この鈴飾りを首から下げて、それを鳴らさないよう固定しながら、試験を行ってください。外されたり、一瞬でも鳴らすとその場で失格になります。リボンは腕に結び付けて下さい。そのリボンの色と同じ「百鬼夜行」に攻撃して下さい。他の色の「百鬼夜行」を攻撃した際も失格になります。」
黒花は、紫色。兎白は、白色のリボンを腕に付けて各々準備を整える。
「では、皆さん、ご武運を」
そして、とうとう試験が開始した。
黒花は、一瞬で山の中に入り、もう遠くの方を走っていた。
兎白「やるな。しかもあんなに早く動いているのに、鈴どころか足音、衣擦れの音。一切音がしなかった。俺も負けていられない。」
兎白も自分の分の「百鬼夜行」を倒すため、山道に入った。
兎白「………はぁ……はぁ……鈴を鳴らさないように……しかも……はぁ……はぁ……あんなに小さい藁人形を倒すなんて難しすぎる……しかも自分と同じ色の藁人形じゃないとダメなんて……」
そこら中から「百鬼夜行」の気配はする。しかし、他の弟子の「百鬼夜行」の可能性があるため、簡単に手出しできない。
兎白「(感じるんだ……俺だけの……俺の藁人形の気配を……)」
次の瞬間、「百鬼夜行」の集団が、襲いかかってきた。しかし……
兎白「よし!こいつだ!!」
兎白は、お昼になってようやく一台倒すことができた。
その頃、黒花は……
「あいつすげぇ……」「あんなに早く動けて、体も信じられないくらい柔らかい!」「雫さんのとこの女の子の弟子ってことは……あいつは!」「そうだ!あいつは!」
「「黒い彼岸花」だ!!!!」」
黒花は、他の「百鬼夜行」の攻撃は体をしならせながら簡単に避けていく。黒花の体はまるで風船のように軽く身軽に動いていく。
黒花「あなただね。」
黒花は、自分の「百鬼夜行」をみつけた瞬間、信じられないくらいの速さで近くに寄り、傘に収納された銃で攻撃した。
黒花「……これで四台目」
午前中に、黒花は既に四台も倒していた。
「あぁ!いってぇ……!」
黒花「大丈夫?」
「え?あ、あぁ……」
黒花「うん。捻挫してるね。今治すからちょっと待って」
黒花は、同じく試験を受けていた少年の腕を治した。
「お、お前……もう治癒の神通力なんて使えるのか!?」
黒花「まだ完璧じゃないからしばらく安静にしときな。その間に襲ってくる「百鬼夜行」の相手は、わたしがするから」
黒花は、木の上に登ると、「百鬼夜行」たちも襲ってくる。黒花を追ってどんどん大量に「百鬼夜行」が増えていく。それをずっとかわし続ける黒花。
「あ、あんだけ動いててどうしてスタミナ切れしないんだ……?」「それに、鈴も鳴らねぇ。さすが「黒い彼岸花」だ……」
黒花がずっとかわし続けると、「百鬼夜行」たちは退散して行った。
「あ、ありがとう。もう腕も大丈夫だ。」
黒花「そう?じゃあわたしはこれで」
黒花はあっという間に去っていた。
「す、すげぇな。本当に」「なぁ〜」
兎白はと言うと、
兎白「はぁ……はぁ……もう午後になった。暗くなったら「百鬼夜行」を倒せなくなる。今のうちに少しでも削っておかないと」
その瞬間、背後から「百鬼夜行」たちが襲ってきた。
兎白「…………はっ!」
何とか地面を転がり、避けられた兎白。
兎白「想ったより、藁人形たちが襲ってくるな。鈴を鳴らさないようにしようとすると、藁人形たちに攻撃されて、体力を削られるし、かと言って鈴をほっとくわけにもいかないし……」
しかし、段々と自分の藁人形の気配が掴めるようになってきた兎白。
兎白「……はっ!よし!これで三台目!」
午後ちょい過ぎ、「百鬼夜行」を三台倒せるようになった。
そこからは、黒花と兎白がデットヒートしていた。黒花は涼しい顔をして、「百鬼夜行」をかわしながら、自分の「百鬼夜行」にまるで獲物を捉えたはやぶさのように素早くほぼ一撃必殺で藁人形を倒していく。対して、兎白は、自身の体力でカバーしており、真っ向から受け止め、少しずつ削っていくという方法だった。
どっちも闘いにおいて必要なものを持っている二人で、もうすぐ夜明けに近づいていた。
兎白「…………あと一台……どこにいるんだ?」
黒花「あ、兎白くん」
兎白「黒花。あとお前どれくらいだ。」
黒花「あと一台」
兎白「じゃあ俺と一緒だな」
二人が話していると……
ザワザワ
兎白「!」
黒花「この地形。そしてこの時間帯。正真正銘、最後の一撃だね。」
兎白「あぁ、一気に行くぞ!」
二人は背中を合わせる。
少しの静寂。そして……
「百鬼夜行」たちが信じられない程の量で襲いかかってきた。
この中から自身の「百鬼夜行」を倒さなければならない。しかし……
兎白「お前なら分かるな?」
黒花「もちろん」
二人は、お互いの傘を「百鬼夜行」の集団に突き出した。
突き出した先には……
兎白「や、」
黒花「…………」
自分たちそれぞれの傘には最後の自分たちの「百鬼夜行」が刺さっていた。
兎白「やったぁーーーー!!!!」
黒花「本当に……やり遂げた……わ……たしが……?」
???「おめでとう。黒花、兎白」
黒花、兎白の前には雫が立っていた。
兎白「じゃあ……!俺たち……!」
雫「そうだ。君たちは……」
「「正式に神様になれた」」
兎白「う……うぅぅぅぅう……うあ……う」
黒花「…………」
雫は、二人を抱きしめた。
雫「偉い。よく頑張った」
兎白は、号泣し、黒花は、口を噛んで涙を我慢しようとしていた。
こうして、「神の試験」は終わり、夜明けを告げた。
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「では、今回の試験合格者は……」
合格者が発表される。
嬉しくて泣いている者、笑ってる者、悔しくて泣いている者、とても暗い目になっている者、それを励まし、寄り添う者。もらい泣きする者。色んな者が溢れかえっている。
「そして、一番早く合格した者は……」
「「同率で、「独野黒花」、「兎白」」
二人は、弟子たちの前に立った。二人の姿は対象的で、黒花は汚れ一つ付いておらず、兎白は泥だらけ。
「黒花さんにはこれを」
それは、本物の「神魂玉」だった。
人である雨花は、ついに本物の「神魂玉」を飲み込んだ。すると、
黒花「…………!」
黒花の髪のインナー部分が紫色になった。
「おめでとう!!」「すごいすごい!!」「兎白くん頑張って偉い!!」「黒花ちゃん!さっき助けてありがとう!!」
各色々なところから様々な声があがっている。
そのまま、合格した者ものも合格できなかった者もお疲れ様会と評して、桜の木の下宴会が行われていた。その中、桜の木の下、ぼおーっと桜並木を眺めている少女が一人。
黒花「…………」
雫「君は行かないのかい?」
黒花「いえ、ちゃんと行きます。でもその前にお師匠様に頼みがあって……」
雫「何だい?その頼みって」
黒花「…………それは」
「「わたしに新しく名前を付けて欲しいんです」」
雫「え?」
黒花「わたしはもう人間じゃない。もう「独野黒花」という奴を消せる。今のわたしならそれができる。」
雫「でも、……それは……」
黒花「わたしもう嫌なんです。こんな自分消したいんです。そして……楽になりたい。本当は楽になるなんて絶対ダメだけど。でも……それでも……わたしは……」
雫「黒花……」
黒花の瞳は、何も映っていなかった。しかし、その中には切望が含まれていた。何を何に切望してるいるのかは分からないが……
黒花「せめて名前だけでも良いから……お願いします」
黒花は、雫を真っ直ぐみた後、深く頭を下げる。
雫「…………分かった。」
「じゃあ……君の名前は……」と、雫は言う。そして、
「「今日から君は『紫雲雨花』だ。」」
???「……何故そういう名前に?」
雫「君には美しい紫色の髪がある。そして、紫色の雲というのは、とてもめでたい吉兆という意味があるんだ。雨は絶望に寄り添ってくれると想って。そして花は君のご両親が付けてくれた名前から取らせて貰ったよ。君には「独野黒花」という自分も捨てて欲しくない。だから一部だけで良いから付けさせて欲しい。」
「「雨花」」
???「…………自分から頼んだんですから……」
雨花「分かりました。お師匠様」
こうして「独野黒花」から「紫雲雨花」とへと、少女は髪色と共に移り変わっていった。