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「みーなとっ!」
わぁっと両手を広げた紗彩が笑顔で私を呼ぶ。
「さーや、今日も元気だね。」
「だって初授業だよ!楽しみ〜!」
「体育は優しくて面白い先生がいいなぁ〜!」
「うん。そーだといいね。」
相変わらずの明るさに入学早々気が緩む。
紗彩は保育園の頃からの友達で体力おばけな
モテモテ優等生。
きっと高校生活も告白だらけなんだろう。
「湊はもう部活決めた?」
「全然。まだ見学すら行けてないよ〜。
さーやはやっぱバスケ部はいんの?」
「うん!そのつもり!」
「じゃあまた応援いくよ。」
「やった!楽しみにしてる!!」
「また後でね〜!」
紗彩の背中が一瞬にして遠くなる。
紗彩との会話は楽しい。
何気ないことでも明るく話すから
ちょうどよく私をひっぱってくれる。
(えーと、1年D組は…)
紗彩とクラスが離れてしまったことを
残念に思いながら案内を見る。
(とりあえずこのまま歩こ。)
慣れない廊下を流れのまま進むと部活の勧誘を
する先輩たちが沢山いた。
「サッカー部です!初心者もどうぞ〜!!」
「軽音部でーす!
放課後時間あったらおいで〜」
「家庭科部、どうですかぁー」
「ダンス部来て来て〜!!」
廊下いっぱいに広がる声に圧倒されそうだ。
ひとしきり辺りを見回していたら
そこはもう私のクラスだった。
(ここでまずは1年間。うまくやろう…!)
入り口で座席表を確認する。
(私の席は…うわ、窓際だけど一番前かぁ…
まぁ、毎年そうだけど…)
小さな緊張を握りしめて一歩踏み出す。
クラスに入ると黒板に大きなよろしくの文字。
少しだけど飾り付けがされていて、
窓の外にはまばらに花を残した桜の木が見える。
(高校生活、けっこー楽しみかも。)