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人里離れた山奥。
漏瑚は硫黄の匂いがする秘湯の岩場に腰掛けていた。
「あ、いたいた!漏瑚ー!」
真人は派手な水飛沫をあげて温泉に飛び込む。
「真人…それに夏油と琥珀も帰ったか。」
「呪力は大分戻ったようだね。」
「まぁな、ここは居心地がいい。
「人間も寄りつかないところですね。」
「肉体が無いのも考えもんだよね〜、自己補完の効率悪いし。」
「真人と琥珀、お前らも随分と消耗しているな。」
「あ、バレた?宿儺とその器、アイツら天敵でさ。」
「私は単純に実力不足でやられました…」
「たまたま手に入った玩具から始まった遊びだったけど、中々うまくいかないね。最初は良かったけど…やっぱり人質とってハッキリ縛り作らせるべきじゃなかった?」
「いや、縛りはあくまで自分が自分に科すものだ。他者の介入や他者間との縛りは簡単ではないよ。」
「漏瑚、宿儺に触れて分かったけど、取り敢えず夏油のプランを軸に進めていいと思う。宿儺にはそれだけの価値がある。」
「指を全て集めて宿儺に献上する…か。結果儂らが全滅してもだな。いいだろう、100年後の荒野で笑うのは儂である必要はない。呪いが人として立っていれば、それで良い。」
「じゃ、まずは高専の保有する6本の指を回収するよ。」
「必要か?放っておいても勝手に食うだろ。術師は宿儺の指を取り込ませるために、虎杖悠仁を飼っているのであろう?」
「高専上層部は虎杖悠仁の器としての強度を計りかねている。何本目から暴走するかとかね。例外を除いて、取り込ませるのは全ての指を揃えた後さ。」
「例外っていうのは五条悟ですね。」
「それまで待てないだろう?最悪、虎杖悠仁が上に消される可能性もある。」
「虎穴に入らずんば、か…さて、どうしたものか。」
「手は打ってある。そのために、手持ちの指を高専に回収させたんだから。」
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陀艮の領域にて、私は陀艮と戯れながら羂索達と今後について話していた。
「高専にある寺社仏閣。そのほとんどがハリボテで、天元の結界術によって日々配置を替えるんだ。その中の1000を超える扉の内の1つが、指を含む危険度の高い呪物を保管する蔵へと通じている。その日、どの扉が蔵へ通じているかは天元しか知らないから、邪魔は入らないと思うよ。」
「天元とは何者だ?」
「不死の術式を持った術師ですね。」
「不死!?五条悟とどちらが強い。」
漏瑚のテンションが上がったのか、頭の火山が少し噴火する。
「不死であっても不老ではないんだ。ただの木か何かだと思ってくれていい。天元は結界の運用以外、基本現に干渉しない。本当に気にしなくていいよ。」
「以前、高専に回収させた指。回収前、アレに真人の呪力で作った札を貼っておいた。1層の封印の内側だから、まず剥がされない。真人なら簡単に辿れる。」
「私も九相図と指を回収しにいっていいですか?」
「琥珀は花御と共に行動していて。」
「門番的なのは?」
「扉から蔵までの間に天元の側近が2人、雑魚だよ。それよりも、真人は帳が降りる前に、高専で待機している術師をできるだけ静かに間引いてほしい。」
『何故、五条悟を帳の内側に閉じ込めないのですか?』
花御が直接脳内に声を送って話した。
「本命の真人に、意識のベクトルを向けさせたくない。ある程度全力を出してもらわないと帳のテストにもならないしね。学生を閉じ込めるのが手っ取り早い。」
『宿儺の器以外は殺していいのですね?』
「…いいけど、あまりオススメはしない。」
『というと?』
「宿儺の動きがさ、少し私のイメージとズレる。これは推測でしかないんだけど、恐らく学生の中に宿儺にとっての地雷がいる。それを踏めば、最悪今回の行動全てが台無しになる。」
地雷というのは伏黒のことだろう。
宿儺はこのときから受肉体を伏黒にしようと考えているはずだ。
「先に虎杖だけ攫ってしまえばいいだろう。どの道、使う駒だ。」
「宿儺自身もまた爆弾だ。私達にとっても、高専にとってもね。刺激するタイミングは、より混乱が求められる時にしたい。」
「10月31日渋谷。五条悟の封印のために、利用できるものは温存しておきたいですね。」
「それから何人か呪詛師も同行するけど…組屋鞣造、コイツは捨て置いていい。最後まで作戦行動のとれる人間じゃない。今後邪魔になる。」
「嘱託式の帳のテスト結果は別の人間が見るので、その人とは険悪にならないでくださいよ。」
「仲良くだってよ、漏瑚。」
「フンッ、儂行かんし。」