テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#雑談!
ゲスト
455
63
#独り言
QuartoMew
1,311
後藤兄妹を見送って、調査を再開。
当初の目的地、駅前に足を進める。
何回も待ち合わせに使った駅前だし、ヒロインを連れ回した事もあるけど、まだまだ知らない店だらけ。
昔ながらの店は、市民全員、どういう店なのか知ってる前提で、屋号さえ掲げて無かったりする。私みたいな新参者からすると、何のお店だが、分かったもんじゃない。
だからと言って、新進気鋭の店が分かりやすいかと言うと、そういう訳でもなかったり。
外観に凝りすぎて、もはやなんの店だか分かんないとか、半分、仲間内で集まるための場所として作られてて、部外者が来づらいようにしてあるだとか。
いっそ、例のロリィタショップくらい、一目で分かるようにしといてくれれば楽なんだけどね。
なんて思ってる間に、駅前に着いてしまった。
目に入るのは、やっぱりロリィタショップ。白とピンクの分かりやすい外観が、却って落ち着く。みんなこのくらい分かりやすくしてくれれば、調べる手間が省けるのにな。
お? 店内に居るのは、さやかちゃんだ。
空手家でありながら、カワイイ物が大好き、でも、そんな自分を隠してた。そのさやかちゃんに、私とこのみちゃんが、半ば無理矢理ロリィタを着せて、その辺のアレコレを吹っ切らせた。
それ以来、さやかちゃんは、定期的にこのお店に行ってるみたい。
というか、朝倉くんとのデートの度に、通学鞄にファンシーなチャームとかが増えてるあたり、結構な頻度で通ってるのが伺える。
声をかけようかな? 邪魔するのも悪いような気もする。ま、折角出会ったんだから、ステータスくらいは見とくか。
(ステータスオープン!)
さやかちゃんの情報が、最新のものに更新される。
カワイイ物好きを隠してるって所が、隠してたって過去形になってる。
いいじゃないの、素直になるって良い事だ。なんて思ってたら、何故かマヤちゃんの情報も更新されていた。
あれ、もしかして一緒に居るの? マヤちゃんは、さやかちゃんLOVEだから、女の子同士でデートに来てるのかな。
にしては、外からだとマヤちゃんの姿は見当たらない。商品の回転が早い服屋ならともかく、こういう店だと生地の日焼けを嫌って、窓が小さいから、シンプル見えないだけかな。
ちょっと、それとなしに通り過ぎるフリしながら、近づいて……とするまでもなかった。
だって、更衣室のカーテンが開いて、フリフリドレスのマヤちゃんが出てきたから。
さやかちゃん、や……やりやがった………。マヤちゃんにロリィタを着せやがった……。マヤちゃんは、ロリ扱いが苦手だから、こういう服は着たがらないはずなのに。
さやかちゃんは、マヤちゃん本人そのものをカワイイ物として認識してるし、そのカワイイにカワイイ着せたら最強! みたいな発想になったんだろうな。
で、さやかちゃんLOVEなマヤちゃんは、言われるがままに着ちゃったと。まあ感じでしょうよ。
しかし、ロリィタ姿のマヤちゃん、めちゃくちゃカワイイな。初見時に思った通り、1/1スケールのフランス人形だ。このまま、ギャラリーに飾れるレベル。
あんまりカワイイから、めちゃくちゃ凝視してたら、さやかちゃんがこっちに気づいた。流石は空手家のカン、いや、これだけガン見してたら普通気づくか。
さやかちゃんは、笑顔で手招きしている。このタイミングで招かれたら、入るしかないよね。マヤちゃんは、恥ずかしがるかもしれないけど、これは不可抗力だから、私は何も悪くない。
「いらっしゃいませ〜」
という店員さんのきゅるるんボイスを食らいながら、店内へと入る。
ロリィタを着慣れた店員さんに、ロリィタに着慣れないはずなのに、やたら似合ってるマヤちゃん。
うーむ、やはり持つ者は強いな。私みたいな持たざる者では、逆立ちしたってこうはならない。
「佐伯さん、これとかさ、マヤさんに似合うと思わない?」
挨拶も省略して、さやかちゃんがデッカイ宝石(風のアクリル)がついた指輪を見せてくる。
私を呼んだのは、マヤちゃんを飾る相談をしたかったのね。
「マヤさんになら、なんだって似合うでしょうけども、実際に付けてみた方が早いでしょう。店員さん、構いませんか?」
確認を取ると、店員さんは「もちろんです〜」と、ワントーン上がったきゅるるんボイスで返事をした。店員さん、完全に買ってくれると思ってるよねこれ。
さやかちゃん、アナタこの店で相当散財したね? 店員さんの反応、完全に上客に接する時のそれよ?
「あれ、人差し指に入らない。すいません、他のサイズは無いですか」
小柄なマヤちゃんの指に入らないって、どういうサイズなの、もしかして、子供用のアクセサリー?
「すいませ〜ん、そのカラーはそのサイズだけなんです〜」
うーん、だったら他の色でもいいんじゃないかな。変わるのは、石(アクリル)の色だけだし___
「あっ、薬指なら入るよ」
さやかちゃん? 何してんのさやかちゃん!? 薬指、よりによって左手の薬指!?
さやかちゃんも女の子。なら、その意味を知らない訳じゃないでしょ!?
マヤちゃんだって、店員さんだって、知らない訳が無いでしょ!?
マヤちゃん、頬を赤く染めてないで、ツッコミをしなさいよ。眼をキラキラさせて、嬉しそうに微笑んでる場合じゃないの。
店員さんも「あらあら」じゃないの。きゅるるんボイスで「あらあら」じゃないの。こういう時に、大人が言ってくれないと困るの。
「あ……あの、橘さん? その……薬指の指輪は………」
ツッコミをするべきか、しないべきか。
状況的にはするべきだけど、マヤちゃんの表情を見るとしない方が良い気がしてくる。
この尊い空間に、半モブが入れる隙間は無いんじゃないか。
「うーん、他の色の方がいいかな?」
「これで……構いません。いえ、これがいいです……」
マヤちゃんは、左の薬指に光る指輪を、愛おしそうに見つめながらそう言った。
それと同時に、消滅する頭上の好感度表示。
あ、今完全に、主人公・朝倉翔太がマヤちゃんの恋愛対象から消えたんだと、私は妙に冷静な頭で理解した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!