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28
一番最初は、みんなとの打ち合わせの日。仕事の関係で少し早く到着したから、いつも長丁場になる打ち合わせ前に少し休んでおこうと思った。
自分の腕を枕にして机に上半身を預けて目を閉じていると、「おはようございます」の声と共に誰かが入って来た気配がした。
いつもならすぐに挨拶を返しながら身を起こすけど。その日は半覚醒状態というか、頭は起きてるのに身体はまだ眠ってるみたいに咄嗟に動けなかった。
「まだ佐久間くんしか来てないんだ…」
そうぽつりと呟いたのが蓮だってことは気付いたけど、身体が動かなくて。俺を起こさないようにそっと荷物を置く音とか、静かに上着を脱ぐような衣擦れの音が聞こえてくる。
やっぱりこいつって優しいなぁってぼんやり考えてると、気配がすぐ側に近付いて来た。
「佐久間くんも仕事終わってから来たんだっけ…お疲れ様」
そんな囁きと一緒に、ふわりと優しく髪を撫でられてびっくりする。
何それ。そんな優しい声で、優しい触れ方で労ってくれるなんて。戸惑いながらも何だか嬉しくて心地良くて、このまま本気で寝ちゃうんじゃないかと思った。
「…寝顔も綺麗だな…可愛い」
へ? 今、何て言った?
言われた内容をすぐには理解出来ないでいると、蓮の手がそっと俺の頬に触れる。そのまま指で唇を撫でられて、背中にぞくりと走るものがあった。
蓮の気配がぐっと近くなって、吐息が顔にかかるくらいの距離で小さな小さな囁きが溢される。
「…お願い、佐久間くん…まだ起きないで」
どういう意味かなんて考える間もなく、唇に何かが触れた。一度離れてもう一度触れ合ったそれは、間違いようもなく蓮の唇で。
蓮が俺にキスしてる。
え、何で? どうして??
目を開けることも出来ないまま頭の中がパニックになる。
最後にぐっと強く押し付けられて蓮の唇が離れた。直後にはぁ…と溜息にも似た熱い吐息が唇にかかって、身体がびくりと震えそうになったのを何とか堪える。
「…キス、しちゃった…ごめんね佐久間くん。ごめんなさい…」
謝罪の言葉と一緒にもう一度頬を撫でられて。ほっとする心地を感じる前に、蓮の手がゆっくり離れていく。
「我慢出来なくてごめんね…」という罪悪感を多分に含んだ呟きと共に蓮の気配が遠ざかっていった。
ようやく目が開いた時には蓮の姿はどこにもなくて。夢かとも思ったけど、俺の横にはぽつりと置き去りにされた蓮の荷物がそのままになっていた。
夢なんかじゃない。確かに今、蓮が俺にキスしたんだ。
そう認識した途端に色々ぶわっと蘇ってきて、顔にも一気に熱が集まって来た。
キスされた。蓮に。間違いなくキスだった。
ドクンドクンと速くなっていく鼓動が苦しかったけど、同時にどうしようもなく嬉しかった。
だって俺、ずっとずっと蓮のこと好きだったんだもん。
蓮は、どうして俺にキスしたんだろう。
聞きたかったけど、俺が寝てたと思ってる蓮に何も言えなくて。
蓮からのリアクションを待っている間に時間ばっかり経っていった。
あの日からもう半年以上経って、キスの回数ばかり増えていく。今更何て聞いたらいいのか、もう分かんない。
蓮がどういう気持ちなのかも分からない。だって蓮は何も言わない。キスをする時でさえ、『好き』とも何にも言われてないんだ。ただ『起きないで』と『ごめんね』だけ。
何にも告げることが出来ないまま、それでも蓮からのキスが欲しくて。俺は今日も1人楽屋で眠ってる。
コメント
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めめのキスを待ってるさっくん…可愛すぎます😍