テラーノベル
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「…不毛過ぎない?」
阿部ちゃんが呆れたように言う。
分かってるよ、そんなの。後にも先にも進めてない、何の意味もない時間を費やしてるって。
「いっそ途中で目を開けてやったら? それか佐久間の方から舌でも入れてやるとか」
「待って阿部ちゃん投げやりになり過ぎてキャラに合わないこと言ってる!」
「…なんてさ、それが出来たら苦労しないなんて分かってるんだよね」
ふふっと笑いながらそう言った阿部ちゃんはいつもの阿部ちゃんだ。
良かった…俺が何の実にもならない相談ばっかりしてるから、とうとうキレたのかと思った。
そういう阿部ちゃんも、絶賛涼太に片想い中。ゆり組リスペクトの阿部ちゃんとしては告白することも諦めてるらしい。
俺から見たら翔太と涼太はそういう感じじゃないと思うんだけど、確証がない以上阿部ちゃんにどうしろとも言えない。
「佐久間はさ、どうしたいの? キスしてくるくらいだから、めめだって佐久間のこと憎からず思ってるんじゃないかな」
「ニクカラズ…難しい言い回ししてくるな、阿部ちゃん」
「ふふ、そうかな。それで、どうなの?」
「だって…言われてないから。蓮から、好きだなんて一言も言われてない」
「あー…そういうことか」
その一言だけで阿部ちゃんは俺が言いたいことが何となく伝わったらしい。
「めめが何にも言ってくれないから拗ねてるんだ」
「だって、ずるいじゃん。俺のこと振り回しといて何にも言わないなんてさ」
「キスされるのは嬉しいくせに」
「そ、れは…しょうがないじゃん。せめて、『起きて』って言って欲しい。そしたらちゃんと応えられるのに」
もし蓮がキスする時に『佐久間くん、起きて』って言ってくれたら。すぐに目を開けて微笑みながら言ってやるのに。
『蓮、好きだよ。キスしてくれるのいつも待ってた』って。
言わせてくれない蓮は、ずるい。
「…佐久間の気持ちは分かるけど、どうにかしたいならどっちかが動かないとね」
「俺が動くの? 何か癪なんだけど」
「そうは言っても、めめが動くの待ってたらいつになるか分からないだろ?」
それは阿部ちゃんの言う通りだ。おっとりしててマイペースで、人よりワンテンポ遅い蓮。
そもそも蓮が動くつもりがあるのかすら分からない。
もしかしたら、キスだけで満足してる可能性もある。
というか、蓮は俺が好きでキスしてるのか?
「…そんな気なかったんだけどとか言われたらきついんだけど」
「さすがにそれはないと思うけど。そうだなぁ…動かざるを得ない事態になってから慌てるより、何とかしといた方がいいと思うけど?」
「どんな事態だよ」って笑ったけど、この数日後にまさかそんな事態になるとは思わなかった。
阿部ちゃんはもしかして預言者なのか…。
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そんな事態とは…🫣
