もっとちのぴが増えればいいのにと思ってる。毎日。
⚠︎これはwrwrd様の名前をお借りした二次創作です。ご本人様とは一切関係ございません。
⚠︎BLです。苦手な人はブラウザバック。閲覧は自己責任でお願いします!
新人後輩
…
凍えそうなくらいに寒い夜だった。
人気の無い真っ暗な裏路地。
首元にかかる生温かい吐息。
まさぐるように自分の体を触ってくる手。
それら全てが自分の敵で、腰が抜けてしまったせいで逃げることすらままならない。
ただ、怖い。
ことの発端は些細なことだった。
チーノと喧嘩して、怒って家を出て。無我夢中で走り続けていたからよくわからない道まで来てしまった。
まだここら辺の地形は覚えきれておらず、何も考えずに飛び出してきたからスマホも財布も持ってない。ポケットに入っていた千円札だけが幸いだった。
「はぁ…どうするかなぁ」
途方に暮れていればバス停が少し先に見えた。
街灯で照らされてホラゲのような雰囲気を醸し出している。
でもバス停を見ればどっちにどう進めばいいかわかるはず…!
急いで駆け寄って、何か有益な情報がないか探していると、突然何かに後ろへ引っ張られた。
知らない男だった。
紅潮した頬と臭いくらいのアルコール臭。酒に酔っていることがわかった。
「君かわいいねぇ…お人形さんみたいだねぇ…」
「ちょっ、やめてくださ…ッ」
抵抗も虚しく、すぐに両手を固定されて告げられる。
「騒ぐと酷い目見るぞ?」
ああ、もう少し鍛えておけばよかった。
服の中にゆっくりと入ってくる手が腹をさする。
恐怖か、涙がぼろぼろと溢れて止まらない。
怖い。怖いよチーノ。
助けてよ。
「ちぃの…」
「あ?んだそ、れ゛ッ」
ごつ、と鈍い音が聞こえて目の前の男の体が揺れる。そのまま横に倒れて動かない。後頭部からは血がどくどくと出ていて、生きているかすらわからない。
「え、な、何…」
「ショッピ大丈夫⁈」
何が起きたかを理解するまで数秒を有した。
ありえない、なんでここにチーノが…。
「ショッピ、何かされてない?痛いとこない?」
「…っ、チーノ、ちぃの、」
「ん?どうしたん」
「おれ怖かった、腰抜けて逃げられんくて、ほんとに、こわ…っ、ゔぅ〜〜っ」
安心して緊張が緩んだおかげで先ほどよりもさらに涙が止まらなくなってしまった。
よしよし、と優しく背中をさすってくれるその手が暖かくてもう何も怖くないとすら思った。
「…ショッピ、ちょっとだけ先に帰っててくれへんか?そこの道まっすぐ行けばすぐにコンビニあるから」
何のために?と思ったが、道の奥にはコンビニの明るい光が見えていて行くのは難しくなかった。
じゃあコンビニで待ってる、と言ってコンビニまで歩く。
チーノの胡散臭い笑顔が、今回だけはなんだか怖かった。
後ろから鈍い音が聞こえてきた事に多少の違和感を感じながら、道をまっすぐ進んだ。
しばらくコンビニの前で待ってると、奥からチーノが歩いてきてる事に気づく。
でも少し様子がおかしくて、目を凝らしてみればその手は…いや、手だけではなく、体全体が真紅に染まっていた。
こちらに気づいたチーノは申し訳なさそうに俯きながら言った。
「あー、すまんなショッピ。俺警察行ってくるわ。自首する」
「は、何言って、待って」
その言葉だけでおおよそ察しはついた。
チーノは多分、あの男を、殺した。
最初の一回だけでも生きているかだいぶ怪しかったが、それでも、トドメを刺した。明確な殺意。
実刑は待ったなしだろう。
「ごめんなぁ…こんな、ダメなやつで」
「ううん、違う。チーノ、違うよ」
どうしてチーノが裁かれなければいけない。
チーノは俺を守っただけだ。アイツが悪いんだ。守られた俺が逃げられなかったのが悪いんだ。チーノは悪くない、そうさせたこの状況が悪い。
「チーノ、逃げよ」
ぽかんと目を見開いているチーノがなんだかおかしくて口元が綻ぶ。
「おれ、財布とか携帯とか、なんか色々持ってくるからチーノはどっかに隠れてて」
血を隠すように自分のジャンパーをかければようやく我に帰ったようで、真っ先にチーノは止めてきた。
でも、そんなのしらん。
俺はチーノの家まで真っ先に走っていき、リュックに水と食べ物を詰めてまた走ってコンビニまで戻った。
「ショッピ、お前は何もしとらんやんけ。逃すとかそんなことしたら…」
「アホ。何のために逃すんや。俺も一緒に行く」
1人にさせて孤独に一生逃げ続けろとかそんなこと俺が言うわけない。
好きな人と一緒にいたいだけ。
人は、恋とはもともと狂っているものなのだ。
恋は盲目。他のものなんてまるっきり興味なんてない。
「なあ、一緒に逃げよう」
一度決めたらもう変えない。俺の決心はそんなにやわじゃない。
最初こそ戸惑ったような顔をしていたチーノだが、ふ、と軽く笑えばいつもの優しい顔で、それに心底安心している自分に少し驚いた。
「…ちょっとだけ先延ばしも悪くないか」
ぽつりと呟いたチーノの独り言を、俺は聞き逃さなかった。
朝目覚めた時に、チーノがいなくなるまであと何日だろう。
ちょっとのさじ加減はチーノの手の中だ。
その独り言を聞かなかったふりをして、チーノに手を差しのべる。
「行こう、チーノ」
「…うん」
これは、俺たちの「ちょっと」だけの逃避行。
…
いったい自分は何を書きたかったんだ…?ってなってます。
とりあえず、まだ一緒にいたいけどョピには幸せになってほしいーノと、一緒にいたいけどーノが考えてる事を割と察しちゃってるョピが好き。(あらすじ)
コメント
1件
こういうの初めて見たけど凄いですね、!!