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E「…ごめん、俺…」
俺のその笑いに反応して咄嗟に謝るえおえお。俯いて俺に渡したチョコレートを取り返そうと、手を伸ばす。
A「ばーか」
俺は伸ばされたその腕を引っ張った。バランスを崩したえおえおは、ソファに座る俺に覆いかぶさるようにして盛大にコケた。
E「な…に…」
貰ったチョコを口に含み、その熱で表面を溶かす。甘い香りの中に交じる僅かな柑橘系の苦味。
(オレンジか…)
わけがわからないと、ぼーっとしているえおえおの胸ぐらを軽く掴み、顔を引き寄せる。
あ…面白い顔してるな…
E「んむっ…!」
A「ん…ふ…」
絶対困惑しているであろうこいつの口の中に、半ば無理やり溶けたチョコレートを押し込む。昔好きだった甘ったるいあの味じゃなくて、ほろ苦くも上品な味。独特なねっとりとした口当たりも、しばらくして俺の口から離れていった。
E「っはぁ…はぁ…」
こくんっとえおえおの喉が鳴るのが聞こえた。
A「うまいな、これ」
ニヤッと笑って、未だに何が起きたのかわからずにいるこいつの目をじっと見つめた。
A「どうよ味は、えおえおさんよぉ?」
E「…ちょっ…まって…」
みるみるうちに顔が赤くなっていく。見られるのが恥ずかしいのか俺の胸に顔を埋め、隠してしまった。そんなこいつの背中をそっと撫でる。そこからでも伝わってくる激しい心臓の音。大丈夫かって心配するほどだ。
E「あろま…さっきの…返事ってこと?」
A「好きに捉えりゃいいだろ」
E「そんな…だったら俺、都合よく捉えちゃうよ?いいの?」
都合良くも何も…なんとも思ってない相手にあんなコトするわけないじゃん。
俺はその癖っ毛の髪に触れ、ちゅ、と軽いキスをする。
A「ほんと、ばかだな。気付けよ」
俺だってあんなこと…
…好きでもない相手には絶対にしないから。
Fin.