テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝の冷たい空気が肺に染みる。
俺たちは崩れた町の中で一度立ち止まり、簡単に持てるだけの荷物をまとめた。
リュックの中には、缶詰や水筒、小さな懐中電灯。
それだけでも、いつまた逃げなければならなくなるかわからないから、命の重みを感じていた。
💜が周りを見渡し、言った。
「ここにはもういられない。次の安全な場所を見つけよう。あの丘の向こうに、大きな森があるって聞いたことがある」
❤が少し元気を取り戻し、うなずいた。
「そこなら、隠れていられるかもしれない」
🤍も黙って頷き、🩷は前を向いた。
「行こう。俺たちがいれば、きっと大丈夫だよ」
バスの残骸を背に、俺たちは新しい目的地に向けて歩き始めた。
瓦礫の山を越え、折れた電線の横をすり抜け、冷たい風が頬を打つ。
歩きながら、誰もが自分の思いを胸に秘めていた。
「生きるために、負けないために」
そんな気持ちが、俺たちの足を止めなかった。
遠くの空には、まだかすかに煙がたなびいている。
でも、その先にきっと、安らげる場所がある。
そう信じて、俺たちは進むのだった。
歩き続ける俺たちの足取りは、日に日に重くなっていった。
瓦礫の上を踏みしめる音と、遠くから聞こえる爆撃の残響が頭から離れない。
ふと、❤が立ち止まり、空を見上げた。
いつもは元気で強い彼の顔に、疲れと影が落ちていた。
「……なあ、正直言っていい?」
その声は、いつもよりもずっと小さくて、震えていた。
みんなが黙って❤を見る。
「戦争……ほんと、嫌だよ」
ポツリと零したその言葉に、一瞬だけ空気が凍りついた。
俺はそっと❤の肩に手を置き、
「……俺も、同じ気持ちだよ」
静かに言った。
💜は少しだけうつむきながらも、ゆっくりと口を開いた。
「でも……ここで諦めたら、俺たちの明日はない。嫌でも、進まなきゃいけないんだ」
僕も、その言葉に頷いた。
「だから、今は怖くても、立ち止まらないでいよう」
みんな目を閉じ、深く息をついた。
「……みんなと一緒なら、少しは頑張れるかもしれないな」
小さな声で笑い合いながら、俺たちはまた歩き出した。
戦争は嫌だ。だけど、今は生きるために、歩むしかなかった。
やっとのことで静かな森の入り口に差し掛かった、その時、
空が急に暗くなった。
「なんだ……?」
💜が空を見上げる。
その瞬間、地鳴りのような轟音が響き渡り、
遠くの空から一斉に爆弾が落ちてきた。
「うわあああっ!!」
みんなの叫び声が森に響く。
💜が叫ぶ。
「伏せて!すぐに地面に伏せて!」
俺たちは必死に身をかがめ、土や葉っぱの中に顔を埋めた。
爆風が辺りを吹き抜け、木々が激しく揺れる。
「うう……こわい……」
🤍の小さな声が震えていた。
「大丈夫だ、みんな!絶対に生きるんだ!」
💜が必死に声を張り上げる。
爆音と共に大地が揺れ、火の粉が空から舞い降りた。
僕たちはただ、目を閉じて祈ることしかできなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!