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赤「ぅ”、ふッ、お”ぇ”ッ、♡♡」
部屋に響く嗚咽音。
それを桃乃は顎に手を当てて眺めて、緑丘は少し憂いを含んだ顔で笑っている。
いっそ吐けた方が良いだが、昨日の昼以来何も口にして居ない為、出す物も無い。
桃「……きつくないの?」
少し不思議そうに問われる。
きつくない訳が無い。
頭は痛いし、涙は滲む。
心臓の音がばくばく五月蝿いし、マシな姿勢を取ろうとしても身動きが取れない。
赤「き、っい”しッ、♡♡」
歯を食いしばって睨む。
桃「へ〜ぇ、」
桃「……すち。」
緑丘に目配せすると、何かを取り出す。
赤「へ、ぁっ、?っ……い”ッ!!♡♡」
手に収まっているのは、小さめの注射器だった。
赤「な、なにぃっ、?!♡」
訳が分からないまま戸惑う。
緑「ん〜、すぐ分かるよ、w」
赤「へ、」
次の瞬間だった。
赤「ぅ”ぐッ、?!♡♡」
ぐらっと先程までとは比べ物にならない程の目眩がする。
同時におこる吐き気。
赤「おぇ”ッ、」
涎だけがマットに散乱する。
桃「楽にしてあげてもいいよ?」
桃乃がそう言うと、緑丘が不満そうな顔をする。
緑「もうやるの〜?」
むぅ、と頬を膨らませている。
桃「良いじゃん、別に。」
そう言って口元に笑みを浮かべる。
緑「はいはい、分かったよ。あれ取って来ようか?」
桃「っと、その前に。」
くるっと此方を振り向き、俺の方へしゃがむ。
桃「どうして欲しい?」
ふふ、とわざとらしく笑う。
最低。
とんだ屑だ。
赤「……ねッ、」
桃「ん〜?」
赤「死ねッッ!!」
赤「___ぁ”ぐッ 、?!」
頭をハンマーで殴られた様な痛みが襲いかかる。
感覚と思考が間に合わない。
起きている事を理解するのには大分時間が掛かった。
緑「どぉ?痛いでしょ?」
桃「あらすちサドだねぇ。」
どうやら緑丘に蹴られたらしい。
自然と涙が溢れ出て来る。
こんなのあんまりだ。
俺は唯、“当たり前の扱い”をしただけなのに。
それが其の儘帰って来てしまった。
緑「ほら、辛い思いする前に俺達の言う事聞きな?プライドなんて捨てなきゃ、ね?」
と、先程とは打って変わった猫撫で声で囁いて来る。
……確かに、そうかもしれない。
どちらにしろ此奴らが何もせずに帰してくれる訳ないだろう。
ならいっそ、楽な方を選んでしまおうか。
赤「、やる、ッ、/」
小さく吐き捨てると、桃乃が顔を覗き込んで来る。
桃「違う、敬語だよね?」
赤「ッ、……」
もう半泣きかもしれない。
こんな奴らに服従しなければいけないなんて。
赤「御願い、しますッ、やらせて下さい…//」
緑「はい、らんらん、持って来たよ。」
桃「お、サンキュ。」
手渡された物を受け取る。
桃「…あ〜やべ、容量少ねぇんだけど。」
すちが写真部からパクって来てくれたカメラを開いて愚痴を吐いた。
緑「しょーがないでしょ、良いじゃん、どうせ貰うんだしデータ消しなよ。」
桃「あらら、すち悪い子〜笑」
ま、大した写真撮ってないしいっか。
少し失礼か。
桃「……」
設定を漁りながら横目でなつの方を見る。
桃(は〜、綺麗な肌してまっせ〜)
少し憎たらしい位だ。
散々愛されて来たんだろうな。
桃「……さて、なつさん用意出来ましたよ。」
満面の笑みを張り付け、なっちゃんにカメラを向けた。
緑「台詞、ちゃんと覚えたよね。」
俺の少し後ろですちが冷淡に聞く。
はー、怖い怖い。
この人が怒ると一番恐ろしいんですから。
赤「おぼえ、ました、」
少々顔が赤い模様。
そりゃそうですよね、あんな性格の悪い台本なんですからね。笑
桃「ほら、何時でも良いよ?」
録画ボタンを押し、小さく震えているなっちゃんを見詰めた。
赤「……ぇと、ッ、/」
しどろもどろになってしまっている。
そんな突っかかる様なもんかな?笑
理性捨てりゃどーにかなるっしょ。ww
桃「はい、言え。」
わざと冷たく告げる。
それだけで、ね?
こんなに怯えちゃってるでしょ?
赤「ッ俺は、ずっと二人をいじめてきました、」
そう言って足をM字に開く。
嗚呼、可愛。
顔真っ赤じゃん。
可哀想に、涎と涙で顔はぐちゃぐちゃ。
赤「俺はどえむなので、っやってきた事、やり返ししてくださいッ、/」
桃「ん〜……」
どうしよかっかな。
何か、物足りない。
緑「らんらん、これ使う?」
桃「ん?……嗚呼、笑」
すちが手元をひらつかせる。
手にはピンク色の機械が収まっていた。
桃「んじゃ、おなしゃす。」
赤「んぇ、?」
緑「はいは〜い。」
混乱してるのかな?
頭回ってないんだよね。
緑「では遠慮なく、、えいっ。」
カチカチカチ、と器具を回す。
同時にバイブ音が響き出した。
赤「へぁ”ッ、 ? ! ぉ”っ 、♡」
突然の事に理解しきれず、なっちゃんの小さな喘ぎ声も驚いた様に悲鳴をあげる。
桃「ほら、ラスト一文良い子に言えるね?」
出来るだけ甘い声になる様に囁く。
赤「は、あ”ぃっ、ぁ”ッ、お”、♡らからッ、/」
「おれのつがい、//になって、くらさぃ♡♡」
桃「ん〜、ど?」
すちの顔を見る。
緑「良いんじゃない、別に。」
そう言ってスイッチを切る。
ま、確かに別にどうでも良いか。
俺らが欲しいのは___
赤「ぃた、?、!」
身体を引き寄せてうなじに噛み付き、すちに渡す。
向こうも同じ動作をした所で、
桃「はい、これ。」
薬を口に含み、飲ませてやる。
赤「あぇ……、?/、」
ほわほわしてる、ウケる。
桃「それ、抑制剤。」
「もう用は済んだから。」
緑「らんらん、しっかり撮れてる?」
「後でファイル作っとくね。」
桃「あざす。」
俺らが欲しいのは、二つの事実。
「番だから手を出して良い」
のと、
「なっちゃんの方から契約して来た事」。
これの動画さえあれば、誰も口答えは出来ない筈だ。
桃「じゃ、帰りますか〜」
緑「放置するんだ、」
「PC持って来たか〜?」
クラスに教師の声が響き渡る。
「えー、じゃあ各自割り当てられたURLから飛んで___」
赤「はぁぁ、」
自然と溜息が漏れる。
以上に眠いのだ。
昨日、起きたら保健室のベッドに寝ており、不思議とヒートを起こして教室を出た後の記憶が無かった。
だがそんな物なくても、決定的な“印”が全てを物語っていた。
「はい、meet入って〜」
「暇、ちゃんと聞いてっか?」
赤「あ〜…、へいへい、」
「ったく、適当だな……」
赤「…………」
今日は個別授業の日である。
個別と言っても、唯Ω、α、βに分けられて長ったるい話を聞くだけ。
第二の性がバレてしまう事を考慮して、家から機材を持って来てイヤホンで受けるのだ。
だからまぁこの時間で俺のΩがバレる事はない。
赤(……それよりも、)
さっと首元に目をやる。
そこには真新しい赤い痣が二つ覗いていた。
見間違え様のない、花弁の様な印。
誰に付けられたのかは分からない。
よく思い出せないのだ。
保健室の教師にやられたのかもしれない。
彼奴αだし。
記憶が無いのは……、
赤(……まぁ、いつか分かる事。、)
今は心配しなくて良い、と自分に言い聞かせる。
内心恐ろしくてたまらない。
それに、ないこやいふ、いるまに気付かれでもしたらとんでもない事になる。
赤「、ふぅ、」
息を短く吐き出し、授業が始まるのを待った。
コメント
3件
あの…初コメ失礼します! 文章構成とか語彙力がとても凄いと感じました…✨尊敬します…ッ!
当たり前って人それぞれ違うから捉え方が難しいですよね 桃緑も結構性格がアレですね笑笑 これからの展開も面白そうですね…