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「あー!やっぱり人がいたぁ!」

砂利を踏み鳴らして二人の後ろに立ったのは、悟よりももっと幼い、5歳くらいの男の子だった。

短パンに、長袖のTシャツ、膝までの白い靴下にスニーカーを履いて、男の子は前歯の無い口でニカッと笑った。

「遊びにきたの?」

男の子は無邪気に二人に近寄ってにこにこと楽しそうに笑う。

「ちがうよ。ぼくらはお兄ちゃんのオハライをしにきたんだ」

悟が答えると、男の子は不思議そうに首をかしげた。

「お祓い?」

悟が頷く。

「電車で呪われたから、オハライしてもらうんだ」

「君が呪われてるの?」

男の子の質問に、悟は首を横にふった。

「ちがうよ。お兄ちゃんだ。透兄ちゃん」

男の子はまたニカッと笑った。

「お兄ちゃんのお祓いだね!」

その時、男の子の後ろからじゃりじゃりと砂利を踏んで、甚兵衛姿の大人の男が現れた。

「ヨウくん。急にどうしたの?」

男は優しそうな笑顔で三人を見た。

「おや、お客さん?珍しいね」

男はにこにこと笑いながら優月と悟を見つめた。

知らない大人の男の姿に、優月の顔に緊張が走った。

それを見て、男はまたにこにこ笑った。

「僕はここの神主の、高山悠(たかやまゆう)と言います。この子は近所の子で、ヨウくん。よろしくね。」

頭に手を置かれて優しく撫でられた男の子、ヨウくんが嬉しそうに笑った。

「神主さん?」

男の正当な身分に、優月は緊張を解いた。

高山は、優月と悟を社務所に招いた。

「ここじゃ寒いでしょう。社務所においで。お菓子もあるよ。ヨウくんの大好きな羊羹だ!」

ヨウくんは、高山の手にじゃれついて大喜びした。

「やった!羊羹!」

その二人の姿に、完全に警戒を解いた優月と悟は、二人のあとを追って小走りに駆けていった。

壁には穴が開き、ガラス窓には穴があいていた。

斜めに傾いだボロボロの引き戸。

ガラガラと大きな音を立てて戸を開け、高山が三人の子供を招き入れた。

躊躇いなく中に入っていくヨウくんに釣られる形で、優月も悟も玄関をくぐった。

中もボロボロだろうという二人の予想に反して、家の中は広くて暖かかった。

まっすぐにのびる廊下に穴はない。

高山が歩いても壊れそうな音は鳴らない。

障子は張り替えたばかりのように白くてきれいだ。

ヨウくんは、靴を脱ぐと、一目散に駆け出そうとする。

そのヨウくんを高山が止める。

「ヨウくん。僕はおやつ用意していくから、二人を居間に案内してくれるかな?」

「うん!いいよ!」

ヨウくんはにこにこ笑うと、靴を脱いで立ち尽くす二人の間に入った。右手に優月の大きな手、左手に悟の優月よりも小さな手を握ると、ヨウくんは駆け出した。

「こっちこっち〜」

二人の体が前に引っ張られる。

いつの間にか二人の顔には薄っすらと笑みが浮かんだ。

そして、「ここー」と言って、ヨウくんは急に止まる。すると、三人は靴下のせいで止まれずに廊下を滑っていく。

「わー」とか「きゃあ」とか、響き渡る声には恐怖はなかった。

悟が転んで、ヨウくんと優月が笑った。

ヨウくんと優月が手を差し出して、悟を助け起こす。

三人は楽しそうに笑い声を上げながら居間へと入っていった。

居間には大きな座卓と、赤色に青色の花びら模様の入ったフカフカの座布団が五枚置かれていた。

ヨウくんを真ん中にして、右に優月、左に悟が座った。

三人が座って、少しだけ窮屈だったが、誰も気にすることはなかった。

ヨウくんはにこにこ笑って、ポケットから小さな箱を二つ取り出した。

「あのさ」

箱を机の上に置きながら、ヨウくんは言った。

「これ、どっちかがすごく悪いもので、どっちかがいいものなんだって。」

二つの箱は、木で作られた5センチほどの立方体。

蓋のようなものはない。

木目の違いはあっても、二つの箱に全く差異は見つけられなかった。

「どっちがいいものか、わかる?」

優月と悟はそれぞれの前に置かれた箱を見つめた。


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