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夕暮れの風が、東卍の溜まり場を通り抜ける。
バイクのエンジン音と、くだらない笑い声が混ざった、いつもの場所。
「おー、来たじゃん」
軽い声で振り向いたのは三ツ谷。
手にはいつもの缶コーヒー。
「遅いってほどでもねぇけどさ、マイキーが待ちくたびれてたぞ」
「は?待ってねぇし」
即座に否定したマイキーは、バイクに腰掛けたまま頬を膨らませる。
子どもみたいなのに、その目は誰よりも鋭い。
「……で、来たなら来たで、ちゃんと俺の隣来いよ」
命令なのか、独占欲なのか、よくわからない言い方。
「相変わらずだな、総長は」
苦笑しながら腕を組むドラケン。
その隣で、あなたを見て小さく会釈した千冬が、少し緊張した顔で口を開く。
「こんばんは。今日は…その、大丈夫ですか?」
心配性なのは相変わらずだ。
「チッ、千冬はすぐそうやって心配すんだよ」
乱暴に髪を掻き上げる場地が、あなたをちらっと見る。
「ま、来てくれたならいいじゃん。な?」
その隣で静かに立っていた一虎は、少し遅れて口を開く。
「……無理してないなら、それでいい」
視線は合わないけど、気遣いだけは確かにある。
「おいおい、空気重くね?」
空気を切り替えるように、後ろから声を上げたのは桜。
「せっかく全員揃ったんだし、なんか楽しいことしようぜ」
その瞬間、マイキーが立ち上がって、あなたの手首を掴んだ。
「なぁ」
低い声。
一気に静まる場。
「俺が守るって言ったの、忘れてねぇよな?」
冗談みたいな口調なのに、目は本気で。
「だからさ」
少しだけ力を緩めて、照れ隠しみたいに笑う。
「俺のそば、いろ」
ドラケンが小さく笑って、三ツ谷が肩をすくめる。
「ま、そういうことだな」
千冬は安心したように息を吐き、
場地は「はいはい」と面倒そうに、
一虎はほんの一瞬だけ、目を細めた。
夜が深まっていく。
だけどこの場所だけは、確かに――あたたかかった。