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あの後は結局、”もしかしたら、もしかするのかもしれない”、なんて
そう俺を期待させるようなメッセージにドキドキしながらも、そんな訳ないかと考えては落ち込んだり、返信したり、ぼーっとして過ごして、気づいたら寝てしまっていた
まぁ、つまり今日は土曜日だ
気分もそんなに悪くない
鏡を見てみるともう目も腫れていないし、普通に外に出れそうだ
そう思ったところで、昨日パスタを作った時にちょうど麺を使い切ったことを思い出した
買い物でも行くか、と服を着替え、髪も軽くセットして用意を済ます
財布やスマホを持って玄関に行き、ドアを開ける
スマホを見ると、まだ10:47
そりゃこんなに明るい訳だ。
やっぱり、気分もよくて天気もいいと気持ちいい感じがするな、なんて 思いながら鍵をかけて、そのまま歩き出す
スーパーにしようか、なんならショッピングモールにでも行って色々見るか
あ、そういえば新作の映画やるんだっけか
面白そうだったんよな〜と思いながら歩道を歩いていると
〚え!ひば?〛
そう聞こえてバッと振り返る、と、
「カナ!?」
手を振って駆け寄ってくるカナが見えた
「え、どっか行くん?買い物とか?」
〚うん!服とかコスメ見に行くの〜!〛
新しいの出るみたいで〜!、と楽しそうに話している
・・・あ、そうだ
「な、それ俺も一緒に行っていい?」
俺がそう言うと、カナは驚いた顔をしていて
〚え?カナは別にいいけど…どしたの?〛
一人で行く予定だったし、と言いながら聞いてくる
「…んー、ほら、恋人とかできたらさ、そういうの詳しい方がいいじゃん?」
会話も弾むしな!、なんて言いながらも、”彼女”ができたら、なんて言えないあたり、やっぱり奏斗のことが好きなんだなぁと、また自覚する
〚・・・ふーん?恋人、〛
「?、どうかしたん?」
〚、ううん!なんでもない!一緒に行こ〜!〛
わーい!楽しみ〜、なんて言いながら俺の隣を歩くカナ
、正直に言うと、女性用の化粧品には詳しくもないんだけど、 あの時カナが俺のことを優先してくれてダメになったお気に入りのリップを買いにいくためだ
なんならカナが気に入ったものならリップじゃなくてもいいしな
なんて考えながらもカナと歩きながら話す
〚顔色も戻ってるし安心したよ〜!〛
”また何かあったらカナを頼るんだよ!約束だからね〜!”なんて言って笑いかけてくる
まぁぁぁじでいい子すぎるな、カナ
「昔みたいに撫でてやろうか〜?」
そう俺が笑いながら言うとカナは嬉々とした様子で
〚うげぇ〜!オシャレしてるのに勘弁!あ、そうだ〜!しゃがんでよ!カナがやる!〛
俺もセットしてきたし無理やって、と笑いながら言う
・・・カナだけじゃなくて、奏斗もいい奴なんだけどさ
、いや、今はそんなこと考えないでいよう
今はカナと一緒にいるんだから、それならカナのことを考えて---
『ひば?』
、この、こ、え
「か、なと ?」
”なんでここに”、”なんで今”、”ここで会えると思ってなかった”、”びっくりした顔、ちょっとかわいいな”なんて、そんなことばかりが頭の中をグルグル回る
回っていたのに
{奏斗くん?}
あ、だめだ
『、椿さん』
『あーえっと、こいつ、 雲雀、僕の相棒のさ』
{わ!そうなんだね!}
”はじめまして!”なんて話しかけられるけど、頭はもう回ってなくて、無理やり回したところでずっとグルグルしてて
どうしよう、答えないと、でも俺今は、どうすれば、
無理やり笑顔を作って何か返そうとするが、焦ったところで考えなんてまとまらないし、決定なんて下せない、なにもできない
それに、デート中って、ことやんな、
奏斗があの子と歩いてて、奏斗の隣にはあの子がいて、互いに名前で呼びあってて、それで・・・
、いや、まっ、て、おれ、いま、どん、な、かお、
〚・・・はじめまして〜!私そこにいる奏斗の妹のカナで〜す!〛
俺を庇うように、カナが前に出てくれる
あぁ、もう、昨日あれだけ泣いたんやけどな、
また少しずつ目が潤んでくる
〚あー!もうこんな時間だよ〜!カナ達これからデートだから行くね〜!〛
バイバ〜イ!なんて言って片手で手を振っている
俺の手を握って引っ張っていってくれるカナの手は少し力が入っていて、それでも、優しくて温かい手だった
カナとカフェに入って、”ちょっとお花摘みにいってくるね!”なんて言って、カナは席から離れていった
・・・そういえば、さっき俺、どんな顔してたんやろ
酷い顔してたんかな、それとも笑顔でいれてた?
、奏斗に、見られてないかな、
好きだってバレたらどうしよう、
脈絡もないことばかりがポツリポツリと浮かんできて、それを考える度にどんどんしんどくなる
、なんで好きになったんやろ
本当に、もう、こんなことなら、な、ぁ
〚ひばお待たせ〜!〛
ハッとして顔を上げる
「、ゃ、全然待ってないし大丈夫!おかえり!」
無理やりにでも、取り繕おうとする
〚・・・ね、ひば〛
「なに?」
なにか、嫌な予感がする
〚ひばさ〛
〚やっぱり奏斗のこと好きでしょ〛
「・・、ぇ、」
”風楽カナ”という、”風楽奏斗”の身内である彼女にはバレたくなかったこと、知られるべきじゃなかったことを直接言葉にされて、俺は掠れた声しか出せなかった
コメント
2件
このお話好きすぎる....尊い(◜¬◝ )