テラーノベル
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ボクは、元知能天使のナナ。
今は、お気に入りの執事さん3人と黒猫さんと一緒に旅に出ています。
ベリアンさんとの思い出は、ほかの執事に比べて結構あると思う。
例えば…一緒にマドレーヌを作ったり、ボクの頭をよしよししてくれたり。
あ、それと…筋肉に、触らせてもらったり…。
うぅ…これは、ちょっと恥ずかしい思い出だな…。
「ナナ様…どうぞ私の手を…」
悪魔の代償(?)によりベリアンは、執事としての立場をなくしたが…。
やっぱり数千年もこうして執事をしていると、マナーが体から離れられないのだろう。
ボクのことをより一層丁寧に扱っているような気がする。
『ん、ありがとベリアン 』
そう言うと、控えめに微笑み、ボクの頭をぽんぽんと撫でた。
「あ、ベリアンずるい!俺もナナちゃん撫でたい!」
「ダメですよベレン貴方だって旅をしている中ずーっとナナ様撫でていたじゃないですか」
「執事の立場なくしたとか言ってるけどそれただの口実じゃない?」
「ベリアルは代償としてそれを持っていきましたが?」
…何故だろう。
兄弟喧嘩(?)をしている。
「な、なぜ2人はケンカをしているんですか…?」
「知らぬ」
ムーちゃんとシロさんは、少し遠く離れたところから見ていた。
『2人とも…助けて…』
バチバチやり合ってる二人の間に挟まれて、しばらく生きた心地がしなかった。
「ナナ様は羽がなくてもお綺麗ですね…」
『まぁ…今は目立たないように閉まっているからね』
「ね、ナナちゃん俺…なんか胸の辺りすごいドキドキしてるんだけど、これが恋なのかな?」
『恋なんて知らないボクに聞かれても…』
…何故だろう。
両サイドに兄弟がいる。
さらに、撫でられまくっている。
『シロさん…助けて…』
ダメ元でシロさんに助けを求めた。
「我がそんなものに付き合うわけがなかろう」
安定の答えが返ってきた。
「ベリアンさん!ベレンさん!ナナ様が困っていますよ!」
ムーちゃんに怒られて、流石にダメかと思ったのか、2人同時にボクから少しだけ離れた。
二人ともこんな可愛い一面がある。
ベリアンも…お気に入りに入れようかな…?
そんな変なこと思っているうちにある街に着いた。
『あ、ここって…エルドラス?』
遡ること少し前。
ベリアン、フルーレ、ロノ、ユーハンと一緒に金継ぎの技術を学んできた。
その街がエルドラス。
「結構遠いところまで来ましたね!ナナ様!」
ボクの方を見て笑顔で話すムーちゃん。
人通りが以前より少し多いため、ムーちゃんを抱っこして移動することにした。
「すみません…ナナ様のお手を煩わせて…」
『大丈夫だよベリアン』
ベリアンに向かって微笑むと、ベリアンの頬が赤くなった気がした。
『あれ?ベリアン。顔赤くなってるよ?』
分かっていて、指摘する。
それが面白い。
「き、気のせいではないですか…?」
「ベリアン。目逸らしてる」
先程の喧嘩とは、うって変わって仲良く会話を楽しんでいる。
ちなみに、シロは…。
すごく離れているところで歩いている。
いや…早歩きだ。
「シロさん…あんなに離れていたら迷子になるんじゃないですか?」
その発言を聞いたのか、ベレンがこちらに来た。
「あ、それいいね面白そう」
ニヤニヤとした顔なので、何か考えがあるのだろう。
『いいよ。ベレンやってみて』
「ふふ、ありがとう主様」
そう言うと、ベレンさんは、大きく空気を吸って
「白くて長い髪で青目のおっきな人が迷子です〜!」
周りの人に聞こえるぐらいの大きさの声で、叫んだ。
「ベレン!?何をしているのですか!?」
「え、面白いでしょ?」
「あぁ、そうだな。ありがた迷惑だ」
ベレンの後ろには、恐ろしいほど微笑んだシロが立っていた。
「あ、シロだ。見つかってよかった」
「こちらに来いベレン」
後ろの襟を掴んで引っ張ってどこかに行くつもりだ。
「ベリアン、ナナちゃんのことはっ…たのんだよ、っうぅ」
わざとらしく、泣いている声を上げながらシロさんを怒らせていた。
「お前は殺されたいのか」
「ごめんね俺主様のお兄ちゃんだから殺されるつもりは無いよ?」
「いつ、お前はあやつの血縁者になった」
お笑いのようで面白いので、ボクも少しノッてみるにした。
『ベレンお兄ちゃんが行くなら…ボクもついて行く!』
何故かベリアンも
「ナナ様が行くなら、私も行きます!」
そしてムーちゃんも
「なら、僕も行きます!」
ノッてくれた。
「…我はいつ悪者になったんだ?」
というシュールな絵面を繰り広げていた。
「ここは?」
「エルドラスだよ〜!ボクも前行ったよ!」
今、私はエルドラスに居る。
ルカスが、「ルート的にここに来ると思います」
と言っていた。
元天使の主なんて、面白そうじゃない。
私が、殺ってあげる。
「主様!主様!撫でてくれますか?」
「いいよ。よしよーし 」
「へへ…」
私のお気に入りのラムリ。
こんな風に撫でると、犬のように甘える。
本当に…調教のしがいがある。
こうやって沢山甘やかせれば…私以外の女見なくて済むよね?
大好きってずーっと言ってくれるよね?
「主様?どうかしましたか?」
「…ねぇ、ラムリ私の事好き?」
「大好きですよ!」
ニコッと可愛く微笑む。
…そうだよね。
ラムリは、きっと…裏切らないよね。
ふふっ、ベリアンと…シロとベレンとかいう執事と…ムー。
あんた達を見つけて…絶対たくさん調教してあげる。
そして…元悪魔執事の主。
この子は生け捕りにして拷問ね。
よし、確定。
「ふふっ…ラムリの事は私が守ッてあゲる、ネ」
ラムリの笑顔が甘く、そして、どろどろに溶けているように見えた。
コメント
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吹っ飛ばしてぇ!!!(新しい主様を)誰かーこいつの口縫ってくれ~!!!ナナちゃん…歩くの苦手だけど一緒に行きてぇ