業務の合間、律がふいに声をかけてきた。
「……さっきのマジック、どこで教わったんですか?」
突然の問いに、華はきょとんと目を瞬いた。
「え? ああ……小さい頃に父に教えてもらいました。失敗しちゃったけど」
照れくさそうに笑う華を見て、律は小さくうなずいた。
「なるほど」
それだけ言って、すぐに視線を資料へ戻す。
けれど華は、胸の奥がほんのり温かくなるのを感じていた。
普段は必要以上に話すことのない律が、自分に興味を持ってくれた――その事実が、嬉しかった。
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