テラーノベル
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リリリリリリリリ…。
目覚ましが、うるさく鳴る。
『んん…あさ…?』
そういえば…今日、何曜日だっけ…。
『仕事に遅れる!』
バタバタと、慌ただしく階段を駆け下りる。
『ベリアン!おはよう!』
ベリアンは、朝ごはんを作っていた。
「おはようございます。主様。どうしたんですか?そんなに急いで」
きょとんとした顔で、俺の方を見てくる。可愛い。
『え、今日何曜日だ?』
「今日は、土曜日です。休日ですよ?」
すると、何かを察したのか、ふふっと微笑み
「もしかして…今日がお仕事の日だと勘違いしてしまったんですか?」
珍しく、いたずらっぽく笑った。
『ち、違う!』
そう言うと、可愛らしく微笑むベリアン。
まるで、女子のように。
キュンキュンとときめく効果音が聞こえるほど、心臓は高鳴っていた。
『このッ…変態執事がッ…!』
「主様がずっと攻めなので。ずっと受けじゃ飽きちゃいます」
『そういうものなの!?』
すると、会話を遮るようにピンポーンとインターホンの音がした。
誰だ…?と思い、ドアスコープを見ると、千春が居た。
「おっはよ〜!ベリアンちゃん!元気かしらっ?」
先程出迎えた時より、イキイキとしている。
どうやら、大体出迎える相手はベリアンらしい。
それを俺が出迎えたことにより、右フックを喰らわされた。
『もう俺嫌いだわあいつ』
「まぁまぁ…千春様も悪気は無いので…」
悪気がなく右フックをする人が居たらそれはそれで怖い。
今、俺にダージリンの紅茶を差し出したのは、ルカス。
千春の趣味で着させられた露出多めのメイド服が良く似合う。
「千春様も困ったものだよ。おじさんにこんな服を着させられるのだからね」
どうやら、ミヤジもいるらしく振り返ってみると、バニー服を着させられていた。
『ミヤジ…同情するよ』
「ありがとう桜雪様。でも、嬉しいんだよ。千春様がはしゃいでくれて」
執事の気持ちはよく分からない。
前世は主だったし、そのまた前世?も一般人だった。
だが、俺がもし誰かに仕えることになったら、きっとそう思うのだろう。
執事になった自分が想像出来ないが。
『というか、お前らもよく前世の記憶持って生まれてきたな。しかも、俺と転生先同じだし』
ふと、思い立って言ってみたが、転生した時からそう思っていたのかもしれない。
ベリアン、ルカス、ミヤジがいるなら…他の18人もここにいる可能性がある。
「実は…私達で調べてみたんだけど」
そう言い、ルカスとミヤジが俺の耳元に近づいた。
「皆この世界にいると思うよ。ほとんどが野生で暮らしていると思うけど」
ルカスの甘い吐息が左耳にかかる。
「ただ、正確な場所が分からないんだ。申し訳ない」
ミヤジの優しい声が右耳から聞こえる。
『それだけでもすごいぞ。二人とも。えらいえらい』
二人の頭を撫でると、幸せそうにはにかむ二人。
前世でも、こうして執事の頭を撫でてあげると、照れたり、幸せそうにはにかんだり、無反応の者もいたりしていた。
二人を撫でていると、前世を思い出して、幸せを感じてしまう。
『平和でいるといいな。15人とも』
「そうですね」
「ああ。そうだな」
みんな生きていることを信じて、目を閉じると千春のクソデカボイスが部屋中に響き渡った。
「着替え終わったわよ〜!ベリアンちゃんちょー可愛い!」
『うるっっっっっせぇ!!!騒音被害!!』
「アンタの方がうるさい!」
いつもの口喧嘩を始めようとした時、猫耳メイドベリアンがひょこっと現れた。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!可愛いぞ〜!!ベリアン〜!』
「オタクですね」 「オタクだな」 「オタクね」
オタクやら言われているが、俺にはそんなもの関係ない。
『ベリアン!もえもえきゅん!もえもえきゅんして!』
「オタクね」「オタクだな」「オタクですね」
前世では、もえもえきゅんとか、オタクとかいう単語はなかった。前世の前世はあったが。
尊い単語が増えたことに関しては、転生に感謝している。
「も、もえもえっ…きゅん」
りんごのように照れながら、両手でハートも作ってくれる。
『ぐほぉっ!好き!好きだベリアン!大好きだぞ〜!』
「あ、ありがとうございます…に、にゃん」
今度は、両手をグーの形にして、俗に言うにゃんにゃんポーズをしてくれた。照れながら。
『結婚しよう!婚姻届市役所に届けてくるから!』
「落ち着きなさいッ!」
千春に殴られたおかげで、理性を取り戻すことが出来た。
こういう時に千春は使えるからありがたい。
そして、色々話は進み、千春達は俺の家に泊まることになった。
これも、千春が「まだベリアンちゃんと居たい〜」と駄々を捏ねたからだ。
珍しく、ルカスとミヤジはドン引きしていた。
ちなみに今は…
『ベリたんは俺の嫁!』
「あたしの嫁よ!」
メイドベリアンをどっちのものにするかで論争していた。 布団の上で。
大体こいつが泊まりに来た時はこんな論争を繰り返している。
そして、それが止まる解決策は…。
「や、やめてくださいにゃんっ!怒りますにゃん!め、ですよ!」
ベリアンがこの喧嘩を止めること。
そうしただけで、この論争は収まる。そして…。
『うんうんそうだね。ありがとうベリアン。可愛いねぇ』
「ごめんねぇ、ベリアンちゃんの手を煩わせちゃって。よしよし」
ベリアンを二人でシェアする。
この時ばかりは、千春に感謝している。何故なら…3○が出来るからな!
俺と千春に挟まれたベリアンは、すっごく照れていた。
本物の猫耳だったらへにょ…と垂れていたかもしれない。
数分はこうして撫でまくっていた。
「こんなだったっけ?うちの主様」
「いや…すごく変わった」
遠くにいるルカスとミヤジは、珍しくドン引きしていた。
コメント
8件
嫁になっちゃった、、、
主さん…引かれてるのになんでやっとんの…?w