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MOMO🩲
ひな
104
けだま15号🍓🐾໊
6,356
夕鳴
128
夜が明ける。
山々の向こうから朝日が昇った。
だが。
旅僧の頭から、札の文字は離れなかった。
『花を探せ』
意味が分からない。
これまでとは違う。
鬼。
餓狼。
名喰い。
師。
墓。
少なくとも、何を指しているのかは分かった。
だが今回は。
花。
それだけだった。
「何か心当たりは?」
旅僧が尋ねる。
墓守は首を振った。
お師さんも。
鐘撞きも。
誰も答えない。
佐衛門も同じだった。
昼過ぎ。
一行は街道を進んでいた。
鐘撞きも同行している。
逃げない。
隠れない。
むしろ何かを確かめるように、佐衛門の近くを歩いていた。
時折。
何か言いたげにする。
だが、結局は何も言わない。
風が吹く。
その時だった。
鐘撞きが足を止めた。
「……近い」
墓守も顔を上げる。
「ああ」
旅僧には分からない。
だが。
二人には分かるらしい。
欠片。
封印。
その気配が。
森を抜ける。
その先に。
一つの村が見えた。
小さな村だった。
だが。
異様だった。
村中が花で埋まっている。
白い花。
青い花。
紫の花。
赤い花。
家の前。
道端。
畑の脇。
墓の周り。
どこを見ても花だった。
まるで村そのものが、花畑になったようだった。
「綺麗ですな」
旅僧が呟く。
だが。
墓守の顔は険しい。
鐘撞きも同じだった。
お師さんも黙っている。
佐衛門だけが、じっと村を見ていた。
「変だな」
「何がです?」
佐衛門は花を見る。
風に揺れる花。
美しい。
だが。
「虫がいない」
旅僧が固まった。
改めて見る。
蝶がいない。
蜂もいない。
鳥もいない。
綺麗すぎる。
生き物の気配が無い。
まるで。
誰かが作った花畑だった。
その時。
村の入口に少女が立っていた。
十歳ほど。
白い着物。
黒い髪。
そして。
両手いっぱいの花。
少女は笑った。
「いらっしゃい」
静かな声。
「お花を見に来たの?」
旅僧は会釈する。
「ええ」
「少し」
少女は嬉しそうに笑う。
だが。
その笑顔を見た瞬間。
墓守が固まった。
鐘撞きも。
お師さんも。
顔色が変わる。
旅僧は気付かない。
だが。
佐衛門は見ていた。
少女を。
長く。
じっと。
そして。
ぽつりと言った。
「泣いてるな」
静寂。
少女の笑顔が止まった。
「え?」
旅僧が振り返る。
だが。
少女は笑っている。
確かに笑っている。
それなのに。
佐衛門だけが首を振った。
「違う」
風が吹く。
「泣いてる」
少女の瞳が揺れた。
一瞬だけ。
本当に一瞬だけ。
悲しそうな顔をした。
そして。
また笑う。
「変な人」
花びらが舞った。
村中の花が揺れる。
まるで。
歓迎するように。
あるいは。
警告するように。
その時。
旅僧の懐で札が熱を帯びた。
慌てて取り出す。
文字が浮かぶ。
『花守』
静寂。
第六封印。
その名が。
初めて姿を現した。
佐衛門は札を見つめていた。
『花守』
その文字を。
何故か。
知っている気がした。
「……菫」
口から、知らない名前が零れた。
少女が。
ゆっくりと顔を上げた。
コメント
1件
第十三話、読み終わりました……「花」がここまで不気味になるんだなって思いました。虫も鳥もいない花畑、笑ってるのに泣いてる少女、そして「花守」。特に佐衛門が「菫」って口にしたところゾクッとしました。なんで知ってるんだろ…次が気になりすぎます🌙