リオとの生活が数日続き、4人と恐竜リオの間には確かな絆が生まれつつあった。リオは朝になると小屋の近くまでやってきて、のんびり草を食べたり、4人を見守ったりしていた。そんな中、ゆうなが突拍子もないアイデアを提案する。
「ねえ、リオに乗れたら最高じゃない?」
「…乗る?」いさなが眉をひそめる。「お前、あの高さで落ちたらどうするつもりだ?」
「でもさ、リオが移動手段になってくれたら、遠くまで探索できるでしょ?」ゆうなが無邪気な笑顔で答える。「それに、もし危険が迫ったら、逃げるときにも便利じゃない?」
みりんが頷く。「確かに一理ある。リオにとっても負担にならないなら、試してみるのもアリかも。」
「でも、サドルなんてどこにあるの?」萌香が不安そうに聞く。「私たちが持ってる装備じゃ無理だよね?」
「作るんだよ!」ゆうなが胸を張った。
サドルを作るには、丈夫なロープや柔らかい布が必要だった。いさながロープを見ながら言う。
「ロープならあるが、足りないな。他に素材を探さなきゃ。」
「藁とか、リオの体に優しいものがいいかもね。」みりんが壁の藁屋根を見上げる。
「じゃあ、私は森で布っぽい植物を探してくる!」ゆうなが勢いよく立ち上がる。「みんなはロープと藁を準備してて!」
「おい、危険なところには行くなよ。」いさなが釘を刺す。「恐竜以外にだって何がいるかわからないんだからな。」
数時間後、ゆうなが手にした大きな葉っぱと繊維っぽいツルを持ち帰ると、みりんが早速作業を始めた。
「まず、これをリオの背中に当てて、どれくらいの大きさが必要か測ろう。」
「大工の腕前でもあるのか?」いさなが感心したように尋ねると、みりんが笑った。
「いや、昔DIYが趣味だったの。意外とこういうの得意なのよ。」
手分けしてロープを編み込み、クッション代わりになる藁を敷き詰め、葉っぱで滑り止めをつけた簡易サドルが完成した。
「よし、試してみよう!」ゆうなが興奮気味にリオに近づく。
リオは相変わらず穏やかで、4人が背中にサドルを装着するのをじっと見守っていた。ゆうなが真っ先にサドルに飛び乗ると、リオが少し驚いたように首を振ったが、その後すぐに落ち着いた。
「やった!怖くないよ!」ゆうなが叫ぶ。「めっちゃ眺めいいし!」
「そんな簡単に言うな…」いさなが呆れ顔で言いながらもリオに乗る。続いてみりんと萌香も乗り、全員が背中に収まった。
「これで移動手段が確保できたね!」みりんが満足そうに言う。
「よし、これからはもっと遠くまで探索できるぞ。」いさなが見据える。「島の秘密も、恐竜のことも、全部明らかにしてやる。」
リオの背中に乗る4人は、広大な島の景色を見下ろしながら、新たな冒険への期待を胸に抱いていた。