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翌日。涼ちゃんは無理を押して楽屋に姿を見せた。顔色はまだ冴えないものの、「大丈夫」と言い張って席につく。
若井は、その様子を横目でじっと見守っていた。
ソファに座った涼ちゃんは、深く肩で息をし、時々目を伏せて体が小さく揺れている。
(やっぱり、まだしんどいのかな……)
心配は募るばかりだった。ふと隣の元貴に目配せをして、小さな声で話しかける。
「元貴、涼ちゃん、無理してるよね。あれちょっと危ないかも….」
元貴もうなずき、視線を涼ちゃんに投げる。
「ダメそうだったら、今日は休ませよう。そのときは俺がスタッフに言うから」
若井も「うん」と答え、再び涼ちゃんの方を見る。
表情には少し不安が滲む。だけど、2人とも涼ちゃんを気遣う気持ちは同じだった。
楽屋の静かな空気のなかで、3人の友情だけが温かく流れていた。