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空気を伝い、お互いの体温すら伝わりそうなほどの距離。
それほどの距離で桔流を見つめ返す花厳の瞳には、はっきりと葛藤の色があった。
花厳のそれを、桔流は見逃さなかった。
「……お願い……」
桔流は、それにまたひとつ懇願をこぼとすと、未だ葛藤の中にいるらしい花厳の唇を、ひとつ食んだ。
― Drop.012『 WhiteRum〈Ⅱ〉』―
両膝を突くようにして腰を据える花厳にぴたりと身を寄せた桔流は、花厳の昂ぶりに、己の熱を擦りつけるようにしてゆったりと腰を揺する。
その間も、ひとつ、またひとつと、桔流は花厳の唇を食む。
そうして食まれる度、桔流の腰に添えられている花厳の手には、やんわりと力が籠められる。
「――花厳さん……」
そんな花厳の理性に鞭打つかのように、桔流は、ひとつそうこぼすと、右の手で花厳の昂ぶりをやんわりと撫で上げた。
すると、花厳は、それを制するように、その大きな手で桔流の手をそっと包み込むと、己自身からやんわりと引き離した。
そして、今度は花厳から桔流の唇をひとつ食み、言った。
「――君のお蔭で、自分の理性がどれだけ脆いかよく分かったよ」
桔流は、そんな花厳の言葉に目を細めて笑むと、嬉しそうに言った。
「ふふ。脆くないですよ。――花厳さんが俺に甘いから、花厳さんの理性も、俺のおねだりに弱いだけです」
それにひとつ苦笑すると、花厳は、
「なるほど」
と言って、熱に浮された脳を宥めるため、桔流に深く口づけた。
その間、花厳は、桔流の尾の裏側を根元から少し強めになぞりあげる。
「ン……ん………………」
桔流はそれに腰を反らせ、ひとつ息を吸うと、思わず小さな感嘆を漏らした。
そして、しばらく深く口付け合った後。
花厳は、ゆっくりと押し倒すようにして、桔流をシーツに沈める。
それからまた、深く深く口付けると、桔流は腰を反らせながら甘くこぼす。
「……んン………………」
その中、桔流の昂ぶりをやんわりと扱くと、次いで自身の熱をそれにあてがい、大きな手で一緒に撫で扱く。
桔流は、その感覚にも背を反らせながら、心地よさそうにひとつ啼くと、熱のこもった息を吐いた。
だが、すぐに片手を花厳の手に添えると、濡れた瞳で花厳を見つめ、言った。
「ん――……俺のは、も……いいです……――これ以上されたら……、出ちゃうから……」
微かに腰をひくつかせ、胸元を大きく上下させて訴える桔流に、花厳は微笑む。
「分かった。――じゃあ、もう挿れようね……」
桔流は、そんな花厳の手をひとつ撫でるようにすると、
「はい……」
と、目を細めた。
花厳は、そんな桔流を愛おしげに見やると、
「ごめんね。俺が時間かけちゃったから――」
と言って、二つの指で桔流の熱を押し拡げた。
「あ、ぁ……」
そして、そこが十分に蕩けきっているのを確認すると、ゆるりと指を引き抜き、
「うん。大丈夫そうだね」
と言い、次いで、十二分に蕩け濡れた桔流のそこに己の先端をあてがい、そのままやんわりと擦りあげた。
「……は、ぁ……」
その刺激に、桔流はまた腰を反らし、身を捩る。
そんな桔流を目で楽しむと、花厳は、再び桔流のそこに己の先端をあてがう。
そして、何にも邪魔される事のないその淫靡な感触に脳を焼かれながら、その昂ぶりを、ゆっくりと桔流の中に侵し挿れた。
「――あっ……あ、ぁ……っ」
花厳によって執拗なほど丁寧に調えられた桔流の熱は、大いにいきり立った花厳の昂ぶりを、滑らかに受け入れてゆく。
しかし、いくら滑らかに受け入れられようが、桔流の身体の芯をも犯す快楽は穏やかではなかった。
ようやっと得た悦びである事もあってか、桔流は、蕩けた壁を無遠慮に押し拡げながらゆるりゆるりと入り込んでくる昂ぶりに、幾度も腰を浮かせた。
花厳は、そんな桔流に覆いかぶさるようにすると、桔流の腰を支え、ゆっくりと雄を熱に沈めてゆく。
「――大分熱いね」
「ンん……ん……」
その間、花厳の低い音で聴覚を刺激されると、桔流は身悶えしては駄々をこねるように甘えた。
花厳の昂ぶりは、桔流の意に反して押し戻そうとする蕩けきった熱に、幾度となく締め上げられる。
「――……」
花厳は、その久方ぶりに感じる直接の感触に煽られ、静かに息を吐く。
そして、休まず侵し続けた雄を根本まで納めきると、軽く息を吐き、花厳は改めて桔流の様子を伺う。
「――大丈夫?」
「ん……、はぃ……」
相変わらず落ち着きのない熱たちは、花厳の昂ぶりをすべて呑みこんだ後も、その先端を擦っては艶めかしく圧し、扱き上げる。
その感覚に目を細めながら、花厳は桔流の頬を愛おしげに撫でる。
桔流はそれに心地よさそうにすると、頭の横に突かれている花厳の手に、自身の手を添えてはひとつ撫で、濡れた唇を少し開き、桔流を見つめ返した。
花厳は、それにひとつ微笑むと、何かに応じるようにして桔流の唇を食む。
そして、それと同時に、花厳はねっとりと昂ぶりを引く。
「ぅン……あっ……ぁっ……、んぅ……」
桔流は、前戯とは比べ物にならないほどの圧迫感に、一際大きく啼いた。
大きく反らされた腰は幾度もひくつく。
花厳は、そんな腰をまたしっかりと支えてやりながら、たっぷりと時間をかけ、引ききった昂ぶりをまた桔流の熱に納めてゆく。
「あぁ……あっ……あっ……」
すると、頭の横に突かれた花厳の手をきゅっと掴みながら、桔流は身を捩って善がる。
花厳は、そんな桔流が反らせた首筋にも口付けると、舌でなぞり、次いで犬歯をかすめるようにして食んだ。
「あッ……ンん……」
桔流は、その刺激にすら酷く過敏な反応を見せ、花厳の頭を掻き抱くようにする。
耳元でこぼされる甘やかな感嘆に聴覚を犯されながら、花厳は、ゆっくりと首筋に舌を伝わせる。
そして、肩口を食み、鎖骨へと舌を這わせる中、桔流の服の中に片手を滑り込ませると、そのまま肌を伝うようにしてたくし上げた。
「ぅんン……」
桔流はそれにまたひとつ善がり、腰を浮かせる。
「君は本当に綺麗だね」
花厳の手が露にした胸元の肌も、酷く白かった。
そんな桔流の胸元が大きく上下する様は、衣服を纏っていた時と比べ物にならないほどの色香で、花厳の欲情を煽った。
花厳は、その色香に犯されるまま、桔流の胸元に口付け、舌を這わせた。
「ぁ……んン……」
舌先を尖らせて周りをなぞれば、首元に回された桔流の腕にやんわりと力が篭るのを感じる。
そのまま舌先を押し付けて、先端を擦りあげれば、より力が篭められ、腰が揺れる。
さらに、少し食んで吸い上げてやれば、甘い声がこぼれ、桔流の太い尾がシーツを強く凪いだ。
また、その間も、花厳はたっぷりと時間をかけながら桔流の中を嬲り続けた。
桔流は、そうして与えられるあらゆる快楽に、幾度も身を捩り、悦んだ。
そんな桔流の乱れ様を存分に堪能した花厳は、次に、桔流の尾の根本へと手をやる。
そして、ぐぐと指の関節を押し付けるようにしながら尾の裏側をなぞり上げた。
「――ひ、あ……っ」
すると桔流は、驚いた様子で一際高く啼くと、その身を大きく仰け反らせた。
花厳の昂ぶりは、一段と激しく締め上げられる。
「桔流君。――ここ、弱いよね」
「花厳さ……、それ……、だめ………………っ」
「駄目なの? 好きじゃなくて?」
フルフルと頭を振る桔流に、花厳は首を傾げながら、今一度ゆっくりと桔流の尾をなぞりあげる。
「やっ…………、だめ、だめ……っ」
その刺激にまた背を反らせると、桔流はまた頭を振るなり、蕩けた声で言った。
「それ、だめ……イッちゃう……」
呼吸を荒げ、そう必死で訴える桔流に、花厳はまた煽られる。
花厳は、熱を帯びた低い声で言った。
「いいんだよ、イッても」
そんな花厳の声に甘く啼きながら、桔流はまたいやいやと駄々をこねる。
「ん、ぅ、……や、だ……――まだ……、や……」
花厳は、その桔流の様子に愛おしさと情欲がこみあげてくるのを感じた。
快楽に犯され善がる桔流は、そんな花厳に紡ぐ。
「花厳さん……と……一緒がいい……」
花厳は、それにひとつ目を細める。
「あぁ。そういう事か。――なら、大丈夫だよ」
花厳の言葉に、桔流は濡れた瞳で問う。
そんな桔流に微笑むと、花厳は、
「俺も、大分我慢してたから」
と言い、桔流に身を寄せ、桔流の赤らんだ頬を撫でてはさらに紡ぐ。
「――それに、俺もそろそろ桔流君の可愛いとこ見たいから」
そして、親指でするりと桔流の唇をなぞると、
「ねぇ。桔流君」
と言い、花厳は、色を交えた低い音で問うた。
「――本当に中がいいの?」
桔流は、それに縋るように言う。
「――……っ――……中が、いい……中に欲しいです……」
そして、花厳の胸元に手を添え、きゅっと服を掴むと、
「――……一番深いとこにください。――花厳さん……」
と、強請った。
そんな桔流に、
「君は心底、誘い上手だね」
と苦笑すると、花厳は、
「じゃあ、桔流君も、君の可愛いところ、――よく見せてね」
と微笑み、桔流が言葉を紡ぐ前に深く口付けた。
そして、先ほどより少しばかり速く重い律動で、桔流を追い立てるようにする。
「ぅ……、ん……、んンぅ……ン……ん」
たっぷりと時間をかけて擦られ、蕩けに蕩けた桔流の中は、大して速くもない程度に速められた律動でも、十分に乱れた。
その律動の度、桔流の腹の奥では、花厳の昂ぶりにまとわりつく粘液達が、いやらしい音を立てて掻き混ぜられる。
「あ、ぁっ……は、あっ……あ……っ……あっ……」
桔流は、その感覚で、花厳の雄が自身の中に確かに在る事を実感する。
その実感が、桔流の脳を更に犯し、快楽の琴線を激しく弾き続けた。
そして、桔流は、自身の腹の底から、何かがせりあがってくるような感覚を覚え、
「あっ……はぁ、……あ、ん……――か、ざり、さ……花厳さ、ぁ……」
と、悦楽に犯されながら、切羽詰まる様子で蕩け啼いた。
「うん。――イキそう?」
「は、ぅ……、ゃ……、ぅん……んン……、あっ……ぁ……」
優しく問いながらも、決して律動を緩めてはくれない花厳に、桔流はしがみつき、こくこくと頷く。
「分かった。――じゃあ、出すよ……」
「は、ぁ……、はぃ……、全部……ください……、ンん」
そんな桔流が再び頷き、花厳をぎゅっと抱きしめると、花厳は片腕を回し愛おしげに抱きしめ返す。
そして、もう片方の手で桔流の腰を支えると、そのまま桔流の腹の奥を抉るようにして、幾度ばかりか熱を掻き混ぜる。
その快楽に追い詰められた桔流が、不意に背を丸めるようにし、
「あぁっ……あっ……花厳さ……っ、花厳さ……ぁ……――」
と啼くと、その甘い呼び声に、桔流の予兆を感じた花厳は、
「うん。いいよ。――可愛いところ、見せてごらん」
と、囁いた。
そして、高まりきった昂ぶりを一気に根元まで納めきると、そのままぐ、と腰を押し付けた。
「ぁあ……っ! あっ……あっ……」
桔流は、熱く蕩けたその身の深部に花厳の熱が放たれているのを感じながら、甘く啼いた。
それからしばらく、二人は、酷くなまめかしく淫靡な余韻を味わった。
その後。
未だその身をひくつかせながら、小さく啼く桔流の様子を存分に堪能した花厳は、ひとつ、桔流に口付けると、愛おしげに言った。
「大丈夫かい」
すると、くてりと脱力しつつも、まだ息が整いきらないらしい桔流は言った。
「はい……」
その桔流の目は、すっかり蕩け切っている。
「ふふ」
そんな桔流にひとつ微笑むと、その汗ばんだ前髪をのけてやりながら、花厳は、
「遠慮せずしちゃってごめんね。―眠かったらこのまま寝ちゃってもいいから」
と言い、ゆっくりと桔流から身を引こうとした。
しかし、その時。
「――あっ……まっ、待ってくださ……っ」
桔流が慌てたように花厳の服の裾を掴んだ。
花厳はそれに少し眉を上げるが、
「あぁ」
と言って、穏やかに微笑むと、桔流を宥めがら続ける。
「驚かせたね。ごめん、ごめん。――大丈夫だよ。もう動かないから。――抜くだけ」
しかし、そんな花厳に、さらに縋るようにすると、桔流は必死の様相で言った。
「ちが、違いますっ……――抜かないで……っ」
「………………え?」
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