思い出したくなくて塞ぎ込んでいた記憶
無理やり、押さえ込んだあの記憶
辛くて、苦しくて、無意識のうちにしまい込んだ
「っかはッ…」
「う”っ…」
「けほっ…」
何度も何度も殴られた
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
やめてって言ってもやめてなんてくれなかった
病気を治す薬だよなんて言って、無理やり薬を飲まされることもあった
何の薬かなんて分からない
ただただ苦くて、苦しくなるだけの薬
「やッ…やだッ…」
何度いやだって抵抗しても無駄だった
キミのお兄ちゃんに頼まれてやってるんだよって何度も言われた
その言葉に呑まれないことに必死だった
信じないために、自分を持ち続けるのにただただ必死だった
どれくらい経ったかわからない
俺が悪いからって洗脳されそうになった時、目の前に光が入ってきた
扉が空いた
何人もの警察官の後ろに、お兄ちゃんがいた
なにかに必死になってる、そんな苦しそうな顔をして
荒い息をして立ってた
あぁ…そんな顔させたくなかったのに…
ごめんなさい…
俺はゆっくりとまばたきをした
なんだか、とても苦しくて、疲れてて
ねむたくって…
「っ…りいぬくんッ…!!」
お兄ちゃんが駆け寄ってきた
近くの警察官たちを押しのけて、俺に向かって
なんだか、それがとてもこわくて
「っ…」
体が動かないから、ギュッと目をつぶった
いつも、そうやって耐えてたから
「無事でっ…よかったっ…」
体が暖かい何かに包まれる
そっと、目を開いた
「ぉに………ちゃ……?」
「よかった…無事でッ…」
感じた温かさは、おにいちゃんの体温だった
あぁそうか
抱きしめられてるんだ、おれ…