テラーノベル
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配信が終わる。
「お疲れさまでしたー」
いつも通りの声。
いつも通りのテンション。
ドズル
「今日、コメント平和でしたね」
おんりー
「ですね。褒め多めでした」
ぼんさん
「最近あったかいよな」
ドズル
「おらふくんのプレイ褒められてましたよ」
おんりー
「“安心感ある”って」
ぼんさん
「いいじゃん」))笑
少し笑う。
おんりー
「ドズルさんも“まとめ方うまい”って」
ドズル
「それぼんさんの役目なんですけどね」
ぼんさん
「いやいや」
おんりー
「ぼんさんは?」
一瞬だけ、間。
ぼんさん
「……俺?」
ドズル
「ありましたよ。“やっぱぼんさん(最年長)いると落ち着く”って」
ぼんさんの視線が止まる。
おんりー
「“安心する”って」
その言葉は、あたたかいはずなのに。
胸の奥が、きゅっとなる。
ぼんさん
「……そっか」
ドズル
「アンチ少ないの、正直ありがたいですね」
ぼんさん
「うん」
それは本音だった。
メンバーへの強い言葉が少ないだけで、救われる。
自分に向く分には、まだ耐えられる。
ぼんさん
「みんなが平和なら、いいよ」
ぽつり。
おんりーは、その言葉を聞き逃さない。
おんりー
「“みんなが”って言いましたね」
ぼんさん
「言ったけど」
おんりー
「“自分は別”みたいな言い方」
ドズル
「確かに」
ぼんさん
「いやいやいや」
笑って流す。
最年長だから。
軽くするのも役目。
ドズル
「今日はもう帰りましょうか」
おんりー
「ですね」
ぼんさん
「おつかれー」
三人でエレベーターに乗る。
沈黙は重くない。
でも、どこか静かだ。
駅で別れる。
ドズル
「また明日」
おんりー
「おやすみなさい」
ぼんさん
「おう」
一人になる。
家に帰る。
部屋の電気をつける。
静か。
さっきの言葉が、ゆっくり浮かぶ。
“安心する”
“最年長いると落ち着く”
それは嬉しい。
本当に。
でも。
ぼんさん
「……安心、ね」
ソファに座る。
頭を後ろに預ける。
安心させる側。
落ち着かせる側。
強い側。
ぼんさん
「それが、条件か」
『強い人の条件。』
崩れないこと。
弱音を吐かないこと。
一番最後まで立っていること。
ずっと、そう思ってきた。
スマホを見る。
〜グループチャット〜
ドズル
「今日もおつかれさまでした〜」
「ありがとうございました!」
おんりー
「また明日、普通に」
ぼんさんは少しだけ笑う。
ぼんさん
「普通に、な」
返信を打つ。
ぼんさん
「おつかれ。明日もよろしく」
送信。
画面が暗くなる。
部屋も、静かになる。
ふと、目頭が熱くなる。
ぼんさん
「……っ」
こらえる。
“最年長”なんで。
その言葉が、頭の中で響く。
でも、誰も見ていない。
今だけは。
ぼんさん
「……ちょっとだけ」
ソファに顔を伏せる。
肩が、わずかに震える。
声は出さない。
泣き声も、嗚咽もない。
ただ、涙だけが落ちる。
ぼんさん
「強いって、なんだよ」
かすれた声。
守りたい。
守れてる。
でも、しんどくないわけじゃない。
誰かに言えばいい。
分ければいい。
頭ではわかっている。
でも。
“安心する” と言われた自分が、
崩れていいのか。
その問いが、胸に刺さる。
数分後。
涙は止まる。
ぼんさんはゆっくり顔を上げる。
ティッシュで目元を拭く。
深呼吸。
ぼんさん
「最年長、続行」
小さく、言う。
辞めない。
でも。
一人で全部はやらない。
その途中段階。
スマホが震える。
おんりー
「寝る前に一つだけ」
ぼんさんは画面を見る。
おんりー
「明日も頼ります」
短い一文。
ぼんさんの口元が、少しだけ緩む。
ぼんさん
「……勝手に頼れ」
小さく笑う。
強い人の条件は、
もしかしたら。
“一人で立ち続けること”じゃなくて。
“誰かに寄りかかられても、倒れないこと”。
そして。
“自分も少しだけ、寄ること”。
ぼんさんは立ち上がる。
電気を消す。
暗い部屋の中で、もう一度だけ呟く。
ぼんさん
「明日も、最年長だ」
その声は、少しだけやわらかかった。
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コメント💬待ってるにょーん
コメント
2件
書くの上手い! めっちゃおもしろかったです!