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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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第140話、読ませていただきました! 射撃レンジデート、めちゃくちゃいいですね。白川さんがライトの装着とか片手撃ちに試行錯誤しながら、黒沢くんの射撃姿に「静かだ」と感じる場面、すごく印象的でした。普段ガンサバで動き回る彼女だからこそ、その対比が鮮やかで。黒沢くんの「ありがと」に何の意味が込められてるのか気になります……! 勉強になった後にご飯ご馳走する流れも、普段とちょっと違う二人の距離感が垣間見えて好きです。次話も楽しみにしてます!
「……うん? “邪魔しちゃったら”、というのは……どう言う事なんだろう?」
「白川さん? どうしたの?」
「す、すみません! 何でもないです!」
急に555からよく分からないメールが来たので、思わず首を傾げてしまったのだが。
今は黒沢君と出掛けている最中なのだ、あまりスマホばかり見ていたら失礼だろう。
という事で、一旦スマホはポーチの中へ。
もしかしたら、他の誰かに送る内容を間違えて私に送った可能性もあるし。
今だけは気にしない事にして、後で確認しよう。
そんな訳で、改めて目の前の事に集中。
そして今は……射撃レンジ。
「部屋の中が明るいから分かり辛いと思うけど、ライトの光の強さはテーブルとかに当てて確かめようか。今は銃に付けてみて、重量バランスとかの確認って事で」
「わ、分かりました!」
今回はレンタル品では無く、黒沢君が色々持って来てくれた。
私が使いやすそうなサイズの銃を幾つか見繕ってくれたみたいで、サブキャラで使っているハンドガンのフルサイズとかもある。
出来れば6keyで使っている2011とか、以前レンタルでも出て来た新しいヤツとかが良かったけど……そっちは無いみたいだ。
だったら私が持って来いよって話なんだけど、私が持ってるのってガンサバ運営から貰った限定モデルだし。
新しい方のフルカスタムとか、まだ販売されてないから見せびらかしたら不味い事になるのは分かる。
あぁでも、お兄ちゃんから個人的に貰った新しいハンドガンだったら別に問題無いのか。
そっちだけは、持って来れば良かったなぁ……。
なんて、今更言っても仕方ないので。
とりあえず黒沢君の銃を一つお借りしてから、件のフラッシュライトを装着。
「あ……意外と重量が変わりますね。思った以上に銃口が重くなってる気がします」
「そうだね。フラットな形で構える場合は、あんまりデメリット無いんだけど。えぇと……前にここで白川さんがやってた撃ち方とか、10のNPCと戦った時の使い方だと、ちょっと気を使うかも」
「…………あの時は、大変お粗末なモノをお見せしました」
「いやいやいや! 凄かったよ!?」
今思い出しても、あれはあんまり良くないよね。
リアルの方は、“結局私の身体能力程度”ではあるんだけど。
普通に考えたら、デート中に見せるものじゃないと思う。
実際あの後筋肉痛になったし、たった数秒の動きだけで。
そしてゲームの方だと、余計に不味い。
最初に早乙女さんに注意されてたでしょうが……メインキャラに近い行動は控えろって。
絶対に、とは言わないけど。
可能な限り避けてくれと言われていたのに、思いっきり6keyと同じ戦い方しちゃったしね。
目撃されたら不味い人、という意味では黒沢君だけだったんだけど。
でもあれから何も追及して来ないって事は、多分バレてない筈。
多分、おそらく、きっと。
そう願いたい。
もしかしたらグレーさんや出っ歯さんも、観戦モードみたいな感じで見ていたのかな?
だとしたら色々と言い訳を考えないと不味いんだけど……もう、今更過ぎるよね。
という事でとりあえず今は気にしない事にしてから、ライトを装備した状態で何度か構えるポーズを取ってみたのだが。
「う、う~ん……」
「思ってたのと、ちょっと違った?」
「多分、慣れの問題とかになるのでしょうけど。少し振り回し辛いというか……」
「振り回す……」
「いや、えぇと! なんでもありません!」
言い訳がましく言葉を紡ぎながらも、ライトの種類を変えて何度も構えを取る。
形や大きさが変われば、当然感覚が変わる訳で。
昨日は4cardから、本当にライトだけを持った使い方は教えてもらったけど。
よく考えたら、片手でライト持っていれば当然銃も片手になる訳で。
そうすると、色々と問題も出て来るというもの。
だとすればやはり、銃に装備出来る物の方が良い気がするんだけど……。
「銃に装備するライトでも、こう何と言うか……パパパッて、つけたり消したり出来るモノってあるんですか?」
「あぁ~そういう使い方か。モノによってにはなるけど……俺が知る限り少ない、かな? 瞬間的なフラッシュを多用する場合は、やっぱり手持ちのライトを使うイメージが強いなぁ。それすらも、物を選ばないと出来ないヤツが多いね」
となると、やはり片手撃ちに慣れるしかないのかな。
でもそうなってくるとなぁ……これまで以上に射撃が雑になりそうなイメージしか湧かない。
う、う~む。
近接特化のtimelimit:10との戦闘とか、敵集団の中に飛び込む様な場面なら、片手でも良いんだけど。
その他を考えると、やっぱりデメリットが大きい気がするなぁ。
けど銃に付けた所で……全部の場面で通用しなくなるとすると、やっぱり持ち替えを前提とした手持ちライトなのかな?
こうなって来ると、やはり“慣れ”が必要になる訳で。
「あの、黒沢君。片手撃ちのお手本を見せて欲しいんですけど……良いですか?」
「全然良いよ。とはいえ、俺じゃお手本になるか分からないけど……普段通りにやってみれば平気?」
「はい! やっぱり、他人が使っている所を見るのが一番参考になるので!」
そんな訳で、黒沢君の片手撃ちを見せてもらう事に。
普段狙撃銃を使っているイメージしかなかったので、慣れてない事をお願いしちゃったかな……という申し訳なさはあったのだが。
いざ撃ち始めてみれば……黒沢君の射撃姿勢、凄く綺麗だ。
更に言うなら、命中精度が凄く高い。
「す、凄いです! え、えと! 早撃ちも見せてもらったりとか……」
「ん、良いよ? そっちも片手撃ちの方が良いのかな?」
「出来ればソレでお願いします!」
という訳で、本日は黒沢君の射撃をたくさん見せてもらう日になりましたとさ。
彼はスナイパーだから、基本的に本気の彼が射撃する所を間近で見た事が無かったけど。
なんて言うか、凄い。
銃を構えた時、この人はとても“静か”になる。
多分、集中力が凄く高いんだ。
まるで周辺の時間が止まったみたいに、ピタリと空気そのものが停止している様に感じる程。
私が常に動きながら撃つ事ばかりしていたからこそ、その違いに驚いているだけなのかもしれないけど。
ちゃんと“当たる人”の射撃って、こういうものなんだって凄く勉強になった気がする。
「なんか、俺ばっかり撃っちゃってるけど平気? 白川さんは? せっかく来たんだから、どうせなら楽しまないと」
「今でも凄く楽しいですけど……もうちょっと見ていたら、駄目ですか?」
「……全然、大丈夫です。けど撃ちたくなったら、遠慮せず言ってね?」
「はい! 分かりました!」
その後はライトを付けた状態とか、手持ちのフラッシュライトと同時に構えた状態での射撃を見せてもらったり。
あっちもこっちもお願いしながら、たまに私も真似して撃たせてもらったり。
そっか、よく考えたら普通は銃って静かに構えて“ちゃんと当てる”物なんだよね。
黒沢君の射撃姿勢は、そんな根本とも言えるソレを思い出させてくれた。
私の場合、当たらないという心配がない所まで踏み込む。
むしろ相手に押し付けながら引き金を引く、こんな事ばかりしていたけど。
普通は、こうなんだよね。
そうなって来ると、4cardなんかは凄く良いお手本だったじゃないか。
あの人もかなり動き続ける様な戦闘スタイルだけど、でも銃を構えて、“当てる”事に意識した時。
特に中距離戦をこなしている時なんかは、すごく姿勢が安定していた気がする。
というか、それこそ動きが“静か”だったと表現するべきか。
この代表格とも言えるのが、スナイパー。
だからこそ黒沢君の射撃を見せてもらって、私なりに色々とまとまって来たというか。
「ありがとうございました! 凄く勉強になりました!」
「なら、良かった。あぁでも、俺からもちょっとだけ良い? 今日使った銃、使いやすかった?」
お店から出る所で、深々と頭を下げながら感謝を伝えていると。
黒沢君からはそんなお言葉を頂いてしまった。
「そう、ですね……? 少し大きいなって気はしましたけど、それを言ったら殆どの銃がそうですし。とても扱いやすかったと思います」
「そっか……なるほどね。ありがと、白川さん」
「え、えぇと?」
何のお礼を言われたのか理解出来ぬまま、その場から移動する事に。
いっぱいお世話になったので、お昼ご飯くらいは私がご馳走しないと。