「神」それは数多の世界を統治する存在。
神は神話の中での存在である、たとえその神がどんなにだらしなく、頼らなくとも、人々は崇拝する。これは、とある世界での一人の人間の物語。そこは、神話の存在でしかなかった神や天使が存在し、数多の種族が生きる世界。
第一章 一幕 旅の始まり
天使が報告する「最高神様、現在の堕天使との戦いについてですが、あまり芳しくないようです」「ふむ、堕天使どもはどうしても抵抗すると言うのだな」最高神は頭を悩ませる。「どうなさいますか?このまま長期戦になれば、勝つのは難しいかと」最高神は長い間考えた末に答える。「では、今すぐに撤退命令を出せ」「よろしいのでしょうか?」天使は恐る恐る聞く。「なに、一旦撤退をして、状況を立て直した方がいい、心配するな、一回撤退したところで計画が潰れやしない」最高神は神座から立ち上がり世界を見渡して笑う「・・・そう、誰にも邪魔は出来ない」
雪解けの季節、とある街外れにある孤児院で一人の少女ははしゃいでいた。「随分はしゃいでいるわね、ユミト」一人の女性が少女に話しかける。「あっシェーニエ先生!」少女は笑顔で言った。「だって、もうすぐ成人でしょ?そしたら念願の世界旅行ができるんだよ!はしゃぐにきまってるよ!」少女は目をキラキラさせて話す。彼女の名前はユミトこの孤児院で育った子だ。シェーニエがひろったのだ。「もうそんなに成長してしまったのね」シェーニエは思い出すあの日のことを。それはとある夜の日、流れ星が一つ二つと流れていく。たくさんの星が流星群となり流れていく中ひときわ大きい星が流れた「あら?」その星は孤児院の近くにある風立ちの地にある神木に落ちた。シェーニエは不思議に思い、風立ちの地に向かった。すると神木の下に小さな赤ん坊がいた。銀色の髪にオーロラを宿したかのような目を持つ不思議な子だった「あの星はこの子のことを知らせたかったのね」シェーニエはその赤ん坊を拾い孤児院へと足を進めた。その子にはユミトと名付け大切に育てた。「あんなちっちゃな赤ん坊からこんなにもたくましく育って」シェーニエは嬉し涙を流す「ちょっと!なんで泣いてるの⁉︎どこか痛いの?シェーニエ先生?」ユミトはあわあわ焦る。「大丈夫よ、ただうれしくってね」「私だって感謝してるよ、だって私が旅に出たいと思ったのはシェーニエ先生の物語のおかげだもん」ユミトは笑う。「ありがとう!シェーニエ先生!」「ユミト・・・」シェーニエは感動してしまった。ユミトは窓に向かって青空に羽ばたく鳥を希望に満ちた目で見つめた「成人、楽しみだなー!」ユミトはワクワクしていた。
時は過ぎて、花が咲き誇る日についに成人の時がきた街は活気にあふれ今日で成人する子たちに神々の祝福が贈られるように、街の人々は歌い踊っている。もちろん孤児院も例外ではない。孤児院ではまだ幼い子供たちが成人する子たちのためにお別れ会を開き、思い出を語り歌うそんな楽しい時間は直ぐに終わり、ユミトの旅立ちが迫っていた。ユミトはカバンを背負い孤児院を出ようとすると「ユミトお姉ちゃーん!」誰かの呼ぶ声がした。振り返るとそこにはシェーニエ先生とユミトが可愛がっていた子供たちがいた。「シェーニエ先生!みんな!」ユミトは飛びかかってきた子供達を受け止めた。一人の子供は心配そうに「本当に行っちゃうの?」と言いながらユミトの服の裾を掴んだ、ユミトは微笑んで「うん」と頷く。すると子供達は寂しい気持ちをグッと堪えてユミトを困らせないようにしました。ふと一人の子供がいいことを考え付きました。「じゃあ、手紙を送ってよ!」「手紙?」ユミトは少し困った顔をしました。「いいけど、手紙を書くのは苦手だから、変でもいい?」こう答えると子供たちは目を輝かせ「うん!大丈夫だよ!」と喜びました。「わかった、じゃあ旅であったことを書いてあげる。楽しみにしててね」「やったぁ!楽しみにしてる!」子供たちは飛び跳ねました。それを見ていたシェーニエはユミトに向き直り、「ユミト気をつけてね」「わかってるよ、心配性だなぁ」ユミトは困ったように笑いました。「心配にだってなるわ、だって旅は危険だらけだもの」シェーニエは不安げに話しました。「大丈夫だよ、毎週来てくれた元ソードマスターのおかげで剣術も身についてるし、いざって時の治療法も持ってるし」ユミトは問題ないと笑います。シェーニエは呆れたように笑い「だったら冒険者ギルドに入りなさい」「冒険者ギルドって?」ユミトは首を傾げました。「冒険者ギルドは国を超えた組織なの、そこに入れば手紙の配達はもちろん、回復薬などの便利アイテムも売っているわ」シェーニエが説明をし終えるとユミトは考え「なるほど、いいね!そうする」ユミトは賛成しました。「じゃあ、そろそろ時間だから行くね」「ええ、行ってらっしゃい」「またね、ユミトお姉ちゃん!」ユミトは手を振るみんなに手を振りかえしながら前へと足を進めました。
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