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トウゴとのジョーゴを終えたシルバは、胡座のトウゴが見守る中でジュリアを指導した。良いカポエィラを見たからかジュリアの集中力は高く、所作には切れがあった。
(そう来なくちゃあ教え甲斐がねえよな。こういう所は間違いなくジュリアの長所だ)高揚したシルバは教えにも熱が入る
二時間弱の練習を済ませて、三人は格闘場を辞した。盛んに話しながら横並びで歩いていく。
静かな夜の道をしばらく行くと、赤煉瓦の住宅が見えてきた。三角の屋根は灰色で、家は小振りながらも堅実な印象である。
周囲には土の地面が広がっており、胸ほどの高さの赤煉瓦の塀に囲まれていた。
ジュリアは軽やかに二人の先を走っていった。「たっだいまー」と歌うように挨拶をして、敷地内に入る。
「今日は見事なまでに、星が綺麗だよなぁ。シルバ君って客人もいるし、思い切って外での夕飯と洒落込もうか」
愉快げなトウゴの提案に、ジュリアはくるりと振り向いた。大きく開かれた瞳はきらきらとしている。
「大賛成! こーんな絶好の外ご飯日和に、家ん中でもそもそしてらんないよね! よーし! あたし、ソッコーで準備してくる!」
向き直ったジュリアは、たたたと走り始めた。
(あんだけしごいたのにどっからそんな元気が出るんだ? 子供のエネルギーは侮れん。……いや、ジュリアが異常なだけか)
シルバが舌を巻く一方で、ジュリアは家の建物前で急停止した。すぐに勢い良く扉を開く。