テラーノベル
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「さっきサンドイッチ食ったから、腹は減ってねぇ」
◆◇◆◇
そうして数分ほど歩き、目的地に到着した。
「着いたな」
圭ちゃんが長い指先で指差した先には
夕陽のオレンジ色に照らされた、近代的なデザインの大きな図書館があった。
自動ドアをくぐると、外の喧騒が嘘のように消え去り
埃っぽい古い紙とインクの混じった、図書館独特の静謐な香りが漂ってくる。
館内は少し薄暗く、天井近くに設置された大きな窓から
夕暮れの柔らかな光が斜めに差し込んで、床に長い陰影を作っていた。
「圭ちゃんが図書館に進んで来るなんて、ちょっと意外……」
「そういう気分なだけ。文句あるかよ」
「ないです……」
カウンターに向かって歩いていく圭ちゃんの後を追う。
だけど、圭ちゃんは本を借りるわけでもなく、そのまま館内の奥へ奥へと進んでいく。
手持ち無沙汰になった俺は、適当な棚に目をやり、本を物色することにした。
歴史コーナーの一角、利用者の人影が全くない奥まった通路に立ち寄り
棚に並ぶ分厚い図鑑をなんとなく眺めていると───
「りゅう」
突然、背後から圭ちゃんの低く掠れた声がした。
「うわっ」と驚いて振り返ろうとした、その瞬間。
ゴツン!
鈍い音を立てて、俺の背中が本棚の壁に押しつけられた。
それと同時に、俺の顔のすぐ横
両脇の壁に圭ちゃんの長い腕が力強く伸ばされる。
逃げ道を完全に塞がれた、いわゆる「壁ドン」の体勢。
「え…?けっ、圭ちゃん??」
あまりの至近距離に、心臓が爆発しそうになる。
見上げる圭ちゃんの瞳は、いつになく真剣で、どこか暗い熱を孕んでいた。
耳元で囁かれる低い声が、ゾクゾクと背筋を這い上がっていく。
「さっきの話の続き」
「け、圭ちゃん、ここ、図書館だよ…?誰か来たら───」
抵抗しようと言いかけた俺の唇は、強引に塞がれた。
「ん……っ!?」
柔らかな、だけど拒絶を許さない強い力で唇を重ねられる。
同時に、圭ちゃんの長い片足が、俺の両足の間にすっと割り込んできた。
身体が完全に密着し、びくとも動けない状態に陥る。
「んむ…っ、けいちゃ……やっ、……んっ」
隙間から必死に声を漏らして抵抗しようとするが、圭ちゃんは一瞬だけ唇を離すと
俺の耳元で意地悪く囁いた。
「図書館では、静かにしないとダメだろ?」
「あ……」と声を漏らした瞬間
それを待っていたかのように、さらに深い口づけが降ってきた。
熱い舌がぬるりと滑り込んできて、口内の輪郭をなぞるように貪り尽くしていく。
息継ぎをする暇さえ与えられない激しいキスに
頭の中が酸素不足でぐにゃぐにゃに溶けていく。
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野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

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