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野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

752
膝の力が抜け、腰が砕けそうになるのを
圭ちゃんは空いた手で俺の腰を強引に引き寄せることで支えていた。
「んんっ……!んぅ…っ♡」
恥ずかしさと、誰かに見られるかもしれないという恐怖
そして圭ちゃんから注がれる圧倒的な熱量に、目元に涙が浮かんでくる。
数分は経っただろうか
俺が完全に降参してぐったりとした頃、ようやく唇が名残惜しそうに離された。
「な、なんで…こんな……っ、」
息を荒く乱しながら、涙目で圭ちゃんを睨む。
だけど、圭ちゃんは片手で俺の顎をくいと持ち上げ、冷ややかな目で歪んだ笑みを浮かべた。
「……わかんねぇの?さっきから俺、ずっと怒ってんだけど」
「え……」
「りゅうが、アイツにベタベタ触らせてたからだよ」
「ぁ、吾妻くん…?俺、別にそんなつもりないけど……っ」
「『つもり』なんか関係ねぇよ。お前見てると無防備すぎんだよ」
「そ…そんなこと」
「…無いって言い切れんの?」
ぐうの音も出ないほど核心を突かれ、俺は「え、えっと……」と言葉を詰まらせた。
「…それより、俺が一番気に食わねぇのは、お前が俺の気持ちを全然知ろうとしねぇこと」
「え…」
圭ちゃんの声のトーンが、怒りから、どこか切ない響きを帯びたものに変わる。
「お前、いっつも俺に遠慮してるじゃん。『圭ちゃんが良かったら』とか『圭ちゃんはどこまでできるか』とかさ」
「ノンケだから、男の自分と付き合うのは無理させてる、って。……好きな男と付き合ってて、ちゃんと好きだって意思表示もしてんのにさ」
「全部、否定されてるみてぇに聞こえんだけど」
「……!!」
頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。
全然、意識していなかった。
圭ちゃんは本来、女の子が好きな『ノンケ』だから。
だから、男である自分との付き合いに無理をさせたくなくて
嫌われたくなくて、気を使っていたつもりだった。
だけど、それが逆に、圭ちゃんを深く傷つけていたなんて。
俺の気遣いは、圭ちゃんの「好き」という気持ちを信用していないのと同じだったんだと気付く。
「…俺なりにお前のこと、めちゃくちゃ大事に思ってんのに」
低く呟かれた圭ちゃんの言葉が、胸に突き刺さる。
「圭ちゃん…ごめん。俺、まさかそんなふうに思わせてたなんて、思わなくて…っ。き、傷つけてごめんね…?」
慌てて謝ると、圭ちゃんは少しだけ面食らったような顔をしたあと
呆れたように言った。
「ったく……少しは自覚持てよ、バカ」
そう言うと、圭ちゃんは再び俺の顎を持ち上げて、唇を重ねてきた。
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