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圭人「ママー!」❄️「あっ、ちょっと圭人くん!」
人混みをかき分けながら歩くと、圭人くんが急に走り出す。
どうやら母親を見つけたらしい。手を繋いでいた希那が人混みに揉まれていく様子を遠目に見ながら、阿英と雅、そして菜瑚芽と瑠羽斗は人ゴミをかき分けながら二人についていく。
圭人「ママ!」
「へ?えっと……」
圭人「ママじゃない……」
❄️「えっ、ごめんなさい人違いだったみたいです」
「あぁ、はぁ……」
圭人くんが話しかけた相手は母親ではなかった。さらに不安が煽られてしまったことで圭人くんは大きな声で泣き出した。希那は繋いでいた手を離すと圭人くんを抱き上げる。背中をトントンと叩きながら、優しい声色で話しかける希那を見て、雅は誇らしいと同時に羨ましさも感じていた。
🧸「俺は抱っこせんで」
🍬「え、心読まれてるんですけど」
🧸「千流にぃが来るの待ってたらええんちゃう」
🍬「来ないかもしれんのに……」
🍄「もう高校生やろ」
⚔️「抱っこてw」
🍬「なんなん?!バカにせんとってくれる?!」
❄️「こんな人混みで喧嘩しないの!」
子供を抱っこした状態で問題児な兄弟たちの相手をして。一番大変な役回りをさせられている希那の肩に手が伸びてきた。
🦂「やっっと見つけた……」
🍬「あ、さそりくんだっこー」
🦂「は?!」
❄️「ぶふっw」
阿英の手を離し、合流してきた陽桜の方に歩いて抱っこを強いる雅に、さすがの希那も笑いが込み上げる。
陽桜も、人混みの中雅を探して歩き回って疲れているのに、だっこだっこといいながら手を出してくる雅には逆らえず、結局雅を抱っこする。
🦂「あのさ、高校生だよね……」
🍬「高校生の前に弟だからね」
7人もの兄に囲まれてそこそこ甘やかされてきた雅は、高校生でありつつも誰よりも甘えん坊なので、高校生だからという羞恥よりも抱っこされたいという欲が勝つことだってある。1番食べるのに身長は平均よりもだいぶ低く、体重も軽い雅は、陽桜からしたらそこまできつくもなかった。
阿英達は屋台で何か買って食べてと寄り道をしていたが、正直あの3人がはぐれるのは問題がないので特に気にせず、希那と陽桜は歩いていった。
圭人「あ!まま!」
❄️「今度はちゃんとママ?」
圭人「うん!」
「圭人!もーどこいってたのよ…!」
圭人「おにーちゃんたちが一緒に探してくれたの!」
「あぁ、ありがとうございます!」
❄️「いえいえ、無事見つかって良かったです!」
🦂「そうね、人多いし見つかってほんと良かった」
親と子の再会を見届けたあと、今度は陽桜たちがいつの間にかちゃんとはぐれた阿英たちを探すターンに入る。
🦂「えぬくんもう自分で歩いて」
🍬「えー」
🦂「さすがの俺も疲れるから」
仕方ないなぁと渋々陽桜の腕から降りた雅は、陽桜の手を取って歩き出す。
これが食べたいあれが買いたいと、今度は屋台のわがままが始まった。
上限を知らない雅の胃には屋台のご飯なんて簡単に入っていく。
3人でたこ焼きを食べながら広場の方に出ると、約4人、見知った顔が喧嘩していた。
🧸「なんでなん?」
🍄「俺ら悪くないやろ」
🦩「いやいやいや、普通にお金出したん俺なんやけど」
⚔️「しょーもないことで喧嘩せんでよ」
🦩「しょーもなくないやろ!」
🍬「あ、文鳥にぃそういえば迷子だったね」
🦩「あ、ぬこみやくんたこ焼き1個ちょーだい」
🍬「むり」
いつの間にか文悟と合流して、どうやらたこ焼きを取り合って喧嘩していたらしい。希那と陽桜は喧嘩の種が尽きないわが弟たちに感心しつつ、呆れたように屋台で色々買うために出て行った。
保護者がいなくなってこの場が静かに収まるわけもなく。
🧸「あれ、ぬこちゃんもう抱っこはええの?」
🍬「疲れたって言われたもん」
🦩「え、抱っこされてたん?w」
🍬「いいじゃん、されたかったんだから。」
⚔️「高校生なのに……」
🍬「高校生でも抱っこされたい時はあるでしょ!」
食べ物を持っていたし、周りにも人がいたため取っ組み合いまでは発展しなかったが、そこそこ口喧嘩がヒートアップしてきたところで泰と千流が合流してきた。
🦔「あんたらうるさいからすぐ見つけれるわ」
🐸「今度はなに喧嘩してんの」
🍄「さっきぬこちゃんがさそりに抱っこしてもらってたんよ」
🐸「なめちゃんも抱っこして欲しいってこと?」
🍬「えー!なめちゃんそれならそうと言えばいいのにー!」
🍄「だるー。ほんま可愛くないこいつ。」
🦔「はははwでもぬこちゃんの成長一番喜んでたのなめこくんじゃない?」
⚔️「え、そうなん?w」
🐸「ばとちゃんもだよ」
菜瑚芽や瑠羽斗からすると、雅は唯一の弟。これだけお兄ちゃんがいると弟は甘やかしたくなってしまうのは兄の定め。
今でこそ雅が生意気になってきて反発することの多い3人だが、まだ雅が小さかった頃ーと言っても泰や翔狗と出会ってからだがー菜瑚芽と瑠羽斗は誰より雅のことを可愛がっていたし雅が計算できるようになった、時計が読めた、家族みんなの誕生日を覚えた、と少しの成長を喜んでいた。
そのころの写真を見ながら話していれば、陽桜たちも戻ってきた。
🦂「あれ、チルにぃと泰さん、きてたんだ」
❄️「ほんとだ、焼きそばとポテト買ってきたけど食べる?」
🍬「食べるー!」
🦔「もう今日はお昼ご飯ここでいいね。」
🧸「せやなー」
迷子騒動もひと段落ついて、兄弟たちの時間を楽しむ。帰りに翔狗のお昼ご飯分を買って、帰路についた。
🍬「抱っこー」
🧸「ほらさそりくん」
🦂「なんで俺?!」
🍬「さそりくん抱っこー」
渋々と言った様子で雅を抱っこする陽桜の顔は言葉とは裏腹に幸せそうで。
誰より甘えん坊な妹と誰より甘やかしたがりな兄たちの破天荒な毎日は、まだまだ続きそうです。