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24 - 第24話 恋愛小説のための恋?

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2025年01月18日

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◻︎雪平さんからのお誘い



「うーん、書き出しが決まらないっ!」


秘密基地でスマホで小説を書こうと、登録はしてみた。

が、先へ進まない。

なんとなく書きたいことはあるんだけど、まとまらない。


コンコンコン!

「ねぇ、ちょっとお茶しない?美味しいワッフル買ってきたから」

「いいねぇ!ちょうど煮詰まってたとこ」


煮詰まるも何も、まだ書き出してもいないのだけど。


ベランダのテーブルには、ガラスの皿に盛られたフルーツたっぷりワッフルと、あったかいコーヒーがあった。

ベンチには礼子が座ったから、私はハンモックに腰掛ける。


「はぁーーーっ!風が気持ちいい」


さっきまで部屋で縮こまっていた体を伸ばした。


「ここは高台だし、そのうえ3階だから眺めもいいし、空気も綺麗な気がするよね?」

「うん、家だとこの感じは味わえないよ」


秘密基地は秘密のままで、家族の誰も知らない。

昼間は誰もいないから、当たり前といえばそうだけど。


「で?小説の方は?」

「まだ始まってもないよ、書きたいことはあるんだよ。ギラギラしてない穏やかな大人の恋…なんだけどね」

「主人公は美和子自身でいいとして、相手になりそうな人は?」


ふんわりワッフルを半分、大きな口に放り込む。


「美味しい!!フルーツたっぷりがいいね」

「ごまかさないの!いるんでしょ?いい感じの人が」

「なんでわかるの?」

「なんか、最近スマホを持ってため息ついてることが多くなったから。それって小説を書きたいからというより、誰かのことを考えてるように見えたんだよね」

「鋭いっ!礼子。そうなの、この前知り合った人でね…、雪平大樹って名前、わからない?」

「雪平…ドラマ?」

「ちがうっ!ケーブルテレビのニュースって、見てない?あ、でも少し前までだけど」

「あー、なんかそんな人いたね、ニュース読む人」

「そう!その人と知り合って連絡先を交換したのっ!」

「いつのまに?」


それから私は、居酒屋で知り合って小説の相談をしたことを話した。


「それは、わかる、美和子の好きそうな人だわ。清潔感と頭が良さそうなとこ、でしょ?」

「見た目もいいわよ、ナイスミドルだよ」

「あ、私は若い方がいいから、どっちかっていうとその銀行マンの方が気になるけど」

「あ、そうですかぁ」


あの後、ごちそうさまでしたとメッセージを送った。

それから少しやり取りをした。

来週、講演会をやるので来ませんか?とお誘いまで受けて、行こうかどうしようかずっと考えていた。


「そのまま、書いてみたら?」

「え?」

「出会いから、その後も。名前と設定を変えてさ。その方が書きやすいと思うよ。感情移入しやすいだろうし」

「なるほど!いいこと聞いた。どこから書こうかな?」


私はスマホを出して、メモにプロットを書いていくことにした。


そして、講演会に行きますと返事をした。





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