テラーノベル
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山奥の隠れ家。襲撃から数時間後、警戒のため眠れない夜が続いていた。
いるまは仲間の1人、真志(まし)に連絡を取り、組織内の情報を探っていた。
📞「……悪いけどよ、今回の情報、ウチの誰かが漏らした可能性が高い」
📞「懸賞金かけられてるの、お前だけじゃない。“ガキ”にもな」
🎼📢「……クソが」
📞「いるま、俺らは信じる。でもお前の周り、洗い直せ」
📞「……“あのときの事件”も、もう一度見直した方がいい」
通話が切れたあと、いるまはゆっくりと煙草に火をつけた。
手がわずかに震えていた。
“自分のせいで、また誰かを殺させてしまう”
その予感が、体中を冷たくさせる。
⸻
深夜3時。
寝室のドアが、そっと開いた。
🎼🌸「……眠れないの?」
いるまがソファでぼんやりと座っているのを見て、らんは黙って隣に座った。
毛布を二人でかぶると、いるまの肩がふっと緩む。
🎼📢「お前、怖くねぇの?」
🎼🌸「怖いよ。でも、いるまのほうがもっと怖がってるように見える」
🎼📢「……」
🎼🌸「俺さ。小さい頃、親に“手出されてた”の、ずっと言えなかったのね。
誰かに知られたら、何かが壊れる気がして。でも本当は――」
🎼🌸「誰かに、気づいてほしかった。……守ってほしかったんだと思う」
いるまは、小さく息を呑んだ。
自分の過去と、らんの過去が、どこかで重なった気がした。
🎼📢「俺も、同じだったのかもしんねぇ。……誰かを守ってるフリして、本当は俺が助けてほしかった」
目を合わせる。
その距離は、もう手を伸ばせば届くほど近かった。
🎼📢「なあ、らん」
🎼🌸「……うん」
🎼📢「……俺の全部、お前にあげたい。
お前が欲しいなら、過去も未来も、全部やる」
🎼🌸「……それ、キスしていいってこと?」
🎼📢「ちげぇよ」
🎼🌸「……え?」
🎼📢「もう、してぇって言ってる」
言い終わる前に、いるまはそっと手を伸ばし、らんの頬を撫でる。
唇が、触れ合う。
それは熱ではなく、温度のある痛みだった。
心を縫い合わせるような、そんなキス。
🎼🌸「……俺、いるまに初めて“あげた”んだよ」
🎼📢「……俺が初めて“奪ってねぇ”ものだ」
二人はそのまま、お互いの温もりを確かめるように、肩を寄せ合って眠った。
外では、闇が牙を剥いている。
だが、ふたりの心は、ようやく“本当の恋”に火を灯し始めた。
コメント
3件
え!さいこーすぎます😭