家に帰った僕はすぐに布団に入って寝直した。
ちなみに時間はもう昼前だ。金魚4匹作ってくたくたなのだ。
家に帰って父と母はどこに行ってたのか不審がっていたが、ランニングに行ってたと言ったら特に追及はされなかった。父はなぜかとても驚いた顔をしていたが早く眠りたかったので特に驚いた理由は聞かずに2階の自室に戻った。
「疲れたなぁ」
金魚4匹は常に僕の周りをゆらゆらと泳いでいる。
「本当にこいつらで大丈夫なのだろうか、サイズも普通の金魚なのに」
不安とは裏腹に疲れていたのだろう、すぐに僕は眠りについた。
俺には少し霊感がある。いや、俺の家系はほとんどが霊的な力があった。俺の名前は涼風 賢治。
代々霊媒師や陰陽師、占い師などを輩出してきた涼風家は代を重ねるほど力が弱まり、ついには父が最後の陰陽師となり、俺は建設業というふつうの仕事をするようになった。
一応あまり知られていないとても力のある土地、まぁ裏山だが、を買い近くで暮らし、修行をすることで力を高めようとご先祖がしたらしいが我が家は衰退の一途を辿った。
俺は力が弱く異形の物は見ることはできず、何かを感じることが精一杯だった。息子の真広と樹にいたっては全く霊感はない。妻の和美にいたっては高校で出会った普通の人だ。
だから二人には霊的な存在や異形についてはまったく教えてこなかったし、する必要もなかった。祖父に伝えてそちらの世界の話はしないようにお願いした。
しかし、今日真広が朝帰ってきた時、俺は驚いてしまった。なにか真広の周りをうろちょろしている存在を数匹感じたのだ。
悪い感じはしないが取り憑かれたのではないかと心配した。
しかし、夜ご飯には起きて体調に変化がなさそうなので、少し様子を見ようと思う。
今のところ悪いものは感じないがなにかあったら祖父の知り合いに頼んで払ってもらおう。
祖父は強い陰陽師ではなかったが優しい人でよく人を助けていたので、周りの人も喜んで助けてくれるだろう。
「真広、体調悪くないか?すごいよく寝てたが…」
「うん、大丈夫!ちょっと疲れてたみたい。むしろよく寝れたからすごく体調いいよ!」
「そうか、それならいいんだが」
たしかに体調は良さそうだ。数日様子を見て大丈夫そうならいいか。今度タイミングが合えば祖父の知り合いにも相談してみよう。
すごくよく寝てたみたいで父に心配されてしまった。
まぁ、疲れてよく寝ることは高校生ならよくあることだ。べつに不審に思わないだろう。
それよりも、僕ははとても困惑している。
すこぶる体調がいいのだ。いや、体が軽すぎる。そして力がみなぎる。
「なんだこの体の軽さは」
ー私が与えた土地神としての力がなじみ始めたのですよー
「え、じゃあ僕強くなってるってこと?」
ーその通りです。下級のあやかしには負けることはないでしょう。中級以上だと危ないと思いますが…ー
「そうなの!?」
ーこれからどんどん力を使えばあなたの体に馴染んでいき、力の使い方も自然とわかってくるはずですー
「へー、なるほどね!じゃあどんどん力は使った方がいいんだ」
ーもちろんですー
「昼も寝たけどまだ眠いから今日はもう寝ようかな」
ーおやすみなさいー
「おやすみー」