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──────Cれいまり──────
私の今の名前は『Cれいまり』。種族は『スライム』。能力は『変化』。その名の通り色んなものに変化できる。しかし、力、頭脳───まあ、外見以外は変われないらしい。成り代わるなら徹底的に仕草を真似なければならない。スライムの寿命、というよりあっさりと討伐されてすぐ死ぬため、あまり意味ないようだ。スライムは、人外の中でも弱い方らしい。いくら天才的な椎名ちゃんと言えど、他種族には詳しくない。そもそも魔人以外に人外種がいることにも今は驚いている最中だ。
今回のCルートは人間VS人外の戦闘に巻き込まれて死亡、ということらしい。めめ村側はなんと、人間側であり、1部のめめ村は人外側のスパイとしているとの事だ。この世界のことは本で大雑把に知ってはいる。大体の流れは頭に入っているはずだ。現在、人外以外のめめ村はまだ生まれていない。ざっと、めめ村が死ぬまで100年くらいだ。その間に準備をする。
───まずは、やらなければならない。私は、地面についさっきやっとのことで倒した同族のスライムに目をやる。こいつは人外なのだ。人間ではない。だけど、今の自分はスライムで───。自身の間に相反する感情が私を苦しめる。内蔵がぎゅっと握りつぶされたかのような痛み。けど、けど。こいつらみたいな人外が、みんなを殺してきたのだ。いくら、今は同族だとしても───。そう、自身に言い訳を続ける。深呼吸を何回も、何回も繰り返して、バクバクと鳴り響く心臓の音を静まるまで待たなければならなかった。
やっとの思いでその心臓の音が収まる。スライムになった私は同族を殺した事を受け入れた難く思っているが、このまま立ち止まれば、世界に殺される。私は、【変化】を使う。体の中が焼けるように熱く、体の中から変えられていく感覚。細胞の一つ一つが他者のものへと変化し、脳がそれを拒絶するが、すぐに脳も変化し、何事も無かったかのように動く。しかし、残った思考だけがそれを不気味に思うらしく、体液を吐き出す。私の周りに、黄緑色のねばねばとした液体が広がる。これが自身から出たものだと、信じたくなくて、さらにまた吐き出す。しかし、こんな事をやっている間にも【東雲椎名】が活動を続けている。数日程度なら、私が二人いても死にはしない。だけど、不安要素は直ぐに排除しなければならない。私は、本に書いてあった【東雲椎名】のいる場所へとむかう。
「───あ、『グロス・ロード』様からの伝令、かな?」
外ハネの多い茶髪の少女がこちらに振り向く。私しかいないのを確認すると、その肌はどろりと溶け、緑色へと変化する。ドロドロとした液体でできた人間のようなものは、東雲椎名で、変化で人間のフリをしたものだ。
『グロス・ロード』は、スライムの王。100年後にゴブリンを筆頭した人外の雑魚種たちと共闘するように持ちかける、割とカリスマ性がある人外。理由は、魔王様のために食料である人間との捕獲のためであり、戦争になる原因を作り出した張本人でもある。私の今回の目標はそいつを殺すことでもある。
ただ、今は。東雲椎名として生きる、まだめめ村と接触していない彼女を殺さなければならない。
私は、この世界に2人以上いてはいけない。だけど、数日でスライムの王を殺せると思えない。だから、私は───。
「───。スライム軍に裏切り者がいると聞いていたが。君だったんだね?」
切りかかったナイフをあっさりと受け止められる。先程まで明るく振舞っていた椎名が感情が剥がれ落ちたかのように無表情になる。自身そっくりの顔が、そんな残虐性のある表情ができることに驚きつつも、私はナイフを握り直す。所詮スライムは雑魚種族だ。その証拠に、私はこの世界に来て初めてあったスライムを殺せた。それも、案外あっさりと。冷静になれば勝てるのだ。そう自身に思い込ませる。
椎名は私を揺さぶるように話しかける。
「スライムで自我を持つ子は珍しいんだ。だから、出来れば殺したくないんだけどねー。あはは!」
…本に書いてあった通りだ。登場人物の紹介欄に書かれていたのは、2面性のあるサイコパス。表面は人懐っこく、愛され気質だが、裏ではスライムのために力を振るい、それ以外の種族はなんとも思っていない。おそらくこいつは正気じゃない。いや、人外から見たら正常なのかもしれない。けれど、こんな奴に、めめ村のみんなが殺されたらたまったものじゃない。私が、今殺さないといけない。
「スライム以外の命をなんだと思ってるんですか!?人間だって、私達と同じく生きてるんですよ!!」
「───だから?人間は私達が必死に働いた銅貨を殺して奪い、経験値としてしか見ない。あいつらこそが死ぬべきなのに、まるでこの世界の中心と言わんばかりに暴れるアイツらの何がいいと言うの?君は、人間の何を知っているの?」
「…私、元人間なんです。生まれ変わって、スライムになりました。村で平和で暮らしていました。けど、遊び感覚で魔人に村を壊され、目の前で村人たちが死んでいきました。───これを知ってもなお人間が悪いと───。」
私がそう説得するために、在りし日の私を語る。あの、私の悲劇を、惨劇を語る。しかし、次の瞬間には、私は椎名によって押し倒されていた。その目にはドロっと熔けた敵意と殺意が練り上げられていた。その気味悪い瞳は、私を粘着し、離してはくれない。
「お前人間だったのか。死ねよ。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッッッッ!!!!!!私のガンマスさんを返せよッッッふざけんなよッッッ!!!?!?」
人間に関することは地雷だったらしく、首を強く押さえつけられる。その手はドロっとしており、人間の手が溶けだしたかのような見た目をしている。指先は緑色に変化しており、少し透き通っている。そして、少しひんやりとしている。しかし、力は強く、ねばねばとしているせいでなかなか取れない。息が出来なくて、苦しい。気管が押さえつけられ、呼吸を無理やり止められる。それでもなお、息をしようともがくが、その間に、体の中にある核が浮き上がってしまう。
「ビンゴ。人間だから知らないんだね。スライムの弱点。人間で言うところの息苦しさ。それは、核が酸素を求めているからだよ。で、模倣した口から触れることが出来ないから、直接当たれるように核が浮き出る。これが壊されると、スライムは呆気なく死ぬってわけ」
「ま゛っでぇ…ッ!わだじがい、な゛いどぉ…ッ」
「誰もお前なんか求めてないよ。人間は、お前を経験値としか見ないし、仲間殺しの君は人外からも見放される。精々死んでその存在でこの世界を汚染しないでね。」
椎名は私の核をナイフで破壊する。
視界が、暗転する。
どうやら、すぐに戦闘に実行するのは無理のようだ。何故ならばあいつの方が先に生きていて、私よりも強いから、負けてしまう。だから、あいつが生まれる何十年、何百年も前に生きて、準備しなければならない。そして、あいつが生まれた瞬間殺さないといけない。しかし、同時に私は自身に対して気味が悪くも感じる。既に、その世界の自分を殺すことを前提にして動こうとしている。けど、そうでもしないと私は、みんなを守る前に死んでましまう。その世界の私は、めめ村を守ってくれない。それを深く実感した。それに、他種族に対しての知識、経験が浅い。もっと、情報を集めなければならない。それに加え、その世界の───いや、物語の解像度が低い。私はまだまだ甘すぎる。やらなければならない。次の、Dは必ず成功させる。
そう、決意を新たにします。
ここで切ります!久々の投稿ですね〜。週二投稿は割と楽なんですが、短編集の続きを書いているので割と大変ですね。割と、人外なるとみんなの性格が変わる、ということがわかってくれたと思います。ちなみに、この世界の情報について割と考えていたのですが、ほとんどが使えず、椎名ちゃんのみの登場と、名前だけガンマスさんの登場にとどめました。まあ、考察したい方はお好きに…。
スライムについては、割とこの世界のみの設定をつけさせてもらいました。理由としては、スライムが死ぬ理由が私に理解できなかったせいですね。だって、切りにくそうですし、それに、直ぐに再生しそうじゃないですか?死ぬ理由が納得できなくて…。ということで、『核』というものをつけさせてもらいました。そいつがスライムの弱点です。それが破壊されると、それは蒸発して消える、みたいな感じですね。
ちなみにタイトルのCねは椎名から見たら(れいまりに対して)死ね、れいまりから見たら今回はCね、という意味にしてます。珍しくタイトルの説明
いやーやっと視聴数?がみれるようになりました!この物語の平均回数は100前後みたいですね。明日を見るためには1話目は2000回、最終話は100…うんたらかんたらですね。いやー割とみてくれてる人がいることに安心しました、という話ですね〜。本当に…最後らへんはなんも書いてなくて、もしかしたら10人位の方しか見てくれてないんじゃないか、と不安でしたが…本当に良かったです。
それでは!おつはる!
コメント
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説得しようとしてる所に幼さを感じる
やっぱり最初らへんだからまだまだ純粋というか心が優しいね…