テラーノベル
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街はすっかり冬の装いだ。吐く息は白く、手袋をしていても指先がかじかむほどの冷え込みが続く。
そんな中、手を引かれた俺は、満面の笑みで街角のアイスクリーム屋の前に立っていた。
「わあ、まだやってるんだ!」
「dnが行きたいって言っただろう? 好きに選びなよ」
mfくんは少し呆れたように、けれどその瞳は優しく細められている。普通なら「冬にアイスなんて」と言われそうなものだが、mfくんは決してそんな野暮なことは言わない。
俺は迷うことなく、期間限定のストロベリーとバニラのダブルを注文した。アイスクリームを受け取ると、冷たさに「ひゃっ」と小さく声を上げながらも、頬張る。美味しい。
「美味しい?」
「うんっ! すごく美味しい! …いつかmfくんと食べたいなぁ」
mfくんは苦笑した。吸血鬼には、人間の食べ物は食べることができない。けれど、差し出されたその好意だけは、何よりも甘美だったらしい。
「……気持ちだけもらっておくよ。早く食べないと、凍えてしまう」
噴水広場のベンチに並んで座る。周囲を通り過ぎる人々は、皆厚着をしている中、mfくんだけはコート一枚で涼しげにしている。人間よりも遥かに高い体温と、特殊な血を持つmfくんは、寒さというものをほとんど感じない。
「……ねえ、mfくんの手、すごく温かい」
「手、握ってこうか」
「…うん!」
アイスクリームを食べ終え、散策を楽しんだ後、二人は屋敷へと帰路に着いた。
屋敷の扉を開けると、外の寒さとは対照的な、暖房の効いた温かな空気が二人を包み込んだ。
「ふぅ……! やっぱり家が一番だね! mfくん、お風呂、一緒に入ろ!」
リビングへ向かう途中で、提案する。mfくんは少しだけ目を見開いたが、すぐに微笑んだ。
「…いいよ。先に入りな」
「やった! じゃあ、先に洗っちゃうね!」
脱衣所へと向かう。mfくんはその後ろ姿を見送ってから、ゆっくりとバスルームへと来た。
「……ふぅ……。やっぱり温かいなぁ……」
「気持ちよさそうだね、dn」
mfくんが浴槽に体を沈める。mfくんもなかなかの気持ちよさそうな顔で可愛いな、なんて思ってしまう。
「mfくん! ゆっくり浸かってね」
俺達は肩を並べて湯に浸かる。この空間だけは、外の世界から完全に遮断されている。吸血鬼という存在を隠す必要も、ハーフであることを気にする必要もない。ただ、mfくんと俺、二人だけの世界だ。
「……dn、髪、伸びたね」
ふと、mfくんが呟いた。俺の少し長めの髪が湯に揺蕩っている。
「うん、そろそろ切り時かなぁ」
「いや……」
mfくんは首を振った。
「今の長さ、すごく好きだよ」
そして、耳元でそっと囁いた。
「えへへ//……そう言ってくれると嬉しいな」
風呂から上がると、二人でリビングへと移動した。俺の髪はまだ濡れている。
「風邪ひくといけない。乾かしてあげる」
「ほんと!? ありがとう!」
ソファに座らせ、mfくんは丁寧に俺の髪をタオルドライしていく。その指先は優しく、まるで宝物に触れているかのようだ。
「mfくんの手って、すごく器用だよね。料理も上手だし、髪乾かすのも上手だし……」
「dnを幸せにするためなら、何でも上手になれるよ」
ドライヤーの温風が髪を乾かしていく。次第にふわりとした感触を取り戻していく俺の髪を、mfくんは愛おしそうに梳いた。
髪を乾かし終えた後、俺が窓の外を指さした。
「ねえ、mfくん。今日、すごく星が綺麗だよ!」
窓の外には、冬の澄み切った空に瞬く無数の星々。mfくんはベランダへと出て、隣に俺を立たせた。
「……本当だ。都会じゃ、ここまで見えないからね」
「うん。なんか……宝石みたい」
「……mfくん?」
隣からの視線に気づき、俺が振り返るとmfくんは微笑んだ。
「なんでもない。…そろそろ、寝ようか。明日は少し遠出する予定だろう?」
「あ、そっか! じゃあ、寝る準備しよ!」
「‥おっと。その前に。今日は約束があったね?」
悪戯そうにmfくんが口にした。
「う”っ‥/」
俺はmfくんにお姫様抱っこされながらリビングから寝室へと向かう。
ベッドに潜り込み、 mfくんは俺を腕の中に抱きしめた。温かい体温が伝わってくる。
「dn」
「mfくん。……大好き」
俺の髪に口づけを落とした。冬の星空だけが、二人の静かな夜を見守っていた。
コメント
10件
ドライヤーはやばいて(王道よね、愛してる どこまでいっても種族の違いでdnちゃんと対等になれないのが寂しい、、 いつかふたりでアイス食べてにこにこでデートして欲しい泣
dnのためならなんでもやらせてあげるmfくん優しすぎて最高です! 二人はずっと幸せでいてください!
すごい甘やかしてくれるmfくんに、前回からメロメロです‼︎ 甘いなぁ優しいなぁって思っていた所で、mfくんの「dnを幸せにするためなら、」の一言がもう…メロい、メロすぎます! 本当、不穏なく穏やかに過ごしてほしいですが……遠出かぁ…心配すぎます…!