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ただ、あの人がそこまで技術をわざわざ詰め込む必要が、あろうのだろうか。
観客は、早くも勝負ありと感じたようだ。バルドゥビーダ氏の音に、広場全体が一つになり揺れている。
人だけではない。建物も、木々も、雲も空も、太陽までもが、バルドゥビーダ氏のギターに揺れているように感じる。
足が震えてきた。
口の中が乾いてきた。
指先が震えている。
止まれ。止まれ。
そのとき、客席の英治と目が合った。俺の惨敗のあと、俺を見切った去年の幹事長のことだ。
彼が、俺に目で訴えている。
彼は、こぶしを上に突き上げた。
「健太サイコー」という、声がかすかに聞こえた。