テラーノベル
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「わあっ超綺麗っ」
完成した桜色のネイルを見て、お客様が興奮していた。
「すっごーい。イメージ通りにできるとか超嬉しい」
思い切って買ったスプリングコート。それに合わせてほしいが、オフィスは派手なネイルは禁止なので淡い色とリクエストされた。
甘いピンク色のチュールワンピースと白のロングコート。そのコートに合わせるのは、難しくはない。
でも喜んでもらえて素直に嬉しくて照れてしまった。
「劉宮さん、私ね、彼氏できちゃったの」
「へえ。おめでとうございます。でも美琴さん、可愛いからいない方がおかしいなって思ってたんですよね」
爪を見ながら微笑む美琴さんは、レジでお財布を取り出すときも始終笑顔だ。
肩よりやや下まで伸ばされた艶やかな髪、ガーリーで甘めのスカートにストイックな白のブラウス。
お洒落を全身で楽しんでいる彼女は、いつも笑顔で何をしていても楽しそうにしていて、好感が持てる常連客だ。
「もー。嘘嘘。私なんて全く可愛くない。劉宮さんの方が綺麗」 メンバーズカードに今日のポイントを付けながら、私は愛想笑いで受け流す。
「まっさか。お世辞を言ってもポイントは増えないですよ」
「本当だってば。ベリーショートなのにワックスでぴょんって跳ねる感じのセットすごく可愛いし。なのにいつも色っぽいルージュでしょ。私、大人っぽい色が似合わないから憧れます」
「しょうがない。ポイントサービスしちゃおう。あと一つでサービス追加だから」
「やったー」
メンバーカードに、店のロゴマークのハンコを五つ押した。
「半額チケットか、デコ盛り放題チケット、どっちか選べますよ」
「えー。悩むなあ。3Dネイル憧れるんだけどー、付けれないしい」
「結婚式用に付け爪としてでも付けれますよ」
「どうしようっ」
メニュー表を開いて美琴さんに見せた。
どれにするか真剣に悩んでいて、その姿さえも眩しく感じてしまう。
「やっぱ半額チケットにします」
「了解しました。じゃあ、こちら」
支払いが終わった後も話し込んでしまい、気づいたら閉店間近になっていた。
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