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今日は何も上手くできなかった。
手裏剣は一つも的に当たらないし、授業であてられても問題に答えられなかった。
しかも返ってきたテストは69点。
クラスの皆からは馬鹿にされて、放課後廊下では見知らぬ6年生に散々に言われた。
だからだろうか、委員会で兵太夫にからかわれたときプツンと何かが切れた。
羨めしかった。
いつも褒めてもらえる兵太夫が。
皆に愛されてる兵太夫が。
気がついたら、僕は兵太夫に手をあげて、馬乗りになって叩いていた。
「何をしているんだ!やめろ伝七!」
立花先輩に腕を掴まれた。
その顔は歪んでいた。
兵太夫のそばには綾部先輩と浦風先輩がいた。
あぁ。やっぱり兵太夫は愛されてる。
僕が殴られても先輩はこんなことしないんだろうな。
羨ましい。
兵太夫が。
妬ましい。
自分を見てくれない先輩が。
「なぜこんなことをしたんだ伝七!兵太夫に謝れ!」
「嫌いだ。」
「え?」
「先輩なんか嫌いだ!3人共いつも兵太夫のことばっかり!僕のことなんかちっとも見てくれない!」
「伝七?」
「兵太夫も嫌いだ!いっつも先輩に褒められて!いっつも話の中心にいて!」
こんなこと言いたくないのに、僕の口は止まらなかった。
皆がびっくりした顔でこちらを見ている。
僕はいたたまれなくなって、部屋を飛び出した。
「待て!伝七!」
立花先輩の声が聞こえたけど、僕はかまわず走っていった。