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どれだけ走ったのかわからない。
とにかく学園から少しでも離れたかった。
「あっ!」
木の根っこに躓き、転んだ。
「いったぁ。‥‥‥どこだここは?」
あたりを見渡すが見覚えのある場所ではない。
「迷った。」
ポツンと鼻に水が落ちてきた。
空を見ると雨がふってきた。
最悪だ。
両手を頭にのせ、どこか雨宿りできるところを探す。
視界に木々に埋もれた小さな建物が入った。
そこまで小走りに走り中を覗いた。
奥の方に誰かのお墓があって、手前に大人が二人ほど入れるスペースがあった。
「失礼します。しばらくは雨宿りさせてください。」
ボロボロのお墓に手を合わせ入口付近に座り込む。
ボーッと外を見ていると作法委員会のみんなの顔が浮かんだ。
兵太夫や立花先輩達のとまどった顔。
自分がいった言葉。
「あんなの、ただの八つ当たりじゃないか‥‥。」
膝を抱えて小さくなる。
自分が嫌になる。
手裏剣うちも、テストも上手くできなくて、委員会では八つ当たり。
喉の奥が熱くなって、涙が出てくる。
「‥‥消えてしまいたい。」
ー消えたいの?ー
「え?」
ーならその体、私に頂戴?ー
ふりかえった先にいたのは、真っ黒な女性だった。
「ぁぁ‥‥‥。」
迫ってくる手。
逃げなきゃいけないのに、体は動かない。
女性に抱きつかれた伝七は深い眠りに堕ちていった。
助けて‥‥せんぱい‥‥‥‥‥。