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のんの
321
Rua✨🫧
108
2,024
ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
次の日。
学校に着いて、教室へ向かう途中。
俺は、廊下の向こうに勇斗先輩を
見つけた。
💛「あ、勇斗先輩!」
少し嬉しくなって、駆け寄る。
💛「おはようございます!」
🩷「……おはよ。」
……あれ?
昨日までなら、
「おはよ、仁人!」
って笑ってくれていたのに。
今日は、それだけ…それだけだった。
そのまま勇斗先輩は
歩いていってしまった。
💛「…………。」
なんだろう。
胸の奥が、少しだけざわついた。
昼休み。
いつものように、みんなで集まっている。
俺は勇斗先輩の隣に座ろうとした。
💛「勇斗先輩、ここ――」
🩷「……ごめん。俺、こっち座る。」
そう言って、少し離れたところに座る。
💛「……あ。」
俺の手が、行き場をなくす。
❤️「仁人、こっちおいでや!」
💛「……うん。」
笑って返したけど、
なんだか全然笑えなかった。
放課後。
勇斗先輩を見つけた。
今なら、二人で話せるかもしれない。
昨日、ちゃんと話そうって決めたんだ。
だから。
💛「勇斗先輩!」
🩷「……ん?」
💛「あの……昨日の映画――」
🩷「楽しかったな。」
💛「……はい!」
よかった。話してくれた。
そう思ったのも、一瞬だった。
💛「あの、俺……」
🩷「じゃあ、俺もう行くな。」
💛「え……?」
勇斗先輩は、それだけ言って歩いていく。
💛「…………。」
まただ。話してくれない。
俺が何か話そうとしても、
すぐ終わらせようとする。
昨日まで、
あんなにいっぱい話してくれたのに。
💛「……なんで。」
小さく呟く。
もちろん、勇斗先輩には聞こえない。
帰り道。
俺は一人で歩きながら、
ずっと考えていた。
💛「俺……何かした?」
昨日のことを思い出す。
映画館。ポップコーン。
勇斗先輩の「可愛いな、仁人。」
そして――
💛「俺ら、付き合ってるみたいですね。」
🩷「俺は、そうだったらいいのにな。」
💛「…………。」
……あ。もしかして。
俺が、聞こえないふりしたから?
💛「…………。」
でも、
あれは嫌だったわけじゃない。
むしろ…………………..
思い出すだけで、今だって顔が熱くなる。
💛「……じゃあ、なんで?」
分からない。
でも、勇斗先輩が冷たくなった理由が他に
思いつかない。
💛「俺……やっちゃいけないこと、したってこと?」
そう考えた瞬間。
胸がぎゅっと苦しくなる。
💛「……どうしよう。」
勇斗先輩に嫌われたくない。
でも何が悪かったのか分からない。
聞けばいい。
「昨日、何かありましたか?」
たったそれだけ聞けばいい。
なのに。
💛「…………聞けない。」
怖い。もし、
「うん。嫌だった。」
なんて言われたら…
俺は、どうすればいいんだろう。
だから今日も結局、聞けなかった。
💛「……明日こそ。」
そう呟いたけど。
その声には、昨日ほどの自信はなかった。
次の日の放課後。
教室を出てから、
俺はずっと勇斗先輩を探していた。
昨日から、
ずっと気になっていることがある。
今日こそちゃんと聞かなきゃ。
廊下の先に、勇斗先輩がいた。
💛「勇斗先輩!」
🩷「……ん?」
振り返った勇斗先輩は、やっぱり少しだけ
よそよそしかった。
でも。もう逃げない。
💛「あの……ちょっといいですか?」
🩷「……うん。」
二人で、誰もいない階段の踊り場まで
移動する。
静かになった途端、緊張してくる。
💛「…………。」
何から言えばいいんだろう。
でも、聞きたい。
💛「勇斗先輩。」
🩷「ん?」
💛「昨日から……なんか、変じゃないですか?」
🩷「…………。」
💛「俺、何かしました?」
勇斗先輩は、すぐには答えなかった。
少し俯いて、手をぎゅっと握っている。
🩷「……いや。」
💛「……?」
🩷「俺が勝手に気にしてるだけ。」
💛「何を……ですか?」
また少し沈黙が流れる。
そして、
🩷「……一昨日のこと。」
💛「……!」
やっぱり。
一昨日の、あの言葉。
🩷「俺が言っただろ。」
💛「……はい。」
🩷「『俺は、そうだったらいいのにな』って。」
その言葉を思い出しただけで、
顔が熱くなる。
でも、勇斗先輩は俺とは違った。
少し苦しそうに笑っていた。
🩷「……あれ。」
🩷「嫌だった?」
💛「え……?」
🩷「責めてるわけじゃないから。」
🩷「ただ……俺、ちょっと調子乗ってたかなって思って。」
💛「…………。」
🩷「もし嫌だったなら、ごめん。」
💛「そんな……。」
🩷「急にあんなこと言われたら、困るよな。」
勇斗先輩は、俺を見ない。
🩷「俺、昨日からずっと考えてた。」
🩷「もしかして、俺といるのも嫌だったのかなって。」
💛「……!」
🩷「昨日も、俺が話しかけたら嫌かなって思って……。」
🩷「だから、ちょっと距離置こうとしてた。」
💛「…………。」
胸が苦しくなった。
違う。全然違う。
勇斗先輩が笑ってくれなかったのも、
冷たかったのも、
全部、俺が原因だった。
でも俺は嫌だったんじゃない。
むしろ――。
💛「……勇斗先輩。」
🩷「ん?」
💛「俺……嫌だったわけじゃないです。」
🩷「…………。」
勇斗先輩が、ゆっくり顔を上げる。
💛「一昨日のこと。」
💛「……嬉しかったです。」
言った。
ちゃんと、自分の気持ちを。
でも、まだ伝えたいことがある。
💛「ただ……。」
🩷「ただ?」
💛「……恥ずかしくて。」
顔がどんどん熱くなる。
💛「あんなこと言われると思ってなかったし……。」
💛「どう返せばいいのか分かんなくて……。」
💛「だから……聞こえないふり、しちゃいました。」
🩷「…………。」
💛「本当にごめんなさい。」
勇斗先輩は、何も言わなかった。
怒ってるのかな。
そう思って、恐る恐る顔を見る。
すると
🩷「……嬉しかった?」
💛「……え?」
🩷「俺が言ったこと。」
勇斗先輩の声が、少しだけ震えていた。
💛「…………はい。」
少しだけ間を置いて。
💛「すごく……嬉しかったです。」
その瞬間。
勇斗先輩の耳が、
みるみる赤くなっていく。
🩷「…………そっか。」
小さく呟いて俯いてしまった。
俺も、恥ずかしくて下を向く。
二人とも、何も言えない。
でも。
さっきまで胸の中にあった不安は、
もうなかった。
少なくとも俺たちは、
昨日のことで嫌いになったわけじゃない。
むしろ――。
昨日より少しだけ。
お互いの気持ちに近づけた気がした。
コメント
1件
うわああ〜〜〜っ、やっと、やっと素直に言えたね……!! ゚(゚´Д`゚)゚。 仁人が「嬉しかったです」って言えた瞬間、こっちまで胸がぎゅーってなったよ。それまで勇斗先輩が距離置いてた理由も、お互い「嫌われたかも」って不安になってただけって分かって、もう……尊すぎて泣ける。 「耳、真っ赤になってる」とこ、めっちゃ好き。お互い照れて言葉が出ない空気感が、すごくリアルで甘酸っぱい。この距離が縮まった感じ、ちゃんと宝物にしてほしいなあ…🌙🤍