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グリルタ
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それから時々家の近くの商店街などでカンナと会うと、晶子はカンナの体つきをそっと注視するようになった。
二人は身長などの背格好はほとんど同じだったが、身体的にはカンナの方が早熟だった。晶子も小学生の終わりに初潮を迎えてはいたが、全体的な体つきはまだ子どものままだった。
カンナの服装も、以前はズボン、パンツルックが多かったのが、少しずつスカート姿でいる事も増えた。
少しずつ体は女らしくなっていくカンナだったが、その男勝りの性格と、晶子の基準に照らして考える限りは、女の子らしからぬ大胆な行動はむしろエスカレートして行った。
中1の冬の夕方、塾が終わって電車の駅から自宅へ歩いていた晶子の横の草むらの中で、ザザザと大きな音がした。
驚いて晶子が立ち止まると、しばらく草むらがゴソゴソガサガサと音を立てた後、四つん這いの格好のカンナが道に飛び出して来た。
「わあ! びっくりした。カンナ何してるの?」
ジーンズの長ズボンの上に体育のジャージの上着を着たカンナが立ち上がる。紙には枯草や枯れ葉がまとわりついていて、服のあちこちに泥がついていた。
「おう、晶子か。今、猫見なかったか? 茶色のトラジマの猫」
晶子が首を横に振ると、カンナは体の泥を叩いて落としながら悔しそうな表情を見せた。
「カンナの家、猫飼ってたっけ?」
「いや、迷い猫」
「え? どういう事?」
「近所のお婆ちゃんの飼い猫が外に出たまま帰って来ないんだと。そんなに遠くには行ってないはずだから、あたいが探してるわけ」
「それで草むらの中まで探してるって事?」
「そういう事。よし、次は浄水場の中、あたってみるか」
「でももうすぐ暗くなるよ。危なくない?」
「そんな事気にしてられっか。金がかかってんだから」
「お金?」
「その猫を探し出して無事にそのお婆ちゃんとこに届けりゃ5千円もらえるんだ。ええと、成功報酬って言うのか?」
「そういう事か。自分でお金稼げるって、相変わらずすごいね」
「へへへ、楽して稼げる商売は無いってね。あれ?」
急にカンナが晶子の頭に目を向ける。
「晶子、髪長くなったな。伸ばしてんのか?」
「あ、うん。ロングヘアにしてみようかなって」
「晶子なら似合いそうだな。じゃ、あたいは行くから」
「うん、無理しちゃだめだよ」
カンナが晶子に背を向けて駆け出して行く。その腰にビニールの紐で出来た網のような物が下がっているのに晶子は気づいた。
猫を見つけたらその網を投げて捕まえるつもりなのだろう。小さくなっていくその後ろ姿を見ながら、晶子は思わずクスクス笑った。
「やっぱりカンナはカンナだ」
コメント
1件
はる。です! 第14話、読了したわー。 カンナ、草むらから四つん這いで飛び出してくるのめっちゃカンナらしい(笑)。「金がかかってる」って理由で迷い猫探しに必死になるところ、相変わらず行動力とバイタリティがすごいなあ。晶子が「やっぱりカンナはカンナだ」って思う気持ち、めっちゃわかる。 あと、晶子がカンナの体つきを気にし始めた描写、思春期の女子同士の微妙な視線の動きがリアルで刺さった。身長同じなのに体つきが変わってきて、少しずつスカート履くようになるカンナ…。成長ってこういうちょっとした変化の積み重ねだよなってしみじみ。 日常のワンシーンなのに、二人の関係性がじんわり伝わってくる良エピソードだったわ!