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グリルタ
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晶子が、カンナと自分の住んでいる世界は違うのだろうか、と感じる事が増え始めたのは中学2年生になった頃からだった。
晶子は学校での成績が、悪いという程ではなかったが、学年での順位が常に真ん中より下で、そのコンプレックスもあってか、友人と言えるほど仲のいい学友はひとりもいなかった。
自分の学校で見かける、いかにも進学校の生徒というイメージの生徒とは、あるゆる意味でかけ離れた言動のカンナと一緒にいる時の方が、晶子には心地よく楽し時間に思えた。
カンナはカンナで、晶子には予想もできないような突飛な言動で、良くも悪くも驚かせる事が多くなった。
中2のゴールデンウィークの始め、商店街の近くの小さな公園で待ち合わせ、特に何をするでもなくブラブラと二人で歩いている時、突然カンナが晶子に言った。
「ああ、そうだ。あたい、馬買ったんだ」
晶子は当然、馬を「飼った」という意味だと思った。驚きの声を上げて、晶子がカンナに訊く。
「え? カンナの家がある団地にそんな広い庭あったっけ? まさか家の中では飼えないよね?」
カンナは人差し指で頭をポリポリ掻きながら困った顔になった。
「いや、そういう事じゃないんだよな。ううん、説明しにくいな、あたい、晶子と違って頭悪いから。そうだ、その馬見たいなら、次の日曜の午後ヒマか?」
「あ、うん、一日中何も予定ないよ。連休中は2年生は塾休みだし」
「じゃあ、その日、電車で来てくれ。あたいは先に行ってるから。後で地図描いてやるよ」
その日曜日、晶子は家で昼食を済ませるとすぐに出かけ、電車で新宿駅へ、そこで京王線という私鉄の電車に乗り換え、30分ほどで指定された駅に着いた。
早くも汗ばむ陽気の晴天の日だったので、半袖のワンピースにつばの広い帽子を被った格好で、晶子は駅の周りを見渡した。
「ビルばっかり。ほんとにこんな所に馬がいる牧場なんてあるのかな?」
晶子はカンナから渡された手描きの地図を見ながらつぶやいた。そこから10分ほど歩くと、カンナからは言われたいた。
晶子は首を小さく傾げながら、東府中駅の南口を後にした。
コメント
1件
読み終わりました!カンナの「馬買ったんだ」の衝撃がすごくて、晶子と一緒に「え?」って声が出そうになりました(笑)団地に馬を飼うスペースはないよね、って普通に考えちゃう晶子の反応にめっちゃ共感しました。でもカンナの「説明しにくいな」って言い方、何か裏がありそうで気になります。新宿から京王線で30分の駅って、まさか競馬場? それとも本当に牧場? 二人の住む世界の違いが少しずつ見えてきて、続きがすごく気になる展開でした。電車で出かける日曜の午後、いいですね。次の話が楽しみです!