ダメ!救急車は呼ばないで!俊哉に見つかるとダメなんです!ことを大事にしたくないの!
私は心の中で必死にしゃべるものの、口の呂律が回らないのか何をしゃべっているか、自分でもわかっていなかった
「は・・・・はに・・に・・れんわを・・・」
兄に電話をかけてくださいと、何度も言ってるのに、この女性はわかってくれない
でも親身になってくれたこの親子に私は、心底感謝すると同時に、見ず知らずの人にも怯え切っていた
女性は私の手を握って言った
「・・・大丈夫よ・・・聞こえているわ、お兄さんに電話してほしいのね・・・かけてあげる、番号は言える? 」
「へろ・・・はち・・・へろ・・・」
「0・・・8・・0・・・ね、続きは? 」
兄の電話番号はハッキリ覚えていた、どうしてかキチンと話せない私のいう事を、辛抱強くその女性は聞いてくれた。しかし私を見るその女性の瞳には、哀れみの感情が映っていた
「もしもし?ああ・・・すいません、私山中と申しまして・・・京都の網野町の交差点のスーパー(マルキュー)の前からかけているんですけど、その・・・櫻崎鈴子さんから頼まれて、電話させていただいています・・・ええ・・ええ・・・妹さんで間違いないですよね」
この女性にどうして「田村鈴子」ではなくて、旧名の「櫻崎鈴子」と名乗ってしまったのだろう
でも今は俊哉に見つからずに、兄に助けてもらうことしか考えていなかった
山中さんと言う人が早口で事情を兄に説明してくれている、すると目の前でずっと私を見ていた女の子が言った
「ね~~ママぁ~?このお姉ちゃん足の間から血がでてるよぉ~?」
その言葉を聞いた母親が悲鳴をあげた
「なんてこと!!もしもし?ええ・・・かなり酷い怪我をしていて、股間からも出血していて、スカートがかなりの血で・・・・・」
「どうしました?」
そこにお店の従業員が2~3人やってきた
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