歯を食いしばって痛みをこらえると、今度は顎に火が着いたように痛みが走る
「かなり意識が朦朧とされていて・・・」
人々が話している言葉が所々しか聞こえない
目を閉じると瞼の裏に赤い点が浮かび上がってくる、考えが少しもまとまらないことに不安を覚える
「救急車に乗せて・・・・・」
「つきそいは・・・・ 」
「お兄さんから・・・専属の指定病院が京都の市内に・・・」
周りにいる人の会話が途切れて聞こえる
いやっ・・・病院はいや・・・
どうしてこんな怪我をしたのかって、原因を詮索されるでしょう?
警察にも連絡がいくかも・・・
そうしたら俊哉が・・・
心では叫んでいるのに声にならない、閉じたまぶたの裏から、涙がこぼれていくのがわかった
「はい これ」
小さな女の子が心配そうに私にキャラクターの描かれているバンドエイドを差し出た
こんな小さな女の子にも人を思いやる心があるのに、私は何をどうして間違ってしまったのだろう
とにかく京都から離れたいの・・・
俊哉から逃げたい・・・・
兄に連絡してくれるだけでいいの・・・・
遠くで救急車のサイレンの音がしていた
どうかお願い・・・事を大げさにしないで・・・・
恥ずかしいから・・・・
私の事は放っておいて・・・・
どうか 放っておいて・・・・
シュー・・・・バチンッと、テレビの電源が落ちたかのように
そこから視界は真っ暗になった
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