テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ラウール side
なんか飛んでもない人を敵に回したかも。告白以前の苦難が僕に襲いかかっている。
蓮 🖤 『で?どういうつもりかな?』
口火を切ったのはめめだ。ビールで乾杯をすると先ほどまで笑顔だった顔からは完全にスマイルが消えている。さっきの翔太くんの反応からして付き合っているわけでもないめめから咎められる由縁はないと思うんだけど。
ラウ🤍『何の事?』
重い空気が流れる。時折カタカタと揺れるテーブルがめめが怒っている事を知らせている。〝なんでキスしてたの?〟これこそ彼氏でもない人に言われる必要ないだろう。それに好きだからに決まっているし、答えのわかっている質問を何でわざわざしてくるんだ。〝聞いてどうしたいの?〟めめは苛立ちを露わにするといっきにビールを煽って2杯分のおかわりを頼んだ。
蓮 🖤 『早く飲めよ』
先輩からパワハラ受けてるんですけど・・・飲みかけのビールを一気に飲むとキンキンに冷えたビールが目の前に置かれた。
ラウ🤍『くぅ〜冷えててうまい』
俺だってそこそこお酒は強いからな。〝大人しく片想いしてればイイものを〟チヂミを食べながらめめは俺を睨んでいる。これってある意味俺の事をライバル視してるって事かな。つまりは方向性はあってるって事だね・・・
ラウ🤍『何焦ってんの?』
いちいち癇に障るようで益々怒っている。めめでも思い通りにいかない事があるんだな、完璧なように見えて恋愛はそうはいかないようだ。〝呑気な事やってられないだろう・・・なかなか手強くてね〟恋愛なんて力尽くでどうにかなるもんでもないだろうにこんなにムキになって、余裕のないめめを初めて見る。
ラウ🤍『大好きなんだね翔太君のこと』
蓮 🖤『そんな安っぽいもんじゃない』
僕の〝好き〟を否定されたようで思わずムッとすると〝お前の気持ちまだ俺に言ってないだろっ〟と意地悪く笑った。相当にめめは恋愛偏差値が高いと思われる。表情一つで僕の気持ち分かるんだから。それを思うとこれまでどれだけめめに僕の心を見られていたのだろうかと少し怖くなった。
蓮 🖤『ライバルが多いな…試練の度に二人の絆が深くなっていく』
ラウ🤍『翔太くんが幸せなら僕は…』
蓮 🖤『翔太とキスしてどうだった?身体に触れた感想は?また触ってみたい?またキスしてみたい?』
ラウ🤍『…それは////』
蓮 🖤『そういうところだよ頭で分かっていても離れられない。翔太を知れば知る程に、過ごした時間が長ければ長い程に…』
めめは最後の一口を一気に飲み干すと〝そろそろ帰ろうか〟と言って立ち上がった。僕も急いでビールを飲み干すとめめの後に続いてタクシーに乗った。
ホテル前でめめもタクシーを降りると〝こっから歩いて帰るわ〟と言って歩き出すと携帯を確認しためめは振り返って〝翔太の鞄持ってる?〟と言うと、自分の荷物とまとめて持っていた僕は〝これの事?〟と言うと俺から返しておくからと言って取り上げ踵を返して歩き出した。
ラウ🤍『あっあのめめ!翔太くんとどういう関係?二人って…』
蓮 🖤『イイ事する仲だよ?いつも気持ちよくさせてあげてる…翔太は大好きなんだ気持ちイイ事が。今度3人でどうかな?ラウールくん』
嘘でしょ…
今朝翔太くんの身体につけられた無数のキスマークがめめの言葉をより生々しくする。
阿部ちゃんと付き合ってるんじゃないの?二股って事?まさか翔太君に限ってそんな事…
憶測で考えたって答えの出ないことを悶々と考えていると〝ふふっ〟と遠く前を歩くめめから笑う声が聞こえた気がした。
蓮 side
翔太💙『わぁ〜鞄何処にあったの?…良かった無くしたかと思ってた。ありがとう蓮』
空港に着くとラブラブカップルが俺とラウールを出迎えた。〝ラウールが預かってくれてたんだよお礼を言ってね〟慌てて繋いだ手を離したってバレバレなんだよ。
蓮 🖤『阿部ちゃん睡眠不足?倒れないように気をつけて?隙を見せると付け狙われるよ』
可哀想に、そこらじゅう敵だらけの阿部ちゃんが不憫でならない。目の下にクマまで作っちゃって…余程熱い夜を過ごしたらしい。
飛行機に乗り込み座席に座ると後からやって来た翔太がまたお前かよって顔をしながらやって来た。まぁスタッフに言って翔太の隣を常に抑えてある。
蓮 🖤『窓際に変わろうか?』
翔太は飛行機は窓際が好きだ。飛び立つ時目をキラキラさせながらいつも外を眺めているのを知っている。〝イイの?やったぁありがとう。お前イイやつだな〟座席を変わっただけでいい奴の称号を頂いた。阿部ちゃんはと言うと慌てて手配したチケットは窓際でも残念な景色の、飛行中ずっと羽しか見えない座席のようだ。どうせ二人ともすぐ寝るだろけど…
離陸してすぐにウトウト船を漕ぎだした翔太は時折コツコツと窓におでこをぶつけては俺の方に向き直そうとするものの、阿部ちゃんを気遣ってか俺に近寄らないように必死で距離をとっている。
阿部ちゃんは暫く瞬きせずに後方の座席から辛うじて見えるのか睨みを利かせていたがこちらもフライト20分ほどで睡魔に襲われ爆睡中だ。
仕方ないので翔太のお相手をしてあげる。
柔らかい手を恋人繋ぎするとピクリと僅かに反応すると少しずつ傾いた翔太の頭は俺の肩にちょこんと乗っかった。静かに寝息を立てて可愛い横顔をずっと見ていた。
まぁ勿体無いので写真も撮るよね。なかなかいい写真が撮れた。気に入ってくれるといいけど。
相変わらず隙だらけでスリルも何もない。このまま抱き枕にできそうなくらいには爆睡している。
2時間半のフライトを終えると、それぞれ仕事が控えており各々の仕事場へと向かう。
用意されたワゴン車に乗ると先に乗り込んでいた翔太が絶望的な顔をした。
蓮 🖤『あらっまた会ったね。運命感じちゃう』
マネージャーによると方向が同じらしい。翔太は行きの教訓から鞄を隣の席に置いてガードしている。本当におバカさん可愛い。
ヒョイと鞄を持ち上げ足元に置くと隣の席にドカッと座る。目をまんまるくした翔太は泡を吹き出しそうなほど口をパクパクとさせている。
蓮 🖤『ふふっ//とって食ったりしないよ…次回からの教訓に一つだけ、鞄は膝の上に置いた方が良いよ』
朝から思ってたけどこの可愛らしい膝小僧丸出しの短パン姿は何なの?そこら辺のサッカー少年より可愛いんだけど。触らないのも失礼に当たるので膝を撫でるとビクついた翔太は、扉に膝をぶつけて〝痛っ〟と声を上げると〝大丈夫ですか?〟と運転手から言われ〝 すいません…大丈夫です〟と言った翔太は一昨日の朝と全く同じ状況にニコリと笑った。
翔太💙『ははっどうしようもないな!成長しねぇな〜俺』
蓮 🖤『何の仕事?』
翔太💙『ん?撮影だよ雑誌の』
蓮 🖤『残念…それじゃあイタズラできないじゃん』
〝一応考えてんだ…偉いなお前〟と謎に感心している。偉い人の称号まで貰えてもう十分満足だ。先に某テレビ局に着くと〝頑張れ蓮〟と特大のスマイルで送り届けてもらった。良い人すぎるだろ…
翔太 side
ドタバタの韓国ロケから息つく間もなく次のお仕事。まぁ亮平に比べたらなんて事ない。予定より撮影が長引いてサウナに駆け込む時間が無かった。真っ直ぐ家に向かうとマンションの入り口で思いもよらない人物と出会った。
翔太💙『何してんの?』
涼太❤️『あぁお疲れ様。疲れてるだろうから晩御飯作って来たんだけどインターホン押しても誰も出なくて帰ろうかと思ってた所だよ』
亮平先に帰ってるはずなんだけどな…二人でエレベーターに乗り込むとニンニクの香ばしいイイ香りがした。〝何?俺の好物の匂いがする〟涼太はすごく嬉しそうに〝きっと大当たりだよ〟と言って早く食べて貰いたそうだ。鍵を開けて中へ入ると玄関に綺麗に亮平の靴が並べられている。やっぱり先に帰ってる…
静まり返ったリビングには旅行バックが置かれたままになっている。いつもならちゃんと片付けるのに。心配になって寝室を覗くと、呼吸の荒い亮平の姿がそこにはあった。
翔太💙『亮平!亮平どうしたの?…すごい熱だ』
亮平💚『あぁ俺の可愛い子ちゃんおかえり…ごめんね少し離れたほうがいい。今日は別々に寝よう』
俺のせいだ。無理が祟ったんだ。
翔太💙『涼太!助けて亮平が死んじゃうよ』
〝いや…死なねぇし〟真っ青な顔色でそんなに弱々しく言ったって説得力ないよ…
涼太❤️『お薬飲ませたから熱はそのうちに下がると思うよ。明日また熱が高くなったら病院に連れて行きなさい。お粥も作っておいたから』
翔太💙『えっまさか帰らないよね?無理だよ俺一人じゃお願い泊まってよ。俺のベット貸すからさ』
翔太💙『うわっうまっ!お前まじ天才』
涼太❤️『ふふっ…それより、一度亮平を見ておいで』
涼太が居ればもう何も怖い事はない。
寝室を覗くと亮平はスヤスヤと眠っていた。ベットに腰掛けおでこに光る汗を拭いた。〝亮平大丈夫?ごめんね…〟
亮平💚『何で翔太が謝るの?』
翔太💙『亮平!大丈夫?熱は?具合はどう?うわっ////』
静かに伸びて来た長い腕が、俺の手を掴むと引き寄せられて、亮平の胸の上に上半身が乗るとトントンと背中を叩いた。〝亮平?〟いつもより体温が高いそこはまだ熱が下がり切っていないことを知らせた。〝ニンニク臭いぞ翔太〟身体から離れると手を握った亮平はやっぱりまだ熱がありそうだ。
翔太💙『涼太が来てる。唐揚げ食べる?元気になるよ』
亮平💚『ふふっ流石に揚げ物食べれる程回復はしてない…でもお腹空いたかも』
涼太に作ってもらったお粥を食べさせると美味しそうに食べてまた横になって眠ってしまった。
リビングに戻るとお風呂上がりの涼太が俺のシャツとパンツを着て出てきた。良かったシャツのサイズは大丈夫そう。
涼太❤️『少しパンツが窮屈だ』
翔太💙『あはっお尻ぷりぷりだもの////一晩くらいノーパンでも大丈夫じゃない?俺もお風呂入ってくるから亮平宜しくね』
急いでお風呂に入ると涼太はキッチンで洗い物を済ませた所だった。俺の部屋に案内すると枕代わりにエイのぬいぐるみを握りしめ〝おやすみ〟と言って俺はソファーに横になった。
すぐに部屋から追いかけて来た涼太は〝別に一緒のベットで構わないよ?お前も疲れてるだろ?それとも俺がソファーで寝ようか?〟無理を言って泊まってもらっているのにソファーに寝かすわけにはいかないだろう。〝じゃぁベットに行こうかな〟エイを抱きしめる俺ごと抱き抱えた涼太は、俺の部屋にそのまま運んで行く。何だか恥ずかしい…可笑しくないかこの状況?
ベットに下ろされると何だか恥ずかしいこのシチュエーションに涼太を直視できないでいると〝顔真っ赤だけど?〟なんて言われてエイを抱きしめる腕により一層力が籠った。
翔太💙『お前がお姫様抱っこなんかするからだろっ////早く来いよ寝るぞ!』
早く来いよ?何だよそれ…恥ずかしくて顔から火が出そうだ。横向きになって背を向けると、ベットが沈み込み涼太が隣に横になったのが分かった。〝暗くないと眠れないんだけど?〟涼太の頭のところにある照明のリモコンを指で指した。〝あぁこれね〟部屋が真っ暗になり、漸く胸のドキドキが治りかけると急に後ろから抱き竦められて変な声が出た。
翔太💙『ひゃぁっ!なっなに?どうした?』
涼太❤️『んっ?俺何かに掴まってないと眠れないんだよね…一晩我慢してくれる?』
はぁ?そんな奴だったか?確かに布団とか股に挟んで寝ていたような…右に舵を切り涼太の方を見ると暗がりに涼太の顔が見える…ていうか近いな。涼太の吐息が首にかかる程の至近距離に更に鼓動が速くなる。涼太に聞こえちゃわないといいけど、ドキドキ通り越してバクバクいっている。〝何で顔赤いの?〟暗くて分からないだろ?と俺が言うとスマホを掲げて照らされると〝ほら真っ赤だ可愛いね翔太〟幼馴染からの突然の可愛い発言にもう心臓が口から出て来そうだ。何なんだよ一体…
涼太❤️『なぁにこれ?看過できない事態だよ翔太!』
ん?涼太が掲げて見せたスマホの待受がいつの間に撮られたのか首元に顔を預けた俺がスヤスヤ眠る中蓮が幸せそうな笑顔で頭を撫でる写真になっていた。なんてだらしない可愛い寝顔なんだ!
翔太💙『いやこれはアイツが寝てる間に…』
涼太❤️『こう言うこと気を付けなさい亮平がまた悲しむ』
ご尤も過ぎて何も言えません〝ごめんなさい〟そう言うと〝分かればいいよ…蓮には気を付けなさい〟と言った涼太は伸ばした腕を頭の下に差し込んで腕枕をすると、俺の下半身を挟み込んだ。片方の腕はお腹を撫でている。ん?…んん?可笑しくない?これ大丈夫そ?
翔太💙『ねぇ…この体制で寝るの?』
涼太❤️『何か問題でも?流石に家の抱き枕取りに帰る訳にいかないでしょ?できれば家で寝たいんだけど』
〝すいません…問題ないです〟涼太は〝エイ邪魔だな〟そう言って足元に投げると、スリスリとお腹を撫でている。くすぐったいし急な幼馴染からのスキンシップに変な気分だ。
翔太💙『くすぐったい!それにお前のブツが当たってる💢温ったかい』
涼太❤️『裸じゃないだけマシだろ?それに感想言うのやめてくれる?』
眠れないよ…幼馴染の変な生態を知ってしまった。一晩中この体制は辛いし、涼太の涼太が当たってる!
涼太❤️『変な気起こさないでね?』
〝馬鹿じゃないの?〟涼太の方を見ると唇が触れて思いがけずキスしてしまった。
翔太💙『ごごごめん////』
涼太❤️『早速変な気起こさないでよ』
〝違っ…ンンンッ////〟触れるキスとは違う。ちゃんと意思のあるキスだった。甘くとろけるような濃厚なキスは涼太のぷっくらとした唇が俺の下唇に吸い付いて離れず、お腹を撫でていた指が上昇してきて胸の突起に到達すると優しく撫でた。次に上唇を食んだ唇がリップ音を響かせると中に侵入してきた柔らかい舌が口内を縦横無尽に行き交った。やばい…流される…気持ちのイイ感触に涼太の腕を掴んだ手が力なく下ろされると…
涼太❤️『ふふっ冗談はここまで///寝るぞ…可愛い子ちゃん』
翔太💙『へっ?』
何だった今の?キスされたけど…いや事故か?涼太も疲れてんのかな…それにしてもキス上手いな…もう一回したいかも…いや馬鹿じゃないの!
再び同じ体制で抱き付かれると、そのまま涼太に抱き付かれながら朝を迎えた。
熱の下がった亮平が朝方早くに俺の寝室を覗いていたとも知らずに・・・
コメント
10件
この時、鞄を受け取った蓮🖤は何かの伏線?積極的な舘様、かっこいいな…
今日、更新ないだろうと思ってたから更新嬉しい☺️ でも阿部ちゃん不憫すぎる、、、😭 しかも、舘様🌹ずいぶん積極的じゃん!参戦してくるのかよ、、、阿部ちゃんこそ記憶なくしちゃうよ💚💚💚